劇場公開日 2021年6月4日

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「クライマックスは息ができない」るろうに剣心 最終章 The Beginning bionさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0クライマックスは息ができない

2021年6月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 逆刃刀を使う前の抜刀斎だから、殺陣シーンは当然、血しぶきありの壮絶な戦いとなる。今までの「るろ剣アクション」と違って戦う場面は、より緊張感が高まる。しかも実在の人物が多く登場するから、ゾクゾクする。池田屋騒動での新撰組の暴れっぷりには大興奮。「燃えよ剣」の池田屋と比べてみたい。

 村上虹郎演じる沖田総司と緋村抜刀斎の対決がたまらない。相手の刀を受ける、紙一重で躱す、両者は一歩も引かず死闘を繰り広げる。このシーンは何度でも見てみたい。村上虹郎は『今際の国のアリス』でも存在感を見せていたけれども、今回も佐藤健を食ってしまいそうなくらい輝いていた。

 有村架純もたまんない。武士かどうかも怪しい連中がたむろする居酒屋に1人で入ってきて、「冷やを一本」と眉ひとつ動かさないで店の親父に注文する。どこまでもクールな雪代巴に惚れ惚れしちゃうね。

 表情を表に出さない雪代巴と似た物同士の緋村抜刀斎が徐々に心を通わしていく過程が丁寧に描かれていて、このまま2人の時間が続きますようにと祈りたくなる。悲劇的なラストがわかっているだけに、2人の愛が深まれば深まるほど、切なくなる。

 クライマックスは息ができない。なぜこの追憶編を最後にしたのかわかった気がする。「不殺の誓い」を全うしたからこそ、その誓いの元となったエピソードがより心に響く。

 エンディングのワンオクの曲を聴きながら、大きな余韻に浸った。生きているからこそ、感動を味わえる。誰かに感謝したくなった。

bion