「【"自ら己のキングを倒すな!"家族を再び一つにする為に異国で、チェスで闘った少年の物語。後半、一気にカタルシスを得た作品。】」ファヒム パリが見た奇跡 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"自ら己のキングを倒すな!"家族を再び一つにする為に異国で、チェスで闘った少年の物語。後半、一気にカタルシスを得た作品。】
-前半はやや、凡庸。
近年フランス映画のテーマに良く取り上げられる、不法移民の実態が映し出される。-
・ファヒムは父ヌラにGM(グランドマスター:国際チェス連盟タイトルを過去取得した方。)に会えるから・・とバングラデシュからインドを経てフランスに到着する。だが、実は父が政変が続く国からチェスのチャンピオンだったが為に身に危険が及んだファヒムを守るための国外脱出だった・・
■ファヒム親子がフランスで出会った人々と学んだ事。
・チェス教室の指導者でありながら、過去のある出来事の屈託を抱えたシルヴァン、優しきマチルド。そして、教室に通う少年少女達。ファヒムは彼らと交流し、フランス語もあっという間に習得する。
バングラデシュでは、当たり前の遅刻も厳しく直される。
-矢張り、頭が良いなファヒム・・。食事の仕方にも慣れて行くファヒム。
"頑張れ、異文化に中々付いていけない優しき父・・。"
愚かしき、通訳。
難民申請を却下され、国外退去を命じられた父。ファヒムイを自分たちの家に招き、泊まらせてあげるチェス教室に通う少年少女達とそのご家族。(それぞれの家庭環境も垣間見える・・。)
この過程でイロイロとフランス移民の実態が見えて来る・・。-
・そして、ファヒムは実力で、地区予選から全国大会へ。”初めての海”を見ながら・・。
〈後半、ファヒムの出場を巡り、シルヴァンが、大会委員に言い放った過去の"前例"。
そして、彼の屈託の原因だったかつてのライバルに差し伸べた手・・。
マチルドが電話で首相に問い掛けた言葉も、心に響いた作品。
ーここのマチルドのセリフが一番、私には沁みたのである。あのセリフを一介の庶民であるマチルドが毅然と口にする姿にである・・。何故なら、ファヒム親子、いやファヒム一家の未来が開ける一歩になったのであるから。ー
そして、今作品で描かれる "父ヌラと息子ファヒムの対比"
今作品は文化の壁を乗り越える難しさを伝える作品でもある。〉