「間違っていることは間違っている。」オフィシャル・シークレット 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)
間違っていることは間違っている。
この作品のレビューは難しい。
慎重に言葉を選ばなければいけないと切に思う。
題材は民主主義のお手本アメリカの当時の大統領が、
実はとんでもない大嘘をついていて、
それによって大量虐殺がなされたイラク戦争の発端の話を、
英国GHCQ側から描いた真実に基づいた作品。
社会的な意見はさておき、
娯楽としてもこの作品は実によくできている。
諜報機関というものが、どのように動いていて、
そこに務める職員たちはは至って普通で、
亡命を申請している人の苦労や、反戦主義者たちの苦悩や、
人権を取り扱っている弁護士たちの意思の強さや、
新聞記者とはどのようにして揺れ動くのかとか、
とにかくそういった「中身」が実に面白い。
なので特に社会派じゃなくとも、この作品はきちんと楽しませてくれたし、
事実をこのような形として表現したのには、
実は大きな目的があるのだろうときちんと気付かせてくれる。
間違っていることは間違っている。
たったそれだけの意思を貫き通すのに、
こんなに大変な思いを強いられる。
しかし人として、それはとても大切なことなのだと、
この作品は訴えている。
弁護士の最後のシーンは特に印象的だった。
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