「仲野太賀と若葉竜也」生きちゃった DOneさんの映画レビュー(感想・評価)
仲野太賀と若葉竜也
ひっそりと徐々に
着実に日本のドラマや映画を支えてきた2人が揃った映画。
今や出演作に外れなしの仲野太賀さん、
若葉竜也さんもすぐ背中を追いかける勢いのある俳優さんです。
2020年公開で少し前の映画になります。
主人公は太賀さん演じる厚久
彼の親友で学生時代は2人で歌手になる事を夢見た武田
大人になった今、その二人と青春を過ごした奈津美は厚久と一緒になり娘の鈴と3人つつましく暮らしていた。
思っていた大人になれなかった厚久と武田はそれでも2人でいつか起業しようと雲をつかむような夢を語る。
思っていた人生を歩めていなかったのは厚久と一緒になった奈津美も一緒で、義家族との仲も良好とは言えなかった。
思ったことを思うように表現出来ない厚久。
感情の出処はどこなのだろう。
奥ゆかしさや本音と建前という言論方法が根付いた日本で、穏やかさや優しさの表現はとても難しく、口をつぐむことに慣れきってしまっていた。
愛は口にしないと枯れてしまうのか。
言葉にしないと、愛してないのか。
厚久は弱い人間かもしれない。
一見何を考えているかは分からない
だが弱さを知る優しい人間である事は太賀さんの演技がセリフを補足していると言える。
武田は「暇じゃねえ」と言いながらいつでも彼の支えにも、奈津美の支えにも、自分の手の届く範囲で思いやりを持てる献身的な人間である。
絵に描いたような理想の親友で、それだけで人生の財産のような人。
男の友情物語というとチープな響きになってしまう。
日本の閉塞感というと小さい世界に感じてしまう。
家族の絆を問えばまるで壊れているかのようだ。
一歩踏み出せばよかったのかもしれない。
いや逃げ出せばよかったのかもしれない。
どうしようもないことはどうしようもないときに起こるし、巡る、繰り返し。
その度に願う事しか出来ない、
私達は弱いから。
それでも生きているから。