「生きづらさ」生きちゃった ライトさんの映画レビュー(感想・評価)
生きづらさ
この映画は共感しないに越したことは無いと思う。常に相手の顔色を伺ってしまわざるを得ない主人公が、様々なトラブルに巻き込まれるだけの話だから。
きっと、この映画に感動できない人は人見知りを内心小馬鹿にしているタイプだろう。でも人に嫌われたくなくて、言葉選びに頭を抱え続けてきた人間がいるということが伝わっていれば嬉しい。「好きじゃないからこそ本音が言える」という作中のセリフは考え甲斐のあるもので、そこまで興味関心の湧かない他人に対して適当にあしらい続けた経験は誰にだってあるのではないかと思う。
本心を包み隠して、相手から見た自分をよくしようと躍起になって好きな人に嫌われまいとすればするほど、相手との距離が開いていく様は胸に迫るものがあった。
臆病さと素直さはとても近いところにあって、そんな自分を変えようと本気で決めれば、それは今までの自分のアイデンティティを壊しかねない。だからこそ、ラストシーンの展開に繋がるのではないかと思った。
この映画に共感できない人は、世間的に見れば多いだろう。だけど、映画というメディアを通じて生きづらさを感じ続けてきたマイノリティが認められる。そこにこそ、この映画の本当の価値が内在しているのではないかと思う。
本当に見て良かった。
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