「とっ散らかって、早送りしていて、うじうじしている。人生って俯瞰で見るとそうなんだろうけど…な作品です。」生きちゃった 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
とっ散らかって、早送りしていて、うじうじしている。人生って俯瞰で見るとそうなんだろうけど…な作品です。
なんとなく気になってた作品ですが、重い腰がなかなか上がらすここまで観賞に至りませんでしたが、たまたま京都に行く機会があって、新しくなった「京都 みなみ会館」で観賞しました。
で、感想はと言うと、なかなか難しい。
物語の内容も暗いし、光が見えない。
主人公の厚久の性格をそのまんま表した様な感じでうじうじした感じがむず痒い。
いろんな事を散りばめながら、結局はそこに意味が無い。
正直合わないと言えば、合わないかも。
尺も91分なのに、間延びしている感じがしている。
きちんと説明しなくても観る側にある程度の解釈と判断に任せると言うのは分かるけど、必要以上に説明無しと言うのはどうなんだろうか?
仲野太賀さん、大島優子さん、若葉竜也さん、毎熊克哉さん、鶴見辰吾さん、嶋田久作さんとなかなかな布陣でキャスト陣は申し分無し。
だが、いろんな部分の伏線的なのを張り巡らしている様であっても最終的にとっ散らかったままに感じる。
主人公の不安定さを描き出す為にいろんな事を散りばめたにしてもどうなんだろうか?
もうそこに尽きるんですよね。
それがかなり思わせ振り過ぎて、3人がパピコを分け合う最初の道草のシーンがなんか雲って見えますw
肝心な所で物語を半年ずつに飛ばすのも正直謎。
全てを見せる・説明する必要性はなくても、半年の中でいろんな物がある筈なのに何故か描かない。
その割にいろんな面白いと言うか、良い描写があるだけに残念。
「愛を言えない男」仲野太賀さん演じる厚久は言えない・伝えない以上に何をやりたいのかが分からない。
不器用と言えば不器用。純粋と言えば純粋。
でも、肝心な事がきちんと伝えない、やらないのはそれは駄目としか言い様がなくて、厚久が悪い訳ではないが、厚久のだらしなさが小さな切っ掛けになっている。
自身の不器用さに相手が分かってくれるとは思ってないにしても、どうもそこに甘えている。
そこに「日本人だからかな?」もちゃんと伝えない事をそういう風に言ってしまうと元も子もない。
逆にそれ言うと自分の性格を原因を棚上げしている感じで観ている側は「それを言っちゃあおしめえよ」となりますよw
そんな不器用な人間を仲野太賀さんが熱演しているだけに、正直惜しい。
仲野太賀さんだから、こうなったのかな?
もっと演技力の乏しい役者が演じていたら、もう少し観る側に優しい脚本になっている様にも思えます。
「愛を聞きたい女」大島優子さん演じる奈津美は厚久の犠牲になっている様にも思える。
厚久の不甲斐なさに嫌気が指して、厚久と離れる所から、奈津美の転げ落ちる様が痛くも悲しい。かと言ってそんなに同情もなんか出来ないんですよねw
最初、奈津美を大島優子さんが演じていると言うのに全然気が付かなくて、エンドロールで気が付いたくらい。
良い意味で枯れた感じを醸し出しててw、個人的にはAKB時代の雰囲気から脱却している。
でも、ホントAKB時代から考えたらかなり身体を張った演技をしてます。奈津美の濡れ場やデリヘルのシーンを考えたら、かなりドキドキしますねw
「愛を見守る男」若葉竜也さん演じる武田は正直立ち位置と言うか、意味が理解し難い。
必要かと言えばそんなに必要じゃあない感じ。
武田が居る事で厚久の精神的支柱になってるが、厚久の甘えの元にもなっている感じ。
確かにいろんな要素の中で武田が居る事で膨らんでいる部分もあるけど、武田が居なかったらもう少しシンプルに厚久の物語も成り立ったのではないか?とも思えます。
石井裕也監督は様々は作品で良作を産み出しているのに、脚本を担当するとどうも…な感じです。
でも、監督のやりたい事や描きたい事は全く分からない訳ではないので、そこを整理する人がいたら大分変わってたのかな?
脚本補助とは言いませんが、そんな人を配置していたら変わっていた様にも思えます。
とっ散らかって、早送りしている物語。
人生って俯瞰で見ると結構そういう物なのかも知れませんが、それなら、厚久の性格をもう少しきちんとしておかないと幾ら映画と言えばかなりしんどいw
厚久の性格の面倒くささがこの作品の核なんですが、観る側にもかなり難しくもしんどい作品です。
そこをどう理解するかなんですが、個人的にはノリ難い作品です。