「ビジュアルはいいが……」映画 えんとつ町のプペル Ragioneさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアルはいいが……
スタジオ4℃が手掛けただけあって映像やBGMなどはかなり良い部類。
(ただし挿入歌はどれもダメ)
そんなビジュアルの良さを脚本がことごとくダメにしている。
ルビッチとプペルが友人になる過程が唐突すぎたり、腐るお金などの無駄な設定が多い割にどれも説明不足だったりする。また、空が見えないほど煙で覆われた街で異端審問官という物騒な連中が取り締まってるのに、住民たちは特に不便そうでもなく、なんならハロウィンを楽しんでいたりする。
少年ルビッチの目的は「星を見ること」だが、映画を見ている観客たちは空に星があることは当然知っている。だから、星の存在をなぜか頑なに否定するえんとつ町の住民たちが、ルビッチの正しさを理解しない愚か者たちにしか見えない。これはもちろん意図的にそうなるように描かれている。西野亮廣がふだんから主張しているアイデアやビジネス論が、世間に一向に理解されない事を表しているのだろう。
他にも気になる点はたくさんあるのだが、スタジオ4℃という実力のあるスタッフのおかげで、映画としての体裁はそこまで破綻しておらず、面白くないとはいえ一応最後までは見れるものになっている。例えばデビルマンや大日本人のような完全な駄作とまではなっていない。だからこそ西野亮廣の担当した脚本はもう少し何とかならなかったのかと残念に思う。
コメントする