「思ってたのとちょっと違った」映画 えんとつ町のプペル AmTさんの映画レビュー(感想・評価)
思ってたのとちょっと違った
原作の絵本が大好きで、何度も読みました。私は西野さんのサロンのメンバーであり、彼の考え方に感銘や影響を受けている人間でもあります。
ただ今回の映画はちょっと違和感がありました。子供に大きな世界を見せてやりたかった父親の執念と、周りに笑われても大好きな父の教えを信じ抜いた子供の信念がハロウィンの日に奇跡を起こしたというイメージ(というか、普通に読んだらそう誰もが感じると思いますが…)で読んでいたのですが、映画版での膨らまし方がそれとはあまりに異なっていて、感情移入できませんでした。絵本では満天の星に包まれる中、「友達」と思っていたプペルが、実は父親の化身だったんだということが、鼻の下を指でこする仕草によってルビッチに伝わるというクライマックスでした。映画にも確かにそのシーンはあるのですが、そこにポイントを置かず、街のみんなに星を見せてあげる話になったのが、とても違和感でした。「たとえ一人でも、信じる」というのが原作のコアメッセージだったと思うのですが、これが解体されているのは残念でした。原作では船のシーンがルビッチと父親の最初で最後の秘密の航海って感じで、ルビッチと同じくらいの息子を持ち、彼に大きな世界を見て欲しいと心から思っている父親として、大いに感情移入しつつドキドキしながら読んだポイントだったのですが、映画ではド派手な「空のお披露目プロジェクト」になってしまったのは拍子抜けでした。
まあ、感じ方は人それぞれでしょうし、他ならぬ原作者による掘り下げなので、それを尊重するしかないのですが、私にはハマりませんでした。
とはいえ、ルビッチとプペルの声のイメージは思ってた通りだったし、カジサックのアフレココントもYouTubeで観ていたので町人Aの所も楽しく見ることができ、エンタメとしては十分楽しませてもらいました。西野さんをこれからも応援していきます。