「面白かったけど、情報量が多すぎる」映画 えんとつ町のプペル 高木輝幸さんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったけど、情報量が多すぎる
感動しました。とても面白かったです。
音も横から聞こえたり地響きする感覚があったりしたし、TOHOシネマズ梅田では2スクリーンで上映してたけど大きい方を選んで前の方に座ったのも正解でした。
ただ説明や伏線、回想、仕掛けがいっぱい仕込まれていて情報量が多すぎるのは気になりました。
西野さんは元々漫才師だし、最近はビジネスを紐解いたり講演をしたりしているから、しつこいくらい説明しないと不安なのかもしれません。板の上に立って、目の前の観客を置いてけぼりにしないよう気を配りながら喋るのを生業にしているので。原作が絵本だから当然、幼い子どもにも分かるようにしなきゃならないですしね。だから全部説明したくなるのは分かります。
しかし漫才や講演なら言葉で伝えていただいて構わないのですが、これは映画なので、セリフやモノローグではなく、画や構成で伝えるべきです。極力、回想も使わない方が良いです。ルビッチが幼い頃のブルーノとの回想なんて、あんなに要らないです。
で、これはオンラインサロンや様々な記事で語られてますが、続編などの展開を見据えて色々な仕掛けや情報が盛り込まれていますね。もはやどこまで計算しているのか計り知れないくらい、要素がいろいろありました。
しかしまだ上映もしていない制作の時点で、続編や他の表現への展開のことを考えて作品の中に情報を盛り込んじゃうのは、個人的には嫌ですね。この映画一本に情熱を全部注ぎ込んでほしかった。
そのひずみはストーリー展開に出ているような気がします。
偶然性に頼りすぎ。
偶然ゴミ収集車に埋もれたプペルをルビッチが目撃し助けるくらいまでは良いのですが、スコップとの出会いも唐突だし、スコップが自ら秘密を3つ喋ってしまい、「3つまで願い事を聞いてやる」と言いだすのも都合が良すぎます。スコップとブルーノが実は顔馴染みだったとか、やりすぎです。
でも、ここまで説明や情報をモリモリに盛り込んでこのクオリティなのは脱帽ものです。普通はもっと散らかってしまいます。よく100分にまとめあげたなと思います。