劇場公開日 2020年12月25日

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「西野さんが言っていた通り」映画 えんとつ町のプペル いっちーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5西野さんが言っていた通り

2020年12月29日
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鑑賞方法:映画館

たまたま西野さんが出ているラジオを聴いていた際、
「この映画はこのコロナの時期だからこそみんなに伝わる部分がある」と言った趣旨の話をしており(うろ覚えなので正確にはわからないし自分の解釈が入ってる)その点を気にしながら見ていたが確かにコロナ禍だからこそ普段の生活をしているときに見るよりも感じ取れる部分が多いと思った。

えんとつ町では異端な存在が排除されてしまう国であるが、それはまるで現代でも似たようなもので他人と同じことをしろ、余計に目立つようなことをするなといった集団の輪を乱す、外れるようなこと嫌う人がほとんどであるように思う。ことさら日本においては集団行動を重視する国で俗に言う同調圧力が強く働いている国と思われる。
そんな中この作品では星は存在することを主人公ルビッチは自分の信念とし、星は存在しないことが当たり前と思われている国の異端として排除対象となってしまうが、星は存在することを信じ続け最終的には星空を国民に見せ星が存在することを証明する。

国民は一方的にそんなものはないと決めつけていたが実際のところそれを100%の証拠を持って断言できる者はおらず、正解など誰にもわからない。これを現代の事象に当てはめるとUFOや宇宙人などが例として挙げられる。確かに私たちはUFOや宇宙人など見たことないしいないと思ってる人が大多数だと思う(私もそんなものはいないと一方的に思っていたが、今回の作品を通して捉え方が変わり立場は変わらないものの態度は軟化したように思う)。しかしたまにテレビで宇宙人と交信ができたりUFOを見たりした人が出演しているがこれもルビッチの星の話と重なりはしないか。
私達は宇宙人が100%いないと断言できる証拠など持ち合わせていない、それなのにいないと一方的にそれを否定してかかる。つまり現代ではUFOの存在を信じる者は「異端」なのである。流石に現代でUFOを信じるからといって迫害等受けるとは思わないが…

多少例が極端であったが、要は集団の多数派に沿わないものは全て敵対視されそれが差別や偏見に繋がることも少なくない。そんな現代の現状を風刺したものが今回の作品に感じ取ることができ、更には己の信じたものが確信となって結果が出るまでは信じ続け折れるな!と訴えているようである。

それはまさしくコロナ禍でも言えることであり、いつか今までの日常が戻ってくることを人々が信じ続けること、コロナに感染してしまったという健全な健康状態でない(=異端)人に不当な差別や偏見を持つことはすべきでないことである。

映画からここまで風刺の効いたそれも元はただの絵本から考えを改めさせられるものは初めてでとても素晴らしかったしおもしろかった。

いっちー