劇場公開日 2020年12月25日

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「いろんな立場の人が勇気づけられる」映画 えんとつ町のプペル shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いろんな立場の人が勇気づけられる

2020年12月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

臨場感が凄い!
縦横無尽に町を駆け巡り、そのまま空へ突き抜ける浮遊感と風を切る音!
2Dなのに立体的に感じて、町の中へ、物語の中へ一気に入り込んでいきました。
まるで、登場人物達のすぐそばで一緒に体感しているようで、ずっとドキドキしっ放し。
こんなタイミングではありますが、ぜひ劇場で体感してほしいです。

『オネアミスの翼』世代なので、町ごと作り込まれているアニメに高揚してしまいます。
『MEMORIES』「大砲の街」からの『スチームポーイ』を観た時の衝撃に近い。
細かく作り込まれた世界観を、隅々まで味わいたくなります。

あと、世代的な感想で言うと、ルビッチの母親が大人になったメルモちゃんに見えて仕方なかったww
あ。実は私、シルクハットの男の子が“プペルくん”だと思っていたのですが、ゴミ人間の方が“プペル”でした。予備知識ナシで見たもので、すみません(^◇^;)
シルクハットの男の子がルビッチ。芦田愛菜ちゃんの声がイキイキとしていて、やっぱり泣きの演技が素晴らしく、思わずもらい泣き。
で、その母親がメルモちゃん(大人)。
いや、メルモって名前ではありませんが、いかにも手塚アニメに出てきそうなデザインで、ジブリの『天空の城ラピュタ』を彷彿とさせるところもあったし、日本のアニメーションへのリスペクトを感じました。

その他のキャラクターだと、スコップがお気に入りです!
自己完結している弾丸トークが笑えます。
流石はオリラジ藤森。
着ているスーツも面白いし(タイヤはどうなってるの?)細かいアイテムもじっくり見たい。

テーマは“下を向くな、上を向け!”で
「信じる者を馬鹿にするな!」なのでしょうが…
信じて行動する人と、馬鹿にして否定する人の対立だけではなく、
「本当は信じていたけど、周囲に合わせて声に出せなくなった人」も描かれていました。
(どちらかと言うと私もこのタイプに近い;)
それに、協力の仕方も人それぞれで、皆んなが一斉に同じ方向を向いて闘うのではなく、自分に出来る、自分に合った方法→自分らしさを活かせる方法を見つけて協力していく姿に感動しました。
ひと昔前田の“団結”とは違った、多様性を認める現代ならではの視点ですね。
とくに子供たちが参加するシーンが胸に残りました。
主人公を軸に、いろんな立場の人が勇気づけられる作品でした。

shiron