劇場公開日 2020年3月28日

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「「企業の取り組みを応援しなきゃ」と思わせられる消費者」グリーン・ライ エコの嘘 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「企業の取り組みを応援しなきゃ」と思わせられる消費者

2020年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

面白かったが、期待したほどの作品ではなかった。
「“サステイナブル”なエコ製品」の実情の数々を暴いてくれるかと思ったが、必ずしもそうではない。

ヴェルナーとカトリンの2人が、世界の10ヶ所程度を回って、投資家やアクティビストや学者に話を聞く。
ヴェルナーが悲観的な“ボケ”を演じ、カトリンが舌鋒鋭い“ツッコミ”だ。

加工食品に含まれる「パーム油」が、前半のテーマだ。
「予告編」でも森林破壊の惨状が映されているが、“エコマーク”の実態は、法的根拠のない怪しいもののようだ。
むしろ、問題が深刻なほど、うわべを取り繕う傾向にある。宣伝に騙されて、「企業の取り組みを応援しなきゃ」と思い込ませられる消費者。
しかし商品には、「切手サイズ」の説明しかなく、トレーサビリティもない。
見分けるためのガイドラインがない以上、結局、消費者個人の意思に委ねられることが問題だという。

もちろん、企業や政府側にも言い分はある。
熱帯雨林を破壊しさえすれば、百万人単位の雇用を生み出すことができるのだ。
もはや、南北問題を超えて、人間存在の“原罪”にも係わる問題になる。
しかし、「パーム油」が使われるチョコやポテトチップスのような、必需品ではなく嗜好品にすぎない食品に対して、せめて環境に良いような“嘘”をつくな、という批判はできるだろう。

リチウム採掘や、製造時の環境負荷が批判されている「EV(電気自動車)」の話も出るが、残念ながら少しの話で終わってしまった。
その他は、「石炭」採掘による環境破壊、「2010年メキシコ湾原油流出事故」、「追い出される先住民」の話などであり、「エコの嘘」とは違う話になる。
(なお、電池で使用される“カーボン”は微々たる量であろうから、「石炭」を「EV」の話と絡めるのはミスリードだろう。)

全体としては、「グリーンウォッシング」や環境破壊を扱った映画とみるべきだ。
「パーム油」だけでなく「EV」など、もっと「環境にやさしい商品」の“嘘”にフォーカスすれば、興味深い作品になったのにと惜しまれる。

Imperator