「エピローグで怒りが止まらなくなりました。」Uボート:235 潜水艦強奪作戦 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
エピローグで怒りが止まらなくなりました。
核開発の為のウランを、コンゴからNYまで偽装したドイツ潜水艦で運んだ、ベルギーレジスタンスの闘いを描く物語。
B級テイストと予想して余り期待せずに鑑賞し始めましたが、思いのほか迫力がありシリアスな映画でした。
戦闘中に傷つき息絶えるレジスタンス。そんな彼らが大義の為に潔く死ぬのではなく、泣き叫び助けを求める様子が戦争の無残さを感じさせ、心に迫ります。
特に、足を潰された兵士のストーリーは、余りの酷さに目を背けたくなりました。
それだけに基本設定が雑なのは残念でなりません。
このような大切な役回りを、レジスタンスにさせること自体理解出来ません。
潜水艦を動かすのであれば、少なくとも海軍経験者を起用すべきでしょうが、そういうわけでもありません。
例えば、「潜航する前の戦闘で、潜水艦の乗員が戦死してしまった」とかなら、より物語に入り易かったかもしれません。
艦長の役回りを担ったドイツ将校にも納得感がありません。終盤、「惨たらしいユダヤ人虐殺を見た」ことを理由にあげていましたが、それでも同胞を何十万人と殺す物資を運ぶには弱すぎる動機のように思います。
例えば、自身が「実はユダヤ人だった」とか、「妻がユダヤ人で収容所送りにされてドイツには守るべき家族がいない」とか・・・そこ迄いけば、納得感を感じたように思います。
ただ、この映画を最低評価にしたのはエピローグです。
4年後。生き残った隊員達が華やかなビーチで楽しむなかで、原爆投下のラジオ放送が流れます。勿論、投下されたのは広島・長崎です。いや、場所に係らず、投下されたということは何十万人という人が焼き殺されたということです。
このエピローグは何を物語っていたのでしょうか?レジスタンスの成果の描写だとすれば、余りにも醜悪で最低最悪のエピローグです。
マイナス10位を付けたくなるような、そんな映画になってしまいました。