ナンシーのレビュー・感想・評価
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私を見てほしい。でも、私を真っ直ぐ見ないで
鑑賞前に、一度予告編を見てください。「サイコスリラーの最高傑作」「アンドレア・ライズボロー 怪演で魅せる」という文句に続き、不穏を煽るBGM、そして、かすれて震えるタイトル……恐怖で背筋が凍っちゃう系か、と感じちゃいません? それ、良い意味で裏切られますよ。サンダンス映画祭脚本賞受賞は伊達じゃない。めちゃくちゃ繊細なドラマでした。
大筋はこんな感じ。人付き合いが苦手な女性ナンシーが、5歳で行方不明になった娘を捜し続けている夫婦の存在を知る。彼女は、その娘の30年後の似顔絵が自分と瓜二つなことに気づいてしまい……。ナンシーと夫婦が接触しないことには話が進みませんから、それは勿論想定内。ただ、予告編のテイストから「娘に成りすまして、悲劇が…」と夢想してしまったんですが、各登場人物が「綱渡り」をしているかのようなセンシティブな展開になっていきます。
ナンシーの設定は「嘘をつくことでしかコミュニケーションをとれない」というもの。字面だけ見るとちょっとヤバイ人に見えますが、「100%共感できない」というものではないはずです。ナンシーの行動原理は「嘘で遊んでいる」わけではなく、「嘘をきっかけに、私を見て」というもので後先を考えないものが多い。「休暇は某国に行った」という嘘のつき方は無理がありますし、「妊娠」に関する嘘も“ハリボテ感”が否めない。
クリスティーナ・チョー監督の素敵なところは、それらの“嘘”の行方を現在軸で処理していくところ。決して回想を混ぜ込み、「これは確実に嘘である」なんて野暮なことはしないんです。ナンシーに鉄槌を下すこともなく「真実かもしれない」という余白を残す。その余白は、鑑賞者にも作用します。だからこそ、“嘘”が確定した時には、言い知れぬ悲しみを体感することになるんです。
ナンシーの願望「私を見て」にも通じることですが、本作は「視線のドラマ」でもあります。自分を見てほしいはずのナンシーですが、劇中には、その視線に耐え切れないという場面もちらほら。それもそのはず。ナンシーの嘘は後先を考えないパターンが多いので、それを信じ込んでしまった者(あるいは、信じると決意した者)の「真っ直ぐな視線」をしっかりと受け止める術を持っていない。つまり「私を見てほしい。でも、私を真っ直ぐ見ないで」という感覚。「怖そう…」という思いから視聴の機会を逸したら損ですよ。
余談:アンドレア・ライズボローの怪演という推しは確かに正解。でも、それを受け止めてみせるのが、怪優スティーブ・ブシェーミなんですよね。本作ではテンション控えめ。しっとりとした芝居を披露してくれています。
本当のジャンルは…
誰でも観る前に観たい作品かどうかジャッジするわけで、好きな人が出ているとか、監督が好みだとか、薦められたとか、大ヒットしたとか、いろいろ理由はあると思うが、その中でも作品のジャンルというのは大きな割合を占めると思う。
知り合いには、ホラーとモンスターものしか観ない人や青春恋愛ものしか観ない人、とにかく主役が強いアクションしか観ない人などがいる。
本作は予告もパッケージも煽り文句もサスペンススリラーのそれで、サスペンススリラーしか観ないタイプの人は大いに肩透かしを食らったと思う。
しかし本作のジャンル違いは、それ自体が作品の仕掛けなのだと気付いた。
映画の始まりの画面サイズは狭い。ここまでは完全にサスペンススリラーの雰囲気だ。
母が亡くなったことで縛られていた家を一時的とはいえ出ることで画面サイズが広がる。
母の介護とうだつが上がらない自分に嫌気が差し、注目されたい、愛されたい思いでナンシーは嘘をつく。
画面サイズの広がりでサスペンススリラーの雰囲気は若干ソフトになるが、観ている者には嵐の前の静けさに思えるだろうし、狭い世界から外に出たナンシーも束縛からの解放に気付かず嘘をつき続ける。
悲劇的なことが起こりエンディングでまた画面サイズが縮むのだろうなと漠然と考えてしまうし、スティーブ・ブシェミ演じる父がいつ殺されるかとハラハラしながら観ることになると思う。
しかし物語の進行と共に、これはスリラーではなさそうだなと思い始めるが、まだ確信は持てない。
ナンシーが本物かどうか揺れる夫婦と同じように。
そして、湖のそばでハンターを助ける場面で、母は本当のナンシーの姿を見て自分の娘ではなくとも受け入れ愛する気持ちが芽生え、観ている私たちは本作がサスペンススリラーなどではなくヒューマンドラマなのだと確信する。
つまり、サスペンススリラーなのは偽りのナンシーで、本当のナンシーはヒューマンドラマなのだ。
他人からも自分でも愛せる本当の自分という、最近では多すぎるくらいのベタとも言える本当の内容を、サスペンススリラーという嘘で覆ったんだね。
何か酷いことが起きることのない、実のない偽りのサスペンススリラー=偽りのナンシーより、温かい優しさのあるヒューマンドラマ=本当のナンシーの方が愛せるでしょ?というわけだ。
確かに。
漠然とだが皆が救われたような、嘘がなくなって芽生えた愛に最初のイメージや期待と逆の衝撃を受ける。
本当のジャンル、本当のストーリーは、小粒でも実のある良いものだったなと思えた。
感想メモ
サイコスリラーではない、そこの期待外れが大きい
もっと騙して娘のフリをするのかと思ったら、確信がないって自分でも言ってるし、DNA検査もちゃんと受けてるし、出生証明書がないのは本当っぽいし
でも、失踪当時のこととか、ツリーハウスを思い出したとか、ちょっとした嘘はついてるよね?
今ある関係が大事
最後家を出ていったのは何故だったのか、隠していたことがあって耐えきれなくなったか
サイコスリラーって触れ込みはマジでふざけすぎ。
サイコスリラーってうたい文句でこの映画を紹介していたが
配給会社は何を考えているのだろう。馬鹿じゃないのか?
スリラーでもホラーでもなんでもない。
寂しい女性の本当の親探しごっこ。
コミュ症のナンシーはネットでであった男性に嘘をついて
仲良くしようとしていたが、嘘がバレて失敗。
その後、母親が亡くなり天涯孤独になってしまったナンシーは
たまたまテレビで見た行方不明少女が大人になったらこんな感じ
ではないかというCGが自分そっくりだったため、その夫婦にコンタクトを。
しかし、DNA検査では親子ではないのが判明。
物語はただそれだけ。
この話の面白さはナンシーが本当の両親だったらいいな、という空想が
本当なのか空想なのかわからないところにあるものだった。
多分ナンシー自身も違うとは思うけどもしかしてそうだったらいいな、
という空想の元にこの夫婦を訪ねたのだと思う。
ところがだ、サイコスリラーというコピーのせいで見ている側は
ナンシーが嘘をついてこの夫婦に取り入ろうとしていると先入観で見てしまう。
現にこの映画を見た人の感想はナンシーが嘘をついていると思い込んでいる。
ナンシーは嘘をついているのではなく、もしかしたら?くらいの空想のような
感で悪意のない心で夫婦に接触したのだと思う。
でなければDNA検査自体受けるわけないし、電話がかかってきた時も
奥さんが検査結果に落胆しているのを見てナンシー自身も落胆するわけがないからだ。
ナンシーは万が一にも可能性を感じていた瞬間だったと思う。
でも、言っていないことがいくつかあると最後に言うことで
可能性は元々低かったと言うことが垣間見える。
だけど、ぼくはこの映画がサイコスリラーという触れ込みだったため
最後の最後までナンシーがストーカーになると思って見てしまった。
邪推しながら映画を見ると純粋に楽しめないんだよね。
せっかくいい話が配給会社の糞コピーのせいで正しい見方ができなかった。
とはいえこれがサイコスリラーという触れ込みでなかったら見ることは
なかったので、ある意味糞コピーのせいで出会ったわけだが。。。。
とりあえず見てよかった。
ナンシーの寂しさがめっちゃ伝わる良作でした。
すごいすごい
良かった。とにかく登場人物の全員がすごくて、まさに演技合戦!て感じ...
不穏な空気
無駄な説明や描写やセリフを廃して、余白や行間で観せる映画。そしてそれを成立させるメイン3人の演技も良かった。
まさかブシェミ父ちゃんがこんなに…。
観る前に思っていたのとは違うが、これはこれでなかなか悪くない。
予告編は失敗作
嘘でなくて願望、のように思えた、ナンシーの娘だというアピールと、DNA鑑定までするのに結果を台詞に出さない母親、疑いながらも追い出せない父親の全員が。
何とも切ない。
あの両親に近づいて何か企んでいるかのような予告編はいただけない。
他の方も書いていたが、エスター的なものを想像するだろうあれでは。
もっと現代的な、危うさや心の闇というか陰と隙間、人の寂しさや脆さの話。
秋の夜長にしっとりと味わいたい
ジャケ詐欺
大切なのは今ある関係、触れられる相手
映画「ナンシー」(クリスティーナ・チョー監督)から。
「嘘をつくことでしかコミュニケーションを取ることができない女性」
それが、主人公・ナンシーだというのだろうが、
今やネットの世界では、デマや嘘は驚くほど氾濫しているし、
彼女の嘘が、そんなに社会に影響を与えているとも思えない。
人付き合いが苦手な彼女が、
他人の関心を集めるために嘘ばかりついていた、という設定は、
あまり特別感はないし、そんなに驚かなかった。
この作品を「サイコスリラー」とジャンル分けした方が、
大きな間違い、嘘じゃないのか、と思うほど。(汗)
さて、5歳で行方不明になった娘を30年間捜し続けている夫婦と、
もしかしたら私かも・・と思い込む主人公のナンシーの出会い。
お互いが、やはり人違いだったと気づいていたが、
それでもしばらく一緒に行動すると、親近感が湧いてくる。
さらに暗い表情の中に、彼女の優しい一面を見ることもある。
30年間娘を待ち続けていた女性は、やはり違ったと理解した上で、
ナンシーを抱きしめて、こう耳元で囁く。
「大切なのは今ある関係、触れられる相手。
愛してる、無条件で・・」
特に、人の温もりを感じる「触れられる」関係は、
30年間、忘れていた関係だったのかもしれない。
ハッピーエンドじゃなかったけれど、なぜか温かさを感じたなぁ。
スリラーでもサスペンスでもなくヒューマンドラマ
サイコスリラー?もっとじっとりした映画。
宣伝的に嘘つき女のサイコスリラーかと思って観たらスリラーじゃなかった。
ナンシーの嘘と何となくわかったけど、もしかしたら本当に娘だったりするのか…?とどこか期待してしまう自分もいた。
ナンシーはどんな気持ちで近づいたんだろうか。
少し期待はあったのかな…
他人だとわかってからの夫人、今の関係が大事とナンシーを受け入れるのね…
ならどうしてナンシーは出て行ったんだろう。
それを望んでたわけではないのかな
嘘に耐えられなくなったの?満足したのか?
ここにいてはいけないと思ったの?
最後のナンシーの表情、笑っていたように見えた。
大切なのは、今ある関係。
嘘をつくことでしか他人とコミュニケーションをとれない女性、ナンシーが、30年前に5歳で失踪した少女のニュースを見たことから巻き起こる出来事の物語。
5歳で失踪した少女の成長予想CGが自分にそっくりだったことから、その少女の両親に会いに行くナンシー。本当の自分の娘だと信じたい母親、どうしても懐疑的になる父親。3人でいる空間はどうにも重たい空気がひしひしと伝わってくる。
脱走した飼い猫を探しに出たナンシーを追いかける母親の姿とか、眠れずに写真をずっと見比べる父親とか、それぞれの心情がとてもよく伝わってくる。
誰かを困らせたり悲しませる嘘は決して許されないけど、真実かどうかよりも価値のあるものを見つけた…的な話でもあるのかな?
少なくとも、瀕死の少年を助けようとするナンシーの姿に偽りはなかったんですよね。
改めてじっくり考察しながら見たいと思った作品だった。
それにしても、こんな状況だというのに館内は満員。このサイトのチェックイン数も他の未体験ゾーン映画とは桁違い。あまり詳しくないけど、注目度の高い映画なんですね。
これにて、今年の未体験ゾーンはおしまい! 寂しくなる(笑)
昨年の特捜部Qやザ・マミーレベルにグッときたものはなかったけど、観た作品全体の満足度では今年の方が高かった(とはいえ去年も今年も観れたのは半分ほどだけど)。
来年以降も是非、掘り出し物に期待!!
隠匿
パーキンソン病の母親と暮らすネット依存で自身を偽る悲しい女性の話。
母親が亡くなり1週間、TVで観た30年前に5歳で行方不明になった少女の現在を予想するCGが自身にそっくりだったことから、少女を捜す夫婦の素を訪れるストーリー。
妊婦の件は嘘だったけど、出生証明書の件や自身の生い立ちに関しては、全てを話している訳ではないけれど、必ずしも嘘とは言い切れず、主人公の設定から嘘なんだろうとは感じつつも、もしかしたらとも感じられる展開が絶妙。
期待し先走りする夫人と一歩引く主人。
本人もいくらかは期待があったのか否かは最後まで明かされないけれど、そこはなんとなく読めて、だとすると彼女の目的は?と疑問も湧くし…。
哀しさややるせなさは伝わってきたし、それなりには面白かったけど、主人公に共感出来るところがなくてあまり響かなかった。
まさかのヒーリング映画
映画の紹介にはサンダンス映画祭の脚本賞を受賞したサイコスリラーってあるじゃないですか。しかも30年前に失踪した娘であることを匂わせて両親に近づいていく話なんだから、あの『エスター』を期待しちゃいます。😸
メンヘラ女子が死産を経験した妊婦のふりをして、男に近付いたりして何やら不穏な立ち上がり。しかもナンシーには、パーキンソン病を抱えて、精神も病んでるお母さんも同居している。
何があるんだ、何が起こるんだと期待して見ているうちに寝落ちしそうになってしまった。😴😴
ラスト近くに起きるハプニングにいよいよ始まるのかと期待が高まったが、終わってみると心が洗われておりました😭😭
確かに未体験ゾーンの映画です😅😅
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