「老人が教えてくれたこと」恐竜が教えてくれたこと odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
老人が教えてくれたこと
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児童文学が原作だし、少年がバカンスに訪れた島での淡い初恋の話かと軽く思っていたら凄い傑作でした。優れた児童文学は老若男女を問わず心を癒してくれるのですね。
原題は「テスとの私のとっても奇妙な7日間」で、恐竜も化石も出てきません。ただし、恐竜のメタファーのような独り暮らしの老人が出てきます。
サムは11歳、目下の悩みは哲学的、生きとし生けるものはいずれ皆死ぬという定め、自分は末っ子なので一人で死ぬのだろうか、愛する人たちが居なくなってしまったら耐えられるのだろうか・・・と頭を痛めている。口癖は「最後の恐竜は自分が最後だと知っていたのだろうか」、邦題の恐竜はそこからとったのでしょう。
私も同じくらいの頃に可愛がってくれた祖母の死や愛犬との別れなどを経験、別れや悲しみの存在を知り、だからこその日頃の優しさの大切さに気付かされたことを今更ながら思い出しました。身近な死は情操教育の側面もあるのでしょう、とは言うものの齢を重ねると自身の俗っぽさが気恥ずかしく、別人のようにも思えます、トホホ。
登場人物は皆善人なので肩の力を抜いて安心して観ていられるし、ベタな話やお涙頂戴になりそうなところを軽妙なタッチで爽やかに映しだす、脚本の上手さ、監督さんのセンス、奥ゆかしさがひしひしと伝わります。子役も自然な振る舞いで名演です、オランダ映画の珠玉の傑作でした。
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