ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のレビュー・感想・評価
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ところで、テフロン加工のフライパンの安全性は?
何が一番の驚きかといえば、
今も闘っている、ということです。
テフロン加工のフライパンはまだ売られていて(スーパーなどでも売り場にありますよね?)、剥がれたり溶解した成分についての安全性基準などはそれほど明確に定まっていない。
という現状認識でいいのでしょうか。
もちろん、直接川に垂れ流すようなことはさすがに規制されていると思いますが、いくら微量だとしても、食物連鎖も含めて人体に蓄積されていく化学物質の影響は子や孫の代になって現れることもあるし、『今だけ金だけ自分だけ』の人たちとの長期戦は、並の体力、並の精神的耐久力では継続できません。
敬服するばかりです。
それにしても、といつも思うのですが、『MINAMATA』のチッソといい、この映画のデュポンといい、どうして人は組織の管理職として振る舞う時、倫理観や良心に基づく判断よりも、非人道的な方を選択してしまうのか。
個々の事例を見れば、保身とか目先の利益とか様々な圧力とか誰かへの忖度とか、それなりに理由は見つかると思いますが、傾向としては、『マトリックス』における青いカプセルを選んでしまう(体制側の提供する環境の現状維持)。
赤いカプセルを選び、内部告発や社内改革に挑む選択肢もあるのに、それを取る人があまりに少ない。
元々優秀な人が会社から有能と認められてトップに上り詰めるうちに倫理観や公正さがどんどん削られていく。
そんな構図があるのだとしたら…大企業では、創業者でもない限り、ただの〝いい奴〟は偉くなれないですね。
(余談)
①日本で、現役の人の人生をドラマ化するとしたら、この前宇宙に行った前澤さんあたりが有力な候補ですかね。
生い立ち→起業→成功→突然の引退→宇宙→❓
②マイケル・ムーア監督(ハリセン近藤じゃねーよ、の人)が暴いたオバマ大統領の、水を飲んだフリ事件を思い出しました。
これは見ごたえ十分!
ここまで、巨大企業の悪を暴けるのはスゴイ!
何らかの圧力はかからないのだろうか?
今の日本で、正義という言葉を使うと、空々しく聞こえる。それほど、正義という概念が無くなってしまっている。
しかし、命をかけて(これも空々しく聞こえるが…)、巨大企業に立ち向かった男が実際に存在する。
家庭をかえりみず、人のために、正義のために働いた人間がいる。
この映画は、それを観ることができるだけでも、価値があるといえる。
見ごたえ十分!ぜひ劇場で観てほしい。
法律を扱う映画なので、もう少し丁寧な翻訳は欲しかったかな…。
今年206本目(合計270本目)。
私自身は行政書士試験に合格した程度の知識です(この映画の舞台となるアメリカには行政書士という法律職はいません。韓国や台湾などにはあります)。
ストーリーは実話をベースにしたものなので、あることないこと書けない状況です。そのため、映画というカテゴリには入るものの、事件発生からずっと淡々と描写が続くような展開になっており、ここはすき好み分かれるんじゃないかと思います。
また実話をベースにしたという事情があるため、あることないこと書けませんので、残酷な話でもそのまま書くしかありません。その関係で、ちょっと「そこは配慮がたりないなぁ」という部分があるとしても、そういう関係です。
まず先に言うと、まず化学の知識は必須じゃないかなと思います。ただ、学部レベルのものではなく、高校レベル(理系)の有機化合物の一般的な知識レベルでも足ります。
もう一つ、法律的な知識は「表立っては」要求しないものの、それを前提にする字幕や展開は結構あるため、最低限の知識(特に、何でも良いので手続法と呼ばれるものは必須?)がないと、本当にわかりにくい展開が続きます(一部の登場人物が取る行動の意味が分からなくなるところがある)。その上で、そこそこ法律用語がバシバシとんでくる割に、なぜか一般的な意味で使われている部分もあったりと、大混乱を招きます。
もっとも、そのような知識を持っていなくても、テレビドラマなどで民事訴訟法などを扱うものは最近多いですから、ある程度そこで補うことも可能で、この映画はそこで何とか足りるように工夫もされています。とはいえ、それでも全部補えるわけではなく、法律系資格か、法学部1~2年生くらいの知識をこっそり要求しています(わからなくても大丈夫なように字幕で工夫しているに過ぎない)。
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▼ 見るにあたって最低限必要な用語(日米同じなので、日本基準で)
環境法: 「民法」のように単独の法律を指すのではなく、環境に関する法律(日本なら、例えば、悪臭防止法、工業用水法、大気汚染防止法など)をまとめたものを「環境法」といいます。
民事裁判: 民事裁判は私人間どうしの私的な内容を扱う裁判です。基本的には金銭での賠償を求めるのが普通です。逆にいえばそのような裁判である以上、民事裁判で「この人を刑務所に4年入れてくれ」というようなことは言えませんし、逆も同じです(役割が違います)。
※ ですから、日本でも、極悪事件がおきたとして刑事事件で最終的な刑が確定した後、「そのあとに」民事裁判で損害賠償を求めるというのは、このことと関係します。
(民事裁判における)却下と棄却: 裁判を起こしたのに相手方を間違っているなど、そもそも「正しくない訴訟を提起している」場合、「却下」判決になります(門前払い扱い)。これを超えてどちらが正しいか争って負けるのが「棄却」(判決)です。
このように「却下」と「棄却」はれっきとして違う語です。
※【本来、正しく使われるべき語】善意/悪意: このような法律ワードが飛び交う中においては、「善意」」「悪意」というのも法律用語として使われるべき…なはずです。あることについて「知らない」ことを「善意」、知っていることを「悪意」といいます。
…が、この映画、こういう法律ワードがどんどん飛び交う中で「善意」という語が一般的な意味(よい気持ちの持ち主、程度の意味)で用いられているため、さらに大混乱を招きます。
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さらに、化学的な内容も若干出ますので(ただ、映画内では主人公が弁護士であるという事情から、詳しい人が教えてくれる、という展開になっている)、理系文系のどちらの知識もかなり高い知識で求められるという展開になっています。
肝心の内容は…。そうですね。これ、ドキュメンタリー映画に近いといえますからね。
この映画は95%以上が実話ベースなのでしょうが、だからといって、これをもって、「映画内で出てくる、ある調理器具」叩きをするのは変な話ですし、その「ある調理器具」に施されれている技術は日本でも一般的に行われているものです。
起きたことは仕方がないものだけど、「証拠は隠さない、トラブルになりそうなら事件を出さない」「トラブルになったら、すぐに行政を含めて相談できる土壌を作る」という、良い意味で、この一連の事件で亡くなられた方も「真に」望んでいるであろう未来が、この事件でのテーマとなっている会社はもとより、アメリカや日本、やがては世界でも当たり前になれば…と思うところです。
採点は下記のようにしました。
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(減点0.2) 正直、かなりの「総力戦」を要求する映画になっています。化学に関する知識はもとより、法律(特に、民事訴訟に関する話一般など)の話などがどんどん出るため、理系文系どちらの知識も深く要求する「総力戦」で、ここまではちょっときついのでは…と思えました。
とはいえ、実話ベースであることは確かで、あることないこと書けないというのは、「いきなり「導関数」が出てきたボスベイビーとは明確に異なる」ことも事実であり、そこは考慮しました。
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マーク・ラファロの有無を言わせぬ実行力
彼はおかしくなんかなかった --- 人として真っ直ぐに正しい道を進み続ける演技派マーク・ラファロの製作も兼ねた熱演が見る者を釘付けにする。突き動かされる。スクリーンの外でも信念の人。彼以外も、本作の意義に賛同したであろう出演者たち(ex. アン・ハサウェイ、ティム・ロビンス、ビル・キャンプ、ビクター・ガーナー、ビル・プルマン)は皆各々の役割でしっかりと本作のテーマ・メッセージを理屈を超えて伝えるのに寄与しているし、本人たちの実名起用もより身近なこととして真実味をもたらす。
"Still here." 本作を見ているとき、実際に起こった(ている)現実の出来事であることを何度も力強く意識させられた。そうしたトッド・ヘインズ監督の引き込まれる見事な語り口はじめ、本当に真摯な気持ちで製作されたことが伝わってくるようだった。例えば『エリン・ブロコビッチ』や他にもこういう事例はあるけど、そのどれもがしっかりと語られる意味があるし、広く鑑賞されてほしい、そしてそれを見た人が考えてほしいと切に思う。
再三言ってるし言い続けるが上映中にスマホ開くバカどもくたばりやがれ。おまえら本当にそんなんで作品と向き合ってるって言えるのか?絶対真剣に受け取ってない考えてないし、こういう人らがデュポンみたいなことする。
Individuals take Action
観たい観たいと思っていた私の好みの映画。それ以上に、感心したのは、ベテラン俳優を使っただけでなく、地元の人々も参加したということ。訴えた事件当事者のアール・テナントはガンで死んだが、その弟や、デュポン社テフロン加工で長くはたらいていて妊娠してお母さんを持つ奇形になった男性も(ボブがガスリンスタンドであった青年)も参加していて、現実味がより増す映画構成になっている。弁護士の実在の実在の弁護士(ロバート・ビロット
)ボブもまだ、生きているから、役者にもアドバイスできたと思うし、オハイオ州シンシナチの弁護士事務所タフトという巨大で一流弁護士事務所を撮影場所に使ったらしい。
被害者のアール・テナントがこの弁護士事務所を訪ねて、ボブに『地域の弁護士は誰も関わってくれない』と。いかにデュポン社の息のかかっている。デュポン社がこの貧困のコミュニティーを支えているから。この会社がなくなれば、コミュニティーが崩壊してしまう。人々は黙って、何も見ない、疑問を持たないで生きていく。そうしなければ、ここで生きていけないという育ち方をしている。病気になっても、ここで生きていく。死んでしまえば、死人にくちなし。
現在、デュポン社は『モンサント』と同じ部門を持っている。米国にはモンサントと同じような企業が数社ある。その一つ。われわれは未だGMOの恐ろしさを実感していない。まだ、アール・テナントとは違って何にも気づいていないんだよ。
アール・テナントの素晴らしいところは、なぜ、牛が死ぬのかに疑問を持って、それをボブのお婆さんを通じて、この話をタフトに持って行ったこと。それも、企業弁護士であり、分野の違う弁護士事務所にこの話を持って行ったことが、企業弁護士というエリートの世界に何も予備知識なしに飛び込めた大きな理由ははっきり言って専門バカだから。弁護士についての知識があり、これは移民弁護士、これは離婚弁護士など考えると、このような大胆さは生まれにくい。このような知識のなさが、彼に大胆に動くことを躊躇させなかった。ランドヒル(Land Hill)の農家の牛のことには知識があり研究熱心で、殺された内臓のサンプルを集めたりするが、エリート社会の動きは全く知らないということが、『弁護をしてくれ』と頼めたのだ。この度胸に感心する。知らないことは強いこと。でも、彼は本当に助けが入ったのだ。(余談だが、こういう社会にトランプ政権はうまく入っていったのだ)
この一人の力が、社会を変える言動力になった。かれが、言い出さなければ、彼が泣きねいりしていたらと考えるとゾッとする訴訟事件。
私は、ミシンガン州の、フリントやランシングを訪れて、GMが去った後の実態や、汚染水の実態をこの目で見た。はっきりいって、社会からすでに取り残された場所になっていた。GMの跡地はそのままになっている。環境が汚染されているから、なにも建てられないし、学校は建物だけで、人々はこの土地から新天地を探してどこかにいってしまっている。
ここで、ある中心の弁護士がボブに『パーカーバーグ(Parkrerburg, West Virginia)から来たって人に言わないよ!』って、いったが、この言葉にはズキっとした。はっきりいって、階級社会を見せつけている。人間がだれでも持っている差別意識かもしれないが、弁護士というエリートが集まる都会、それとは逆にウエストバージニアの貧困層が住む場所から来たということを誰にも言わないよということなんだと思う。この弁護士ボブは二十年以上もかけて デュポン社と戦ったわけだが、この力となったのはきっと善悪の判断だったと思う。何が悪いか?何が正しいか?の信念が、最後まで彼を支え、この弁護の道からブレなかったんだと思う。
一番強烈だったのは、2012年、医者のカレン フランクがボブに電話してきた時、C-8はガンや他の病気の原因だと分かったとき、私は手を叩いて喜んだ。それもつかのま、ボブの大会社に対する怒り、まだ決着がつかず、デュポン社は3535人のケースを調べるという。大会社を相手取ることの難しさ。強烈に響いた。
2015年オハイオ州、コロンバスでやっと、解決の緒が見つかり、デュポン社は3535ケースに670.7 ミリオン払うことになった。そして、PFOAを『永遠のケミカル』と判断され禁止された。そして、まだまだこれからだと。
そして、ジョニーキャシュの I won't back downがエンドロールと共に流れた。
https://www.youtube.com/watch?v=N8i5NLyXZdc
Well, I won't back down
No, I won't back down
You can stand me up at the gates of hell
But I won't back down
I'm gonna stand my ground
Won't be turned around
And I'll keep this world from dragging me down
Gonna stand my ground
And I won't back down
公害を暴き戦った弁護士の実話。
環境汚染を認識していたにも関わらず、家畜が死に、農場は枯れ、人をも奇形や癌に苛まれる有害物質を川に垂れ流していたアメリカの科学メーカー"デュポン"。
この大企業の有害な不法行為を、1人で戦い抜いた弁護士の実話。
環境保護活動に積極的なマーク・ラファロ自身がプロデュース、そして弁護士役で、公害の恐怖を暴き出した作品。
デュポンを追いつめ多額の賠償金を勝ち取っていく弁護士の姿は、ドキュメンタリーに近い。
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