「こんなに躍動感があふれて、みずみずしい若草物語があっただろうか?」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに躍動感があふれて、みずみずしい若草物語があっただろうか?
49年版の映画は昔テレビで観たことがある。評判がよかったが、『若草物語』なら観たことがあるからと触手が動かず、劇場に観に行かなかった。失敗した。こんな話だったかなと思ったが、どうやら原作の続編なども加味したストーリーになっているようだ。監督は原作の大ファンだったそうで、2作目でそんな作品の映画化ができるなんてラッキーだなぁ。まぁ、それだけ実力があると言うことだろうが… 名作のなせる技なのだろうが、昔の話なのに現在にも通じる部分があるように描かれていることや、俳優陣の演技で本当に長目の作品ながら、あっという間に終わっていた。時制を崩していることで、話が少しわかりにくいところがあるが、誰もが知っている名作ゆえに興味を続けさせようと、いじったのかもしれない。気になったのは、2人の俳優。メグ役のエマ・ワトソンは、ハーマイオニー役が抜けきらずどうも優等生な役が多いと思う。ダニエル・ラドクリフ、ハリーが、悪役から果ては死体まで演じた役柄の幅広さに比べてタイプキャストな気がする。ローリー役のティモシー・シャラメは『君の名前で僕を呼んで』がすばらしかったので、この作品も『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も女の子に振り回されている役柄で物足りない。異性間の恋愛ではなかったこともあるとは思うが、『君の…』には、戸惑いや恥じらいなどもっと複雑な感情が透けて見えたのに、表面的な印象を受けたのは残念だ。ともあれ、主人公のシアーシャ・ローナンはいつもながらの共感度抜群の演技だったので、感動した。特に自慢の髪の毛を切ったところや、ローリーの結婚を知った時のシアーシャには涙がこぼれた。