「サマの寝顔で全てが救われるのか?」娘は戦場で生まれた Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
サマの寝顔で全てが救われるのか?
My parents always said I was headstrong, even reckless
I never understood what they meant until I had a daughter......You
彼女ワアド・アルカティーブ....娘Samaの無邪気な顔の大写しから始まる...そして暫くすると突然の空爆による着弾音...
Sama
I've made this film for you. I need you to understand
Why your father and I made the choices we did.
What we were fighting for.
このように撮影者であり監督の一人ワアド・アルカティーブがいかにシリア内戦の中、第一の都市アレッポで生き抜いてきたかの記録を娘に残すために描かれている...このドキュメンタリーは製作者自らが語り部となって娘に常に呼びかけるように話しかけるように伝えている。
この映画の撮影期間は2011年から2016年12月の反政府側から言うとアレッポ陥落、政府側からするとアレッポ制圧までの内戦の様子を夫の医師ハサムが自ら協力者と力を合わせて作り上げた簡易病院兼住居を舞台に主に2015年に娘のサマが生まれた前後を中心にイギリスのテレビ局のレポーターとしてシリア内戦の様子を伝えるためにSONY製のデジタルビデオカメラで2011年頃より撮り貯めていたものと合わせて一本のドキュメンタリーとしてプロのエディター2人と協力して再編集されたものを映画化をしている。
名もない女性の叫び
Are you filming? Why are they doing this to us? Film this!
It's mummy, I've got your milk?
Wake up Alaa, I beg you!
この映画を視聴制限 "G" で一般の映画館に提供するのをヨシと思わない蒙昧な者にとっては、数十名以上の虐殺された死体がブルーシートに包まれ広場に寝せられているだけでなく、残酷にも処刑スタイルで殺されたと思われる斜め後頭部から撃たれ前頭部が半分吹っ飛んでいる死体をモザイクなしに年齢制限なしに見せるのは、成熟していない大人だけでなく子供に見せるのは、はっきり言ってトラウマとなるのでせめて視聴制限を ”PG” にすべきだと個人的には思われる。Common Sense Media によるとこの映画は視聴可能年齢は15歳以上となっていて、Positive Messages、Positive Role Models & Representationsという肯定的な高い評価ばかりでなく”暴力” に対しての評価....Common Sense Mediaによる暴力の定義をこの映画について簡潔的に示しているので....
映画「娘は戦場で生まれた」における暴力
「子供、負傷者、出血、死にかけている、死んでいる人を含む実在の人々の激しいグラフィック映像。人々は爆弾と空爆で死にます。人々は愛する人の死を嘆き、悲鳴を上げ、泣き、倒れます。視聴者が気にしている人が傷つけられたり、捕らえられたり、殺されたりするかもしれないと思われる瞬間があります。
Common Sense Media Plusを使用して、お子様のメディアに暴力の制限を設定します。」
They're even using chlorine gas on us.
cluster bombs, barrel bombs
頭から血を流し為す術もなく途方に暮れる子供の哀しい顔、顔、顔...逆に爆弾でできた穴に水を流し込んで泳ぐ子供たち。死んでいる光を無くした子供の目...その子を抱える幼い兄弟たち。
その中でも...
意識を無くした夫人から帝王切開手術をして生まれたばかりの赤ちゃんが取り出される。灰色をした無機質な人形のように...助からない?医師がッと...青い目が一瞬大きく開いて閉じる...どのように撮ったのか?
So that you and all our children would not have to live as we lived.
Everything we did was for you.
It was all for you, Sama.
シリア陥落の後、政府軍とロシア軍から直ちにアレッポからの即時退去を命じられます。応じなければ死あるのみ...サマちゃんと家族はどうなったのか気になり..The New York Timesの2019.11.20の記事より”映画「For Sama」の後、シリアの家族がロンドンで避難場所を見つけた”...と あり、またWaad Al-Kateab氏のTwitterに元気に成長したサマちゃんを見ることが出来ました。
The Australianのベテラン記者がこのように映画についてコメントを残している。「この映画ほど強力なドキュメンタリー映画を見たことはほとんどありません。」...と