「「団塊の世代」「全共闘世代」には懐かしいくもホロ苦い!」一度も撃ってません 小久保達さんの映画レビュー(感想・評価)
「団塊の世代」「全共闘世代」には懐かしいくもホロ苦い!
昨日(7/6)は、4/9以来3カ月ぶりの映画館でした。入場者はガラガラの10人。「1人置きの座席」でしたが自由席でした。
映画評コメントを読んだ限りでは若い人には「?」らしいが、団塊の世代、全共闘世代には「しんみりできる出演者」と舞台設定でした。
ヤクザ家業にまで身を落としたヤメ検(岸部一徳)と、彼から「殺しを請け負っている」謎の殺し屋・実は売れない自称作家(石橋蓮司)。その二人が秘密に会っている新宿の小さな地下BARでいつも一緒に呑んでいる落ちぶれた女優(桃井かおり)が主な登場人物。『一度も撃ってません』というとぼけたタイトルの意味は、その殺しを請け負う作家は、いつも「凄腕の本当の殺し屋」に下請けをさせていて、「実際に自分では殺しはしない」という意味。
(ここからはややネタバレ)
観客は「この3人の関係」が気になるが、それは最後に明かされます。
この3人は、50年前、新宿騒乱のとき、機動隊から逃げて、逃げ込んだ地下のBARで「出会った」時からの関係だったという設定でした。当時は、司法試験を目指すガリ勉学生、小説家を目指す文学部の学生、女優を目指す売れていない劇団女優。
その時から、このBARだけで「会ってきた」という旧くて長い間柄。だから、「まっとうな人生から踏み外してからも関係が続いている」という設定でした。
これが、「同じような旧友を持っている」全共闘世代には「しみじみ」「ほのぼの」としました。同世代のオジサン、オバサンにはお薦めです。
私の父親世代なら「戦友」でしょうが、それは男だけの世界。これに対して全共闘世代は女子学生が不可欠。そのまま結婚したカップルも多かった!
他の出演者の顔ぶれも「もったいない」くらいの多彩さ! 佐藤浩市、江本明、妻夫木聡、豊川悦司、江口洋介、小野武彦、江本佑、大楠道代、井上真央、濱田マリ、他。