WAVES ウェイブスのレビュー・感想・評価
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全編埋め尽くすPop Musicにのれない
(年齢のせいだろうか)
日常が息苦しくて、水中のシーンでホッとする。人間は水生動物だったんだ。画面が激しく動く兄の心情は長く辛かった。
登場人物はそれぞれ存在感がある。妹の恋はCuteで救われるが、また、今一瞬のどうしようもない脆さが、それ故に輝く。
家族の物語
ビジュアルイメージが映画の内容と合っていない。きれいな画といける音を観せたいのは、エンディング近くの挿入歌「色と音」で知れる。
だがこれは壊れた家族の再生の物語。
ティラーラッセルが可愛いし、お兄ちゃんの話より、妹の話に比重を置いた方が良かった。
教会の説話、何処かで聞いたような…あぁ、世紀末の詩で竹野内豊が叫ぶ奴だ。あれ、DVDにして欲しいです。
いま、無事なのは奇跡!?
若い時は、つい感情に走ってしまう。あとから後悔する。つい数秒前には愛してるって言ってたのに、いまは、亡骸に。ボヘミアンラプソティの歌詞が耳に響く。両親は、特に成功していると感じている人は、自らを思い出し、失うのが怖いのでつい厳しくなるが、それが裏肌になるんだ。終身刑だって!これからなのに彼の人生は!せめて妹さんが幸せになってくれるなら。
色彩とカメラワークが独特
フライヤーの色の美しさにひかれて鑑賞。作品自体もすごく色がきれいで、ビビッドな色が目に飛び込んできた。
そして没入感のあるカメラワークも印象的。
今フライヤーを見返すと、名曲をたくさん使った「ミュージカルを超えたプレイリストムービー!」みたいなことも強調されてるけど、そういう印象はあんまりなかったかな。。私が洋楽をあまり知らないからかもしれないけど。音楽良かったとは思うけど、ストーリーになじんでてそこまで目立ったものと思わなかった。
ストーリーもそんなにポップなものではなくて、最近観た邦画の『許された子どもたち』みたいなシビアな目線を感じた。
人生の歯車はどこで狂うかわからない。主人公の男の子は若くて愚かではあったかもしれないけど、あんな辛い運命にあわないといけないのか。。
人種差別を描いている映画でもあると事前にどこかのレビューで見ていたけど、黒人であるがゆえに理不尽な差別を受けて明らかに貧しくて…みたいな境遇をわかりやすく表現するのではなく、お金持ちで成功している家庭、という描き方が新鮮だった。だけどその裏には、だからこそ誰にも後ろ指をさされないように生きなければいけない、という切実さが感じられた。
細波と荒波
レスリングに打ち込む高校生、タイラーとある出来事によって辛い状況に置かれる妹のエミリーを中心に描く家族の物語。
もうちょっとホンワカした作品なのかと思っていたので、あの夜の展開には驚き。
その日の出来事は極端だが、そこを除けば、まだ10代の男の子であるタイラーの気持ちや態度は、共感できると言うか、全てを否定できる人は居ないのではないかな。。
勿論絶対ダメなとこもあったけど。
そして妹のエミリー。健気で優しい良いコすぎる。それを支えたルークもグッド。
その他、家族を想いながらも結局は不器用な方向に行ってしまう父親と奥さん。
根は良い人なだけにとても歯痒い。
家族の難しさを描くと共に、壊れた家族を取り戻せるのも、また家族なんだなぁと。
また、しがらみを無視して大切に想ってくれる人が1人でもいれば幸せになれるのかと、柄にもなくそんなことを感じさせられた作品だった。
まんまと
映画館に来て、やっちまった!じかんかえしてw!と思ったのは久しぶり、いやあまり記憶にありません。
でも結局は自己責任なんだよなぁ。美しい色彩のポスター、添えられたコピーに安易に何かを求めに行ったのだから…。
内省的なリリックもトラックもあるのでしょうが、タイラーの心にフィットしたのはゴリゴリのラップミュージック。登場人物も作品自体も、ステレオタイプに何重にも包囲されているようで息苦しかった…わざとでしょうか。
とはいえ、帰宅してから本作についてあれこれ思いを巡らせるのは意外に楽しかった。
エミリーは兄を止められたのは自分しかいなかった、だから引き金をひいたのは自分だと重責に苦しむ。
でも実は、アレックスの命を奪うカウントダウンを始めたのはクリニックの前で抗議していた人たちではないだろうか。
彼女らが言葉と態度を選び、若い2人の心に響くような問いかけをしていたなら…。などと考えてしまいます。最も血を求めていたのは誰?いやまさか。
それにしてもタイラーは自分とは違う意見に2秒と耳を傾けられない。また、心のうちを自分自身にすら説明できない。
言葉がからまるとすぐ諦めてゴミ箱に投げ捨ててしまう。ピアノで遊ぶ心を持った彼なのに…。
人の話は最後までよく聞きましょう。自分の考えが伝わるように根気よく話しましょう。
何だかクラス目標のようなものが心に残った。大切なことには違いないですが。
鑑賞後いろいろ思いをはせるのは楽しかったので、まぁ良しと思います。でも正直早く別のスクリーンで上書きしたいw
人生には波があり、それは良い波もあれば悪い波もある...
ミュージカルを超えた「プレイリスト・ムービー」なんて売り文句ではあるが、全体的に音楽が映像に塗り込まれていて、音楽と映像が分離していないことを良い部分としてとらえるか、悪い部分としてとらえるが評価は分かれるのだろう。
ミュージカルという言葉を使いたくないのか、ソフトミュージカル的な作品に対して「プレイリスト・ムービー」と言っているのかとも思ったのだが、実はそこまで「音楽」自体に軸を置いた作品ではない。
またケルビン・ハリソン・Jr.の絶望的な歌唱力による車内シーンから始まるだけに、この歌唱力でミュージカルなんてやめてくれ!と思うかもしれないが、そこは安心してほしい。その悪夢はすぐに終わってくれる。
間違いなく、今作のエッセンスやスパイスとして「音楽」が機能しているし、監督自身もインタビューなどで、「まず使用する楽曲のプレイリストを作成し、楽曲から受けたインスピレーションをもとに脚本を執筆した」と語っている通りではあるが、それは「音楽」によって形成されているドラマではなく、ドラマの内容を想定しつつ「音楽」をはめ込んでいったというものでは完成されるものが違ってくるのだと思う。
それが今作は絶妙なラインで「音楽」と「ドラマ」が一体化していて、良い意味で「音楽」を「音楽」として分離した形で感じさせない、ごく自然に感じられるのだ。
だからこそ、逆に意図してドラマパートと音楽パートを分離させる構造の定番ミュージカルや音楽ムービーと想定して観ると失敗する作品であるのだが、作品で描こうとしている、繊細であり残酷なテーマ性と「音楽」と同様に所々に映し出される海だったり、パトカーのランプの光などを巧みに使ったアート的な映像美が幻想的にも機能していて、決して「音楽」に引っ張られてノリだけで作られたような、アートって言えば成り立つでしょ!と言わんばかりの強引なアート映画では決してないことだけは断言しておきたい。
今作を大きく2つのパートとして分けると、父親からの圧力や継母との関係性もありながらも、充実したエリートリア充人生からの転落するタイラーの物語と兄の起こした事件によって、日常にあったものが奪われるが、その中で触れる優しさからの再生をしていくエミリーの物語。
つまり人生には波があり、良い方向から悪い方向に動く波もあれば、逆に悪い方向から良い方向に動く波もあるという、ときには別の波の余波が影響をもたらすこともあるということを、同じ家族という形態の中でも容赦なく起きてしまうという、家族だからこそ起きてしまうという現実の残酷さがタイラーとエミリーによる2つの視点を通して描かれているのだ。
実は普遍的なテーマであり、逆に言えばありがちなドラマではあるのだが、確実に「音楽」と「映像美」によって、大きく差別化に成功している作品である。
出演者としては、『エスケープ・ルーム』『ロスト・イン・スペース』などに出演する若手女優エミリー・ラッセルの可愛らしい表情にも注目してもらいたい。
光と影と色と音とリリックのオブジェ
光と影と色と音とリリックのオブジェが人生の脆さと喪失とささやかな再生を切なく激しく表現する傑作だとは思う。ただ、個人的には必然の様に転落していく凄まじい前半に対して、後半の再生のパートにはあまり乗れなかった。まあ、これはそれぞれの見てきた光景によるんだろうな。
あと、映画の評価とは別の話。カニエ・ウエストの楽曲が印象的なシーンで使われるんだけど、主人上のタイラー並みに不安定になっている今のカニエが心配。
うーん・・・ スタイリッシュなだけかな…
辛口です。※ネタバレです
話題になるだけあって、映像も音楽もイケてます。さまざまな楽曲が登場人物たちの気持ちや場面にリンクする。
あぁ、斬新な見せ方だな、と感心はしました。
ですが、冷静に考えるとストーリーはありがちなもの。
やたらとハングリーで独善的な父親に押し付けらた理想像に追いつけず息苦しくなってたところに、致命的なケガ、レスリング選手としてドクターストップがかかった上にタイミング悪く恋人の予期せぬ妊娠にパニクる高校生。
彼、優等生だったのに。
あれよあれよと言う間に最悪な方向に急降下する展開が少し思考に追いつかない。
主人公がゲスすぎる。
すぐキレる、彼女に暴言・暴力。挙げ句の果てには殴り殺す。
最低やな、こいつ。
誰も相談できる人もいない。そしてどんどん自分を追い詰めていく。
一見幸せそうな中流家庭なのにね。
後半は「殺人犯の妹」の立場のお話。
家族の再生?まで。
救いは妹の彼氏かな… さすがルーカスくん、ごく自然に演じてて、好感持てた。
メッキの剥がれた家庭の姿。意外と脆かった、という・・・
人を殺めるという最悪の事態は避けられたはず。
自分に自信満々で人に理想を押し付けていた父親、なんだか私の父に少し似てて、胸がチクリ。
被害者の遺族に対してもっとお詫びの気持ちはないのだろうか?
加害者側としての自分たちの苦しみは、罪のない娘を無残に殺された彼らの悲しみに比べようもない。
私が遺族なら、この高校生を殺す。
その辺りをもう少し描いて欲しかった。
もうひとつこの家族の気持ちに入り込めなかった。
人間、傲るべからず。
子供をコントロールできてるなんて思い込まない方がいい。
あれだけ一緒に過ごして、実際は子供の心の悩みなどに一切気づけていない鈍感な父親だったし、結局は自らの厳しい子育てのせいで子供を追い詰めていた。
自信喪失し、世間からも非難され、すっかり肩を落とし娘に詫びて涙を流す父親の方が人間らしい姿で、ようやくその悲しみに心寄り添えました。
何かとスタイリッシュに演出された映画ですが、内容にはあまり期待しない方が良いかと。
一生に一度の・・・・・は過剰JARO
これはアメリカの裕福な黒人家族のお話。 前半はお題を付けるとすれば、「タイラーのバカ」一番バカな点は彼女に妊娠を打ち明けられてからの態度。なにがなんでも堕胎を迫り、親に相談したことさえ責める。恐ろしいほどだった。その次はすぐ手術が必要な重症の左肩関節唇損傷 SLAP lesion を親に報告しないところ。担当医は継母が医者であることを知っていたのか、じゃあ母親には自分から話せるよなと念を押すのだが。おまけは父親の鎮痛剤を黙って飲み、水筒に容れたウオッカで流しこみ、車運転するし、マリファナも吸う。彼女はパーティー会場で突き飛ばされて床に頭を打ち、頭から血を流してあっさり死んでしまう。パーティー会場に乗り込むシーンも酔っており、なんかスリラー調。やな予感しかしない。救急車も呼ばず、自宅に逃げ帰る。背景にはスパルタな父親からのプレッシャー。スポーツ推薦で有名大学に進めと呪文のように繰り返し言われていたのか。とにかく自分の保身が一番なのだ。優しさの微塵もない。筋肉💪バカ。それにしても、まだ1時間あるし、この先どう展開させるのよ。スクいようないしと不安になった。飲んではトイレや風呂場でゲロする場面も多すぎ。こっちもヘドがでそうなくらいダメダメ。なのに夜中に甲斐甲斐しく兄をバスルームで介抱する妹のエイミー。優し過ぎでしょ。禁断の近親相姦モノになってしまうのかとチラッと思ってしまうほどでした。
さて、後半はと言いますと、妹エイミーの物語。眼がとてもかわいらしい。右眼の横から頬の皮膚が白っぽい。生まれつきの白斑症なんだと思う。メイクで少し隠している感じ。そんなところもいじらしい。決してすごい美人ではないが、人からは美人だねと言われる。心の美しさと謙虚さが出ているのだと思う。兄の殺人罪が確定したあとの家族の変化と学校でも人を避け、心を塞いでしまっているエイミーに好意を寄せて、ゆっくりと近づいてくる白人の男性生徒ルークとの恋とルークの何年も会っていない父親の最後がからむ青春ロードムービー。ミズリー州まで丸2日。立ち寄ったモーテルでの合体シーンも優しく実に初々しい。エイミーの父親がエイミーを釣りに誘い、懺悔し、謝罪するシーンもあり、すっかり関係が悪化した母親との橋渡しをエイミーに託すシーンあり。思い遣りに溢れる彼女の行動や言葉にあわせて、かかる曲の歌詞がその場の状況や気持ちとリンクするので、セリフや説明は少なくても、感情に訴えかける構成。
映画の冒頭と最後は短パンのエイミーが自転車で並木道を晴れ晴れとした感じで走り抜けるシーン。前進あるのみと。最後は青春映画ですね。要するに、人には愛情と思い遣りを持って接することが一番大事なんだということです。余裕がないとついおろそかにしてしまうんですけどねえ。人生ついてないと、擦れっ枯らしになっちゃうし。
後半はメインのエイミー主役の映画だったわけです。タイラー役はもちろん熱演でした。レスリング試合のシーンもリアルでした。しかし、みんなこの際、エイミーの映画なんだと割りきりましょう。
アメリカ映画なのになんか説教くさいお金のかかってない邦画みたいな感じでした。一生に一度の・・・・・は過剰JARO。
エイミー役の彼女の次回映画出演を楽しみにしてます。また、ルーク役のルーカス・ヘッジズ君は近日公開のハニー・ボーイでの主演あるので、楽しみです。
意外と、長い
基本的な画像の質は良くありません。音質も低音が制御できていないような印象で、あまりクオリティーの高さを感じませんでした。
しかし、展開や絵や光などがめまぐるしく変化していくために、質の粗さは、それこそ粗探ししなければ気にならないと思います。
内容が盛りだくさんであるため、想像以上に長く感じました。でも、その中には心に響く小品やら音楽などがきっとあることでしょう。
自分はとにかくエミリーには絶対に幸せになって欲しいと祈るばかりです。
内容が薄い。。。
登場人物の心境に合わせてスクリーンサイズが変わっていくという仕組みは面白いと思いました。
今のご時世に家族のありがたみ、他者の存在こそ自分を支えるし、自分も他者を支えることができる(妹は被害者として打ちのめされていたが、自分が他者を支えることが出来ると気付いた時に、同時に自分も救われていく)ようなテーマかなと思い、さすがA24スタジオ、良い映画つくるなぁと思いました。
ただ、それにしては家族のエピソードが少ないので家族が崩壊していくことに対する登場人物達の悲しみに私の気持ちがついて行かなかったのと、兄の腕はやばい状態だったのに結局どうなったの?とか、父親はモラハラ完璧主義者だけど兄妹の夜遊びは比較的緩いのなんで?とか(過保護な人なのかそうじゃないのかよくわからなかった。)、こういった細かいところが気になってしまった。
後半の妹のボーイフレンドの父親との確執も、そのエピソードが言葉だけでさらっと説明されるだけ。
こういった家族の繋がりの重要そうな部分が言葉で軽く流されるだけなので、内容がとても薄く感じた。
後は前半から後半に至るパトカー内での主人公のドアップ映像は、赤青の光がチカチカととても眩しく、例の「ポケットモンスター」の事件(詳しくはwiki等で)を思い出して、これは部屋を明るくして画面から離れてみるやつでは?!と心配になってしまった笑
妹がかわいい
兄貴は超短気で全く共感出来ず。彼女を殴って倒れたら逃げずにすぐ救急車呼べよ。兄が殺人で刑務所に入ってから妹が主人公になるけど、この黒人の子がかわいい。救われる気がした。
割とまっとうな家族の映画バイザフロリダ
観るまでいまいちなんの映画かわからなかったけど、見てみれば割とまっとうな青春と家族の話バイザフロリダみたいな映画だった。
予告編で散々宣伝されてるように夏だしサウンドを楽しみに観には来たので割と堪能する。シーンによってシネスコとスタンダードだとか画面が変わるが、観た映画館が何故かベースがビスタになっているので勿体ないと思った。
賛否別れる
前半、リア充高校生のあれやこれや
正直、イラつく
舞台が日本だったら、主人公死ね位思ったかも
後半、満を持してルーカス・ヘッジス登場
いい映画なんだろうが、退屈といえば退屈
日米の高校生事情が違い過ぎるので感情移入できず
とりあえず、アメリカは飲酒運転に寛容だよね(酒飲んだあとさらっと運転する場面多し)
ストーリー自体は単調だけど
ストーリー自体は、よくある話。一見幸福な家庭がある事件がもとで崩壊するが、最後にはまたまとまりを持つ。
ただ、この映画は背後で流れる音楽の歌詞、そしてカメラワーク、画面からこぼれ落ちる色彩の変化、スクリーンの変化が、ズンズンと見た後になって心の鼓動を揺るがしてくる。
また、あの家族に会いに映画館に行きたくなる。
もちろん、数ヶ月後にはサブスク系で配信されるかも知れないが、この映画は映画館でこそ観るべき映画だと思う。
ちょっと珍しい洋画かも
前半と後半で主人公が変わる作品。
話も邦画とかでありそうなお話でちょっと珍しい。
音楽の使い方も面白いし、少しクドいけど車中の撮影なんかも試行錯誤しててやはりなんだか珍しい。
途中途中でインスタの写真を観てるかのような魅せ方を挟んでくるのがやり過ぎてる感があってお腹いっぱいになってしまうけど。
心技体の精神って大事だよね。格闘技だったら尚更。
響く場面は何故か音楽なし
実に美しい映像で描かれるが、前半のタイラーの物語は話の雰囲気に対して映像も音楽も上滑りしているように感じられてあまり迫ってこなかった。途中で画角を変える意味もわからないし。
それに対して後半のエミリーとルークの物語はミニマルながら、だからこそのリアリティを持って迫ってくる。テイラー・ラッセルもルーカス・ヘッジスも素晴らしい芝居だった。特に、ルーカス・ヘッジス!
こっちが本命じゃん、と思ったらエンドロールではテイラー・ラッセルが一番に。なんだよ、そういうことかよ。
エミリーの物語を描くためにあれだけの尺をテイラーに割いたのだとしたら、意地が悪すぎませんかね…?
しかし、プレイリスト・ムービーと言いながら響く場面は何故か音楽なしなんだけど、それもどうなの…?
催眠術のような映画
鮮やかな色使いと抽象的な撮り方が印象に残る作品です。
前半のタイラーの転落ぶりはあまりにも辛く、絶望的でした。
彼の父親が息子に厳しく接する理由は「黒人だから」です。彼は自分たちは他者より何倍も努力しないと欲しいものは手に入らないということを知っています。だからこそ我が子に辛い思いをさせないように厳しく接するのです。
しかし結果的にはその抑圧が裏目に出て、タイラーは薬物中毒に近い状態となり、肩に負担をかけ、誰にも相談できずに精神的に不安定になり、彼女を受け止める余裕をなくし、積もりに積もった苦しみと瞬間的な怒りで彼女を殺してしまいます。
この前半が淡々と描かれていたら、それなりに受け止められたと思いますが、この映画ならではの抽象的な表現や音楽、色使いやカメラワークのせいでまるで催眠術にかかったような状態になり、物凄い絶望感に襲われました。
後半は妹の強い、希望を想起させるストーリーになっています。
兄が犯罪者となり、孤独になった彼女の前に現れる白人の彼と共に成長し、命との向き合い方や家族の大切さ、他者と、自分自身と向き合うということはどのようなことかを教えてくれます。
しかし自分は前半の絶望感を拭うことはできませんでした。まだ自分が10代と、若いからかもしれませんが、争いようのない理不尽が世の中には存在するという事実と、人間が転落した時の恐怖を再度突きつけられただけでした。
20年後に観たら違うことを感じるかもしれません。
しかしスクリーンの使い方やテンポよく変わる音楽、酔そうになるカメラワークや鮮やかな色が客観的に、冷静に映画を観ることを許しませんでした。
あまりにもタイラーに入り込んでしまったのか、黒人というだけで生じる不正義に打ちのめされたのかは分かりません。
単純に、今の自分にはWAVESを飲み込む力はありませんでした。
映画自体には様々な社会問題や問題意識を提起する点が散りばめられており、良質なものだったと思います。キャストの方々の演技も素晴らしかったです。
全153件中、61~80件目を表示