「Shazam映画」WAVES ウェイブス ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
Shazam映画
でもシリアスなトーンになると急にピアノがポロローンみたいなステレオタイプ劇伴になるのね…っていう。そこまで音楽にこだわるならドローンとかでも良いのではと思った。
以下はほんのりネタバレの寝言です。
エンドロールのクレジットは妹のエミリー役が先だったので、ひょっとして主人公は妹だったのかな? と思った。
ストーリーの切り取り方とカメラワークが独特な浸る系作品。
日頃あけすけでタイトな映画ばかり観ているのでこのゆったりムードに慣れるまでに少し時間がかかった。あとグルグルカメラと激しい明滅があるので人によっては酔うかもです。
アマレスなら「フォックスキャッチャー」、家族の地獄なら「アメリカン ビューティ」、プレイリスト映画なら「ベイビードライバー」、そして叙情的な黒人映画としては「ムーンライト」の方が、などと無粋なことを思う。
妹がかわいいかった。
兄貴は金髪ポーズのマッチョなのでちょっと松本人志に空目。むしろ松っちゃんがマッチョな黒人男性に寄せて行ってると言うべき?
パパも辛かったんだろうけど、あの転向ぶりはちょっと都合が良すぎる気もする。
それが主眼ではないにせよ、マチズモの暴発の結果を女性が後始末するというのは古式ゆかしいいつもの構図だし、私には根本的な解決になってない気がしました。
キラキラした若いカップルの場面で同時にパパとママにもきっとこんな時代があったんだろうなと考えたりしたけど、だからって彼らに解決策があるわけじゃなく、タイラーはもう戻れない。彼の肩関節のように。まだたったの18歳なのに。これからも波のように繰り返されるだろう、ありふれたアメリカ家庭の悲劇。
途中、もしや妹が兄貴のやったことをループするのか?と思ったけど、そこまでは鬼じゃなかった。
タイラーは結果的にこの一家にとってキリストのような存在だったのかなあ。「俺は神」だし…
水の場面が多い作品で、観終わって外に出ると偶然にも雨が降りだしていた。それで水は神(の慈愛)の象徴ってことだったのかなと気づくなど。
wavesは、もちろん人生の波と音楽のダブルミーニングなんでしょうけど、正直あんまり音楽の使い方がピンと来なかった。
それにしても、頭にA24のロゴが出て、走る車の窓から人が顔を出すとつい余計なこと考えて緊張する。アリ・アスター監督のせい。。