「新しい映像表現への挑戦」WAVES ウェイブス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
新しい映像表現への挑戦
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画像的な新しさはすごい!
画角・面積と、色、音楽で主人公の精神状況を表していて、前半は段々画面が小さくなって&暗くなって。
後半は段々広がって、明るくなっていく。
プレイリスト・ムービーって宣伝は、全然嘘で詐欺に近い。
無駄なセリフがないくらい、セリフを最小限に削っているのですが、心境を説明するのに歌の詞を利用してるので逆に言及しすぎてうるさいという。
傍目では上手くいっている家庭の、崩壊と再生を描いていて、一見すると感動的に思える。
だけど……
前半と後半で主人公が変わるのですが、前半の主人公、兄タイラーと父親にはかなり苛つき、お前らまとめて人生台無しになればいいのに、としか思えない不愉快なキャラ設定とシナリオ。
ことあるごとに、アルコールやドラッグありのパーティーやっていて、酔って車を運転する高校生なんて、日本じゃまったく縁がないので、どうにも「あーそう」と冷めてしまう自分を止められず。
エンディング・キャストのリストを見ても、トップ(主役)が後半の主人公・妹エミリー。
なので、前半のタイラーは完全に当て馬というか、エミリーの引き立て役。
たぶん、タイラーや父親のような、少し前にアメリカに多かった、人の話を聞かずに「自分のために女を利用する男」「全ての判断基準は自分可愛さ」な独善的男像を否定したかったのだろうと。
ただ、男性がフェミニズムやポリコレ視点を意識して、男性の嫌な部分を強調して作ったような計算的いやらしさも感じたんですよね。
「アカデミー賞欲しい病」な臭い。
映像体験としてはいいけれど、中身は好きじゃない。
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