「映画自体は素晴らしいんだと思う、たぶん」WAVES ウェイブス ユメさんの映画レビュー(感想・評価)
映画自体は素晴らしいんだと思う、たぶん
洋楽には疎くケンドリックラマーやカニエウエストくらいしかわからなかったが、ポスターの色彩と「一生に一度の傑作」の謳い文句とに惹かれて、事前情報ほぼナシで鑑賞。
個人的にはミッドサマーを上回る極悪な不快さだった。
加害者と被害者をメインに据えるポスターってなんやねん…
運転席と助手席の間でグルグル回るカメラ、いちいち長回しで揺れるので映像酔い。
パトカーの回転灯、ダンスパーティ、リムジン内を映して点滅しまくる画面、酒とドラッグ、嘔吐、弱い者への暴力、やたら不安を煽る音楽も相まって途中からサイコスリラーかな?と思った。またはドラッグムービーかな?バッド入ってる時の世界ってあんな感じなんだろうね。
暴力自体悪いことだけれど、特に自分より力のない人に暴力を振るうなという教えで育った自分からしたら、カッとなって怒鳴りつけるのも手を出すのも最低。子供を産む決断をした彼女に何の非もない。捨てられるのも当然。
終始彼女の話を全然聞こうともしない。家族に相談しづらかろうと自分の手に負えないことは相談すべきだった。怪我のことを伝えずに一人で抱えたから失敗しているのに、そこから何も学んでいない。
妹と両親が新たな一歩を踏み出していくパートは本当に良かった。だが兄貴が兄貴だしやたらスリラー調な前半を観てきたので、ルークも妹の過去を知っていて陥れようとしている悪いヤツなんじゃないか?という疑いがしばらく抜けなかった。
良い曲がたくさん使われているのだろうけれど、この映画を通して知ったことでどの曲も刺さらなくなってしまった。レディオヘッドは不気味に聴こえてしまい、本当に吐き気がして退席しようか迷った。
でも色々な映画祭で絶賛らしいし良い映画なんだと思う。酒もドラッグもクラブミュージックみたいなのも無縁で、全部を不快に感じてしまった自分に合わなかっただけだと思う。でも、この映画を観て明日の希望になる、というのはかなり無理があるような、、、
自分のように、車の窓から手も顔も出すことが出来ない臆病な人間には早すぎたようだ。