劇場公開日 2020年12月25日

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「日本の小説をアニメ化にする必要性を感じない」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0日本の小説をアニメ化にする必要性を感じない

2022年4月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

寝られる

原作未読

田辺聖子原作の小説を池脇千鶴妻夫木聡共演で2003年に公開された名作を20年近く経ってからなぜかアニメ化
アニメ作品が実写映画になるケースは多いが実写映画がアニメになるのは珍しい
どちらかといえば地味に公開されたのでレビュアーが207人と多いのも意外だ

アニメの設定は2003年版と基本的にほぼ一緒だが細かい点がかなり違う
その2003年版も例外に漏れず原作とはわりと違うらしいのでアニメオタクみたいに原作レイプと罵るのはお門違いも良いところ

タムラコータロー監督作品初鑑賞
脚本は『ストロボ・エッジ』『滑走路』の桑村さや香
ぶっちゃっけ桑原作品は退屈でつまらない

ジョゼに清原果耶
恒夫に中川大志
2人の有名若手俳優を迎え興津和幸など声当て専門の人たちで脇を固めた堅実なキャスト

ひょんなことから先天的な身体障害者で車椅子生活の少女をお世話をするバイトを始めた大学生の話
彼にはダイバーとしてメキシコ留学の夢がある
彼女には絵本作家になる夢がある

原作の設定はおそらく関西弁なんだろう
その点では清原は池脇同様関西人だから全く問題ない
いまどきの若い大阪娘はあんな関西弁を使わないという意見もあるかもしれないがばあちゃん子だしナウなヤングと違っても不思議ではない

キャラクターデザインは好きでも嫌いでもない

SF要素がないファンタジー
教科書通りの美しいラブストーリー

池脇妻夫木版と比較するといい意味でも悪い意味でもすっきりしてしまった印象
体に良いとされる低カロリーのカレーを食べてるような気がして物足りない
実写映画の様な卑猥さは全くないので小中学生の女子には向いているかもしれない
そのためか実写版で江口のりこが演じたキャラは登場しない
健全で模範的なアニメといえる
毒にも薬にもならない

僕はアニメ嫌いじゃないがアニメオタクほどアニメが好きなわけではない
ジャパニメーションは日本が世界に誇る文化だと鼻息荒く語る人種とは違う
概ね高評価だがラピュタやカリオストロやガルパンに比べたら凡作と評価を下すほかない
絵が綺麗だとか街がリアルとか稚拙で小並感
はっきりいってアニメ化にするような題材とは思えない

ネットはアニメオタクが幅を利かせすぎている
検索汚染は彼らのせいだ
リアルでは肩身の狭い思いをしているからだろう
それはそれでいいのだがそういった人たちの不満を一般国民の世論かのように書き立てヤフーなどで発表する三流マスコミのライターの記事が我慢ならない

僕はアニメより日本の俳優の芝居が好きだ
それをこの作品で再確認した
大人の落書きが池脇や妻夫木に勝てるわけがない
三次元の意味がわからない人たちは日本の俳優の良さを全く理解しようとしないので邦画ファンとしては目障りな存在でしかない
おそらく脳の構造がかなり違うのだろう
理解しあえるのは無理な話だ
それならしかたがないと諦めるほかない

あと日本の文芸作品はアニメに向いていない
小説を映像化する場合はテレビドラマか映画が良い
人間が顔出しで表現しないといけない
声だけなら朗読劇で充分
アニメ映画をつくるなら実写ではとても敵わない表現を駆使した芸術性が高いものを求める
せめてハラハラドキドキさせてほしい
少なくともラピュタやカリオストロやガルパンにはそれがある
交通事故や車椅子が止まらなくなるトラブル程度ではドキッとしない
『ちびまる子ちゃん』や『きんぎょ注意報!』のようなギャグ要素があれば良いが当然それもない
とてもじゃないけど星4の作品ではない

野川新栄