「食物をいただくという事」フード・ラック!食運 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
食物をいただくという事
焼肉へのリスペクトに溢れた作品だった。
異色といえば異色だが「焼肉」に特化しているだけで、食事や料理、またそれらへのリスペクトにあたる作品はなくはない。ただこの作品が異色だと思うのは、画面から焼肉愛が肉汁の如く溢れだしてる点だ。
おそらくならば監督は、肉を目の前にする度に、料理人への敬意を忘れないのであろう。美味い肉が自分の目の前に出てくる出来事に感謝するのであろう。
ともすれば
「凄くないか?お金を払うだけで、こんな美味いものが食べれるんだよ?俺、お金払うだけだよ?後は全部、料理人がやってくれるんだぜ?仕入れて仕込んで手間かけて…俺何にもしてないよ。凄いよこれって。なんで皆気づかないの?とんでもなく幸せだよ!!」
なんて事を思ってそうだ。
最後のサイトの紹介文が全てなのかと思う。
オーダーをすれば美味しい料理が出てくる。それにお金という対価を支払っているのだから当たり前といえは当たり前。でもその当たり前を当たり前であるように尽力してる人がいる。
その料理人達があらゆる手間をかけて、その料理は皿に盛られ当たり前のように目の前に現れる。
その最高の仕事をしてくれて、出て来た料理の仕上げを自分がやる。
「焼く」
間違えてはならない。
今までの仕事が全て台無しになる。それは偏に料理や料理人への冒涜に他ならない!
そのくらいの意気込みを感じ、それへの感謝をドストレートに映像にぶち込んだような…ある意味寺門監督にしか撮れない作品なのかもしれない。
料理にまつわるアレやコレやの造詣は、確かに深く、評価サイトやカリスマレビューアーなどのくだりには信憑性も感じてしまう。母の仕事が料理人達へ受け継がれてるという展開もいい。「料理は人と人とを繋ぐ」のだ。
…そう。
料理に関するものは全て良かった。
ただ、映画としてみると粗も目立つ。
芝居は全て役者任せだったのではなかろうか?肉に懸ける情熱は確かに非凡なまでの熱を感じるのだが、その外周にまでその熱が及ぶ事がなかったように思う。
ひょっとしたら遠慮と呼べるものなのかもしれないが、役者への演出はあったのだろうか?
それだけでは無いが、あちこちに綻びが目立ち残念だった。
竜さんと白竜さんがいい仕事してた。
竜さんのシーンで泣きそうになった。
余談ではあるが…
今回のスタッフロールでも「MEGUMI」さんのコールがあった。あのMEGUMIさんだよな…。
あのMEGUMIさんじゃないのかな?
今回も見つけられなかった。
コレで何本目だろうか?
スタッフロールで初めてMEGUMIさんを認識するのは。思い返してみても出てこない。
今回も損した気分だ。