スキャンダルのレビュー・感想・評価
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主演女優シャーリーズ・セロンのカッコ良さと権力者と闘いを描く脚本の面白さ
ジェイ・ローチ(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男等)監督による2019年製作のカナダ・アメリカ合作映画。原題:Bombshell、配給:ギャガ。
アトミック・ブロンド(2017年製作)の後にこの映画を見たので、シャーリーズ・セロンの演技の幅の大きさ(実在のキャスター・メーガン・ケリーに似せたメーキャップと演技らしい)に、圧倒されてしまった。彼女、製作者でもあるが、一作一作チャレンジする姿勢が何ともカッコいいい。
「FOXニュース」のメーガン・ケリー、グレッチェン・カールソン、ロジャー・エイルス、ルパート・マードックとトランプ大統領などは、実在の人物。そこに、マーゴット・ロビー演ずるケイラといった架空の人物を加えて、組織内権力者と勇気を出して頭脳で闘う女性たちを、事実を土台に膨らまして描いたチャールズ・ランドルフによる脚本が素晴らしいと思った。強力な権力者を相手に弱き者達が闘いに勝つ物語に爽快感も感じた。
主役たちと対照的に上昇志向は乏しくFOXニュースに勤めながらクリントンを実は応援している普通の女性社員、ケイト・マッキノン演ずるジェス・カーを、ケイラ(マーゴット・ロビー)の友人として設定しているのに、感心させられた。目立たぬように慎重に生きる彼女の姿勢に、リアリティと共感を覚えた。
セクハラを訴えた社員が出た後に名乗り出るのを躊躇したメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)、更に追随を非難する周りの人達の姿にリアリティを感じた。グレッチェンがFOX側と和解に応じたこの事件を、映画で再び掘り起こす米国映画人の問題意識に感銘を覚えた。残念ながら、日本では類似事件は殆ど報道も無く、企業内のセクハラ糾弾はもっと困難かもとも。有名なジャニーズ事務所のあの方も、セクハラ行為を本などで書かれたが、結局大きな問題にされなかったし。
制作アーロン・L・ギルバート、ジェイ・ローチ、ロバート・グラフ、ミシェル・グラハム チャールズ・ランドルフ、マーガレット・ライリー、シャーリーズ・セロン、ベス・コノ A・J・ディックス、製作総指揮ミーガン・エリソン、ジェイソン・クロス、リチャード・マコーネル、脚本チャールズ・ランドルフ(マネー・ショート 華麗なる大逆転等)。
撮影バリー・アクロイド、美術マーク・リッカー、衣装コリーン・アトウッド、
編集ジョン・ポール、音楽セオドア・シャピロ、音楽監修エブイェン・クリーン
特殊メイク(シャーリーズ・セロン)カズ・ヒロ
出演は、シャーリーズ・セロン(メーガン・ケリー)、ニコール・キッドマン(グレッチェン・カールソン)、マーゴット・ロビー(ケイラ・ポスピシル、ドリームランド等)、
ジョン・リスゴー(ロジャー・エイルズ)、ケイト・マッキノン(ジェス・カー)、コニー・ブリットン、マルコム・マクダウェル(ルパート・マードック)、アリソン・ジャネイ。
元始、女性は実に太陽であった…。 いつまでも月が黙っていると思うなよ!
2016年に行われた、FOXニュース創始者でCEOのロジャー・エイルズに対するセクハラ告発を取り扱った、史実を基にしたサスペンス・ドラマ。
FOXニュースの人気キャスター、メーガン・ケリーを演じるのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ワイルド・スピード ICE BLEAK』の、オスカー女優シャーリーズ・セロン。なおセロンは本作の製作も担当している。
ロジャー・エイルズを告発したFOXニュースのキャスター、グレッチェン・カールソンを演じるのは『LION ライオン 25年目のただいま』『アクアマン』の、レジェンド女優ニコール・キッドマン。
野心的な若手テレビマン、ケイラ・ポスピシルを演じるのは『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビー。
第92回 アカデミー賞においてメイク・ヘアスタイリング賞を受賞!
第73回 英国アカデミー賞においてメイクアップ&ヘア賞を受賞!
原題は『Bombshell』。爆弾という意味。
転じて、衝撃的なニュースや悩殺美女という意味も持っている。
この原題は「衝撃ニュース」と「悩殺美女」のダブル・ミーニングになっており、まさに本作の内容にピッタリである。
これを無視して『スキャンダル』という邦題にするというのは、あまりにも安直すぎやしませんか?
ハリウッドTOP3とも言うべきトップスター女優が共演。
常にフェミニズムを訴えるような作品を作り続けているシャーリーズ・セロンらしい、ウーマン・リブを真正面から描いた映画である。
「FOXニュースのセクハラ騒動を取り扱った映画」と聞くと、我々日本人には縁遠い作品であるかのように思われるだろう。
しかし、本作で描かれているのは非常に普遍的なジェンダー問題であり、日本人の女性にも大いに共感できるところがあると思う。
更に言えば、本作で描かれているのは強大な権力を持つことにより起こる人間性の堕落、そのような権力者に従属することにより起こる組織の歪み、そしてそのような組織の中で働かざるを得ない人々の苦しみ。
日本の労働環境のことを考えれば、この映画で描かれていることは正に我々が考えなければならないことそのものである。
驚かされるのは、本作が2019年に公開されているということ。
セクハラ騒動から僅か3年しか経っていないのである。
「鉄は熱いうちに打て」というが、このスピードは凄まじい。
また、テレビ局の不祥事を映画に出来ると言うところに、アメリカの表現に対する懐の広さを感じられる。
日本じゃ絶対に無理だろう。
事実をベースにした映画と言うこともあり、かなり淡々と物語が進んでいく。
そのため見せ場が少なく、再現VTRを観ているような感覚に陥ることも多々あった。
しかし、名女優3人の演技力がドラマ的な起伏の乏しさをカバーしてくれている。
特に素晴らしかったのはマーゴット・ロビー。
彼女がロジャーからセクハラを受けるシーン。
始めは戯けた態度で乗り切ろうとするのだが、徐々に自分がどのような状況に身を置いているのかを悟っていく。
この地獄のような緊張感を身振りと表情だけで表現するという、アカデミー賞級の演技力を見せてくれました👏
アカデミー賞を受賞した特殊メイクはたしかに見事。
本物のメーガン・ケリーに寄せるため、シャーリーズ・セロンの頬や鼻などを色々と弄ったらしいが、全く違和感が無かった。凄い技術だと思います。
…が、そもそもメーガン・ケリーに顔を寄せる必要ってあったのか?そっくりさんコンテストじゃないんだから、別に素顔でも良かったような気がするんですけど。
強大な権力だろうと、信念のためには立ち向かっていかなければならない。
強いものの言いなりになって、自分を殺してはならない。
こういった確固たるメッセージがこもった力作。
職場環境に不満がある人におすすめです!!
…保守派はスシすら目の敵にするのか…。
民主党員と共和党員の対立ってなんか凄まじい。
とはいえ、アメリカの政治意識の高さは日本も少しは見習うべき。
投票率低すぎんだよ!
※本作でオスカーを受賞したメイクアップ・アーティストのカズ・ヒロ。
彼の受賞を「同じ日本人として誇らしい!」とかいっている人結構いますけど、彼はアメリカ人ですよ。
「日本人」というカテゴリーに嵌められて賛美されることを嫌い、日本籍を捨ててアメリカ人となったカズ・ヒロ氏。
「同じ日本人として云々」という賛美は、彼を侮辱する行為。民族という意識を捨てて、ただ彼の技術力を褒め称えてあげませんか?
実話
Me too運動はハーヴェイ・ワインスタインがきっかけだと思っていたがロジャー・エイルズ訴訟の影響も見逃せない。優越的地位を利用したこの種のハラスメントは被害者が声を上げづらいことに付け込んで蔓延ってきたことは想像に難くない。声を上げた被害者たちの勇気に敬意を表したい。
事件を徹底的に調査し脚本化したチャールズ・ランドルフさんの功績も大きいがロジャー・エイルズが他界したとしてもメジャーのFOX絡みだから製作も難しかったろう。
ロジャー・エイルズは会長の座を追われたがいわばトカゲのしっぽ切りに過ぎない、組織相手では勝てないので個人を訴えたのだろうが権力者にすり寄り擁護する連中も同罪なのは明白。
本作と真逆なキャスターからすり寄る枕営業のスキャンダルもあるだろうから業界の病巣は複雑。
考えてみれば派手な業界に限らず権力者の不都合な真実が隠ぺいされる風潮はそこかしこに散見されるのも事実、セクハラに限らず政府の文書改ざん、大学を私物化する権力者や手抜き製品を作る大企業など凡庸な一市民は情けない世の中になったものだと嘆くしかないのだろうか。
一定の成果はあったもののこの顛末では釈然としないし、事件をなぞっているだけなので人物の掘り下げなど深みに欠けているところは残念でしたが、あまり脚色を加えると信憑性が揺らぐのでこの種の実話物の限界なのでしょう。
ついに鑑賞しました。
コロナ禍で劇場に行く機会がなくなり
ついにNetflixにて鑑賞。実話なんですね。
FOXの創業者ロージャエイルズのセクハラ訴訟
シャリーズセロン、ニコールキッドマン、マーゴットロビーの綺麗どころとジョンリスゴーの演技
時代は、2016年トランプが候補者として登場。
あまりドロドロと突っ込んでないのが物足りないかな?
世間もme too で立ち上がり これからだな。
原題のBonb shellは、爆弾やとてつもないスクープ、男性の生殖器を表すらしいね。
自戒の念をこめて
今まで遭遇してきたセクハラ野郎達を煮詰めて煮詰めて
ゼラチンで固めたみたいな男、ロジャー・エイルズ。
女性を生きていると、本当にこういう人間に出会うことがある。
そして大抵そういう種類の人間には罪悪感と言うものが存在しない。
特にケイラのシーンは、終始悔しくて悲しくて涙が出た。
相手を尊重する気持ちを突然踏みにじられた悲しみ。
従うことしかできない自分の惨めで恥ずかしい気持ち。
穢された自分の身体、後悔と自責の念。
ケイラや他の女性たちが自分で選んだ?勝ち取った?
キモいおっさんの言いなりにならなくていいルートがあれば誰もがそれを選ぶでしょう。
彼女たちにそのルートは最初から用意されていない。
上に立ちたいという野心を持った時、
何故この女性たちが犠牲を払わなければいけなかったのか。
この作品のテーマはまた別のところなのかもしれないけれど
改めて考える機会になった。
態度保留にさせてください。
映画の面白さとは関係ない部分で、強烈に違和感を感じる場面が多々ありました。
その違和感を感じた場面が「実際にあったこと」なのか「映画上の創作」なのかが分からなかったため、私は現時点では本作に点数を付けることはできません。色々調べましたが目当ての情報を探すことができませんでした。
ただ、映画としては非常に面白く、楽しんで観ることができました。
「女性」というだけで下に見られ、性的対象として消費される機会が多かった女性ニュースキャスターたち。虐げられてプライドを踏みにじられた彼女たちが、世論を動かすほどの巨大な存在であるFOXニュースCEOのロジャーに反撃するというストーリー。取り扱っているテーマは非常に重いものですが、意外にも冒頭から軽快なテンポや演出で展開される物語はエンタメ性の高いものでしたし、虐げられてた女性たちのジャイアントキリングは映画的カタルシスを感じられ、気楽に面白く観ることができる内容でした。
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2016年に実際に起こり、「Metoo運動」のきっかけになったとも言われるFOXニュースのセクハラ事件を題材とした映画。アメリカ最大手のニュース専用ケーブルテレビ局である「FOXニュース」。かつて看板番組でメインキャスターを務めていた経験もあるグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)をセクハラとそれを拒否したことによる左遷があったとして提訴した。
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私は実話を基にした映画の中で、必要以上に悪を悪として描くのは苦手です。特に既に亡くなった人を悪く描くのは強烈な嫌悪感を抱きます。
過去にレビューした冤罪をテーマにした映画『リチャード・ジュエル』でも、一番最初にリチャードに嫌疑をかける報道をした女性ジャーナリストを「CIA捜査官へのまくら営業で情報を入手していた」という描き方をしていることに対して私はかなりの嫌悪感を抱きました。何故なら彼女は既に亡くなっていて、尚且つ彼女が所属していた新聞社はまくら営業による情報収集を完全に否定しているからです。「死人に口なし」と言わんばかりの描写で「死人に鞭打つ」行為だと思いました。『リチャード・ジュエル』は映画自体は楽しめたのですが、どうも実在の人物を描くにあたっての配慮に欠けた映画に思えてしまって私は苦手です。
本作もとにかくロジャーをはじめ、登場する男性キャラクターたちが酷くステレオタイプの「男尊女卑思想」を持っているように描かれているのが非常に気になってしまいました。色々調べてみたのですが、これが実際にあったことなのか映画上の虚構なのかが判断できる情報がありませんでした。ロジャーに関するニュースを見ても裁判の中でセクハラを否定しているようですし、しかも2017年にはロジャー本人が亡くなっていますので、本作はあくまでも被害者女性たちへの取材によって作られた映画です。
私にはどうも、本作が『リチャード・ジュエル』のような「死人に鞭打つ映画」に思えてしまって、純粋に楽しむことができませんでした。
今しばらくは本作は評価せず態度保留とします。
バチバチバチ…
シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーによる3人の金髪女優の演技合戦。エレベーターで一緒になる3人の視線の演技が凄い。今のMeToo運動の前日譚。前日譚と言うがこんな話は大昔からあったのだろう。誰もがわかっていて見過ごし、やり過ごし、押し黙ってきた。白人で容姿端麗、視聴者はそれを求めている、しかし、代わりはいくらでもいる、その座を勝ち取れ…見返りに…恐ろしい。が、世の中綺麗事ばかりでないのが現実。マーゴット演じるケイラがその典型。実話でほとんどが実名なのが映画の凄いところ。グレッチェンはよくぞ、勇気をもって告発したし、映画では事前に弁護士に相談し、録音するなど計画的に描かれているが、相当苦悩があったと思う。また、トランプのセクハラを追及する一方で、過去自身がセクハラを受けたにもかかわらず、押し黙ってしまってきたことを悔いるセロンは好演だし、実際のメーガンはその時の地位を考えると、告発がそのタイミングでもわからなくもない。セロンの特殊メイクは本人そっくりで、セロンとわからないくらいだった。映画がリアリティがあるのはこの問題は続くというところ。完全には無くならないと思う。確かに会社に莫大な利益をもたらした功労者であることには変わらないが、セクハラ加害者二人の退職金が被害者への賠償金より多いのが何よりもその証拠。人の人生、尊厳を踏みにじった上での利益なのだが。大統領選と並行した形で描かれるが、トランプが勝利してしまった要因の一つにFOXのこの問題があったかもしれないと思うと、何とも言い難い。ジョン・リスゴーが怪演。
実話か物語か?
とても喋りが早いので、理解しながらついて行くのが大変だった。こんな変態男にNO!と言ってその事実を訴えられる健全な社会が理想。実際は出てこないケースが殆どなのだろうな。
FOXニュースの実話。
声を上げることがどれだけ自分の今後の人生を揺さぶるか、たくさん悩んだ人たちの勇気と、まず最初に一歩踏み出した彼女に盛大な拍手を送りたいと思いました。
たった一人が訴えても力でねじ伏せられてしまうくらいの力を持ってる人を訴える。
もし失敗したらなにも変えることができなかったかもしれない。
実話ということで、当時ニュースで見ていたことが
映画化するとこうなるんですね。
権力があればフェイクニュースすら流せてしまう。
ゲス男でしたね、奥様も可哀想。
あんなに彼をかばっていて、裏切られてますね。
この問題はきっと、どこにでもたくさんあるんだろうなと。
組織が大きければ大きいほど起こりうる、小さな会社でも起こりうる、女性が見るのと、男性が見るのとではきっと、受け取り方が変わってくる映画だなと思いました。
勇気をもって行動することには
ちゃんと意味があると思わせてくれる作品でした。
女である前にアンカーよ
映画「スキャンダル」(ジェイ・ローチ監督)から。
メモしたワンフレーズごとは面白い言葉があるのに、
作品を貫くようなフレーズが浮かんでこなかった。
実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動だが、
それを映画作品にした「狙い」がうまく見つからない。
事実に基づいた・・のお決まりの注釈もなかったから、
だいぶ、脚色されているに違いないのかも・・。
そしてやっと見つけたのは、メモを見直し発見した
「女である前にアンカーよ」というフレーズ。
普通なら「アンカーである前に女よ」なのだが、
女だから、とセクハラを問題にするのではなく、
あえて、この現状を訴える立場にいるアンカーとして、
セクハラを受けた女性である前に・・と強調した。
本来は「性被害を受けた女性」を援護し、
加害者を追い詰めて報道する立場のアンカーだからこそ、
こんな発言をしたのだろう。
手垢のついたフレーズではないからこそ、印象に残ったなぁ。
今に続く闘いの狼煙を上げたは、アンカーウーマン
開幕早々、2つの事に驚いた。
まず、シャーリズ・セロンの面影ナシ!
演じたのは、アメリカ人なら誰もが知っているという人気キャスター、メーガン・ケリー。
恥ずかしながら本作の前までは知らず、似てる!似てる!と大評判の特殊メイク施したシャーリズの画像とメーガンご本人の画像を見てみたら…、
凄まじいそっくりメイクが作品の内容と等しいくらい超驚き!
見よ! これが日本人の誇り、カズ・ヒロ氏の神業だ!
そしてもう一つは、トランプ攻撃。
トランプが独裁者になる直前。メーガンは討論会やニュースの対談などで、直接トランプと衝突する。
きっとトランプは名前だけで、よくある相手側へ配慮…と、思ったら!
ニュース映像や肉声など、思ってた以上にガッツリ登場!
トランプが独裁者となった今、よく作れた…いや、よく作った!
きっと、妨害や圧力あった筈。
それにもめげず、企画が頓挫しかけた時も、兼プロデューサーとして完成に漕ぎ着けたシャーリズ。最近は専ら、アクション・ヒロインとして人気だが、本当の意味で闘う女性だ!
米大手のTV局、FOXニュース。
2016年、そのCEOで米TV業界の帝王ロジャー・エイルズを女性キャスターがセクハラで訴えた、全米震撼の実話を基に映画化。
日本で例えるなら、徳島アナや貴島明日香ちゃんが日テレのCEOにセクハラ受けたような事。ゆ、許せん…!(#`皿´)
事の発端は…
看板キャスターの一人、グレッチェン・カールソンの解雇。
視聴率の最もいい朝のニュース番組を降ろされ、視聴率の最も悪い昼のニュースに左遷され…。
元々我の強い性格でもあるが、かつてロジャーからの性的誘いを断った事があり…。
若い社員のケイラ。
ミス続くが、TV業界での成功を夢見る野心家の面あり。
そんな彼女の若さと美貌をロジャーが気に入り、ある時彼のオフィスに呼ばれ、そこで…。
そんな時、グレッチェンがロジャーを提訴。
局が大スキャンダルで揺れる中、メーガンは沈黙を突き通す…。
訴えの声を上げた者、新たな被害者、事の成り行きを見る者…。
彼女たちが各々どう動くか。
作品は三者三様の視点で展開していく。
それにしても意外なのは、局内の女性のほとんどがロジャー派だという事。“チーム・ロジャー”なんて女性たちも現れる。
そこにどんな思惑があるか分からないが、一応超大物でやり手だし、TV界に多大な貢献をし、多くの女性たちに今の地位や仕事を与えた。
つまり今話題の、施されたら施し返す。恩返しで御座います!…ってやつ。
しかし、だからと言って許されるものではない。
徐々に出るわ出るわの醜聞。
女性軽視発言。女性を性の捌け口。自分の好みなのか、局内のほとんどの女性にタイトな服やミニスカを履かせ、生足がセクシーに見えるようワイドで撮る。当時、それ目的で見てた視聴者も多かったんだろうなぁ…。
そして、ケイラとの自室での“密会”。
もはやあれは、変態エロじじいに他ならない。
しかもそれを、口封じさせる。
セクハラでパワハラ。
ロジャーにハーヴェイ・ワインスタイン、そしてきっとトランプも、皆似た者同士。
ケイラ役のマーゴット・ロビー。
演じた役は複数の女性被害者を合わせた架空の役柄らしいが、その苦悩はリアル。号泣するシーンは胸に迫った。
ニコール・キッドマン演じるグレッチェンも実在の人物。シャーリズとマーゴットはオスカーにノミネートされ、彼女だけ弾かれたが、実際にあったこの物語は彼女の勇気ある告発が無ければ始まらなかった。
シャーリズ、ニコール、マーゴット…実力も華もあるハリウッド3大女優の共演。3人がエレベーターで一緒になるシーンは、スゲェ…!
ロジャーも存在感無くてはならない。ジョン・リスゴーがさすが! 彼もまたカズ・ヒロによる特殊メイクで、さながら“ジャバ・ザ・ハット”級!
それから、ケイラの同僚役のケイト・マッキノンも好助演。
ロジャーはあの手この手で妨害。全面否定する。
当初は孤立無援だったグレッチェンだが、後に続く同じ被害女性たちが。
そして遂にメーガンも動く。
旗色が悪くなってきたロジャー。
グレッチェンがトドメの一撃。
それでもロジャーの悪あがき。とことん憐れな奴…。
グレッチェン以外の女性キャスターたちが後出しジャンケンと指摘されてるが、それくらい権力に立ち向かうのが難しいという事を自分的には感じた。
かつては『オースティン・パワーズ』『ミート・ザ・ペアレンツ』などコメディ派だったが、最近はシリアス作品も多いジェイ・ローチの演出も快テンポ。
実話、実名、スキャンダラスな内容で興味津々で、確かに面白かった。一本の映画として。
しかし、実際の関係者や業界に与えた衝撃はただ事ではないだろう。
ハリウッド映画業界でもさらに悪質なワインスタインの事件があったが、日本でも間違いなくあるだろう。
“枕営業”なんて言葉をよく聞く。
関係を迫る側。
業界での成功の為、自ら体を売る側。
それは氷山の一角で、明るみになってない事実はどれほどあるだろう。
どの国でも、どの業界でも。
エンタメ業界は夢のある世界か、それとも…。
ラストのケイラの姿が意味深だ。
が、本事件やワインスタイン事件がきっかけで拡がった#ME TOO運動。
それは今も続く。
勝利の後も苦しみは続く。
女は客体ではなく主体であると認めてほしい。ひとり残らず全ての人に。
巨大企業であるFOXに謝らせた女性(たち)の話で、勇気が湧き立つ力強さを感じた。けれど、高揚感のみを持って見終えることはできなかった。
だって同じような例は腐る程あって、現在進行形の場合もあるし、客体として扱われていると実際に感じて生きているから。
マーゴットロビーの声が、アニメ声で可愛かった。ケイラの一瞬で大量に溢れる涙は、すごく痛みを表していたと思う。
シャーリーズセロンのメーガンはすっごく美人なんだけどシャーリーズの面影全然なくて、メイクすげーっておもった。
S・ソダーバーグほどタフでもなく、A・マッケイほどシャープでもない。
こういった社会問題をテーマにした作品でぱっと思いつく映画人として、スティーヴン・ソダーバーグとアダム・マッケイがいるのだけれど、正直この「スキャンダル」に関して言えば、ソダーバーグほどタフでもなく、マッケイほどシャープでもないという感じで、あまりスマートさを感じなかった。冒頭でメーガン・ケリー(びっくりするほど本人ソックリ!シャーリーズ・セロンだということを度々忘れてしまうほど!)がカメラに向かって話しかけながらの演出などは、なかなか手際よくまとまっていたのでその後も期待できるやなんて思いきや、調子がいいのはその冒頭だけ。あとはぐずぐずと煮え切らない演出でだらだらと出来事を並べるだけに留まる。一生懸命シャープにスマートにスタイリッシュに、と頑張っているのがすべて空回りしているかのよう。
ふと思い浮かんだ言葉が「手段が目的になる」である。ストーリーを描こうというよりも、セクハラがいかに卑劣かを描こうという方が先に立ってしまったようなそんな印象が強く残った。ストーリーのためにセクハラの卑劣さを描写するのが本来のところ、ストーリーを疎かにしてまでもセクハラの卑劣さを描きたくて仕方がなくなってしまったかのようだ(逆にセロンのメイクアップは手段であって目的ではないのが伝わるので良いと思います)。
メインキャストと言える三人の登場人物それぞれの描写に関しても、いずれも中途半端な展開に思えてならない。グレッチェン・カールソンなど事の発起人とも言える人なのに、訴訟を起こして以後はほとんど姿も見せず傍観者かのような立ち位置。そして「もう終わりにしたいわ」と言って切り札の録音テープをちらつかせてすべてが決着という結末のなんとも呆気ないこと。
代わりに動き回るメーガン・ケリーにしても、名前も顔も知られた現役のアンカーを前にまさか彼女が受けたセクハラがどの程度のものだったかという極めてプライベートなところに踏み込むことが出来ないため(作中でもそこは暈してある)「自分もセクハラを受けた」という彼女の言葉の重みや、他人事ではないと感じ葛藤するこころの重みがどれほどのものかが受け手として感じにくくなった。正義感か復讐かあるいは・・・?それでもエイブスのことは「欠点はあるが好きだ」と言う当事者としての彼女の複雑な心境やエイブスとの関係性についても靄がかかったような描写しか出来ず「現地のゴシップを読み漁って脳内補完するしかないのか?」という感じ。
仕方なくマーゴット・ロビー演じる架空の人物ケイラを使ってセクハラ被害を彼女に担わせる形になり、セクハラの深刻さを「こころ」で体現できたのは彼女一人。電話越しにケイト・マッキノン演じる友人に真実を語るシーン、すごく良かったよ。加えてケイト・マッキノンも良かった。コメディエンヌだけれどコメディではない作品に出てきた時に作品にスパイスを投入すると同時に、どっしり地に足を着かせる力がある。好きよマッキノン。
女優の演技と、悪役に徹したジョン・リスゴーの凄みに見所があるのみで、内容は正直至らないなと思った。せっかく現在進行形の大事なテーマを取り上げているのに勿体ないというか、それ以上に「悔しい!」と思った。
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以下、邦題について非常にメンドクサイことを・・・(よって作品自体とは関係ない)
セクハラというデリケートかつ深刻な問題を扱った作品を「スキャンダル」の一言で片付ける無神経さが気に入らないです。"bombshell"には「センセーショナルな事件」みたいな意味があって、スキャンダルと遠からずな部分もあるけれど、「scandal」の語の最もポピュラーな訳は「醜聞」ですよね?セクハラ問題は「醜聞」なのでしょうか?個人的にはかなり違和感が強いです。
無意識に人を傷つけているかもしれないと思った。
・ロジャーがラスト、マードックに引導を渡されたシーンで何故、自分が悪いのか?というような表情をしていたように思ったけど、結局、何が悪かったのかっていう感覚だったのかなと思うと怖かった。
・傷つけようと思っていなくても、むしろ褒めたつもりだったり、気を遣ったつもりで言った事も傷つけてしまう事があるんだっていう事を改めて思い知らされた。今朝観たあさイチで吃音の子供にゆっくり話していいんだよっていうのも話す速度を意識させるから良くないと言っていた事と重なり、考えさせられた。相手が笑っているから良いとしてしまっている自分の言動を顧みる契機になる作品だった。
・マーゴットロビーが天真爛漫な感じの人で、番組に出たいからとロジャーの被害にあった後、セクハラをニコールキッドマンの告発後、泣きながら電話しているシーンを観てて、詐欺被害にあった人が責められるという話と重なり、とても辛かった。ラスト、吹っ切れた様子だったのが救いだった。
・ビリー・アイリッシュのバッド・ガイが予告の時に流れてたような気がして最後まで流れなくてどういうことだったんだろうと思った。
・アメリカではお馴染みのキャスター達なんだろうなぁという感じで登場人物の多くて誰が誰だったか少し混乱した。
面白かったけど…
ノンフィクションジャンル好きの自分だけど、ストーリーの山場がもう少し盛り上がってほしいかなぁ…
キッドマンが外から訴えて、そのウネリが中の女性たちに波紋を呼んでいき、セロンのひと刺しで事が動くんだけども…もう少し心の葛藤や中の女性たちが声を上げて立ち上がる姿を期待し過ぎてたのかなぁ…マーゴット・ロビーの心の揺れ動きの表現みたいのが、セロンやキッドマンにもきっとあって、そういうのも観たかったのかも?
まあ、何れにせよ男社会の中、対価として性を差し出せみたいのが、まかり通ってた(今でも残ってる?)時代からの変革期に時代遅れの事しかできない男たちのダメっぷりはよくわかった。
エンタメにしたいのどっちなの??
実話に基づいた話を題材にした映画らしいが、社会系ドラマに仕上げたいのか、エンタメらしくハラハラドキドキの展開を混ぜていくのか、はっきりしない映画でした。
宣伝では後者の印象を受けました。
放送局FOXのトップであるロジャーという人物のセクハラを、権力に逆らって訴えを起こす者、自分の野心のためにプライドを捨てて黙認する女性社員、どちらにつくか戸惑う被害者、といった様々な背景と闇が印象的な映画でした。
登場人物が多くてわかりづらい。
"社会主義""共産主義""リベラル派"など、政治的な背景の知識がないとわかりづらい。そういった用語がかなり多く使われます。
また、展開は容易に予想できるので、どんでん返しとか逆転劇みたいのはないです。
そして最後は権力者を下ろすことに成功し、新たな体制でスタートしようとするところで終わりますが、なんだかうやむやになってるところもあるし、スッキリしない終わり方でした。
つまらなくはなかったけど、そんなもんかって感じです笑
こういうの好き!
アメリカの保守派のメディアFoxを解雇された女性キャスターがCEOをセクハラで訴える話。
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アメリカの情勢とかこの事件を知ってるよねって前提で話が進むからややついてけないとこもあったけどセクハラに立ち向かうのは面白いよね。
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保守派ってあんまり改革とかしたくない昔の文化を尊重しようみたいな考えで、銃規制やらLGBTやら移民に反対してる派閥。まぁいわゆるトランプ派。
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それに対してリベラルが、昔にこだわるんじゃなくてどんどん新しいことを受け入れてこうぜって考え。ハリウッドは当たり前だけどこっち。
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そんな保守派の会社で起きた事件をハリウッドが描いてみたよって映画。それが分かってればついてける。
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結局CEOは追い出せたけど新たな代わりのジジイが来ただけで、多分あの会社は今でもセクハラがはびこってるんだろう。
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そもそもあのCEOがちゃんとセクハラを自分がしている自覚があるのか。女性がキャリアのためなら体を差し出すことは当たり前だと思ってるんじゃないの。
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女性に機会を与えてあげているってなんだか上から目線なことがちらほら出て来てたけど、まず女性には機会が無いことがおかしいから。
冷静に闘うのが印象的
FOXのCEOが女性職員に慢性的にセクハラしてて、それをキャスターが訴えていくって話なのね。
「ふざけんなよ、この野郎!」ってブチ切れて罵っていって良い状況なんだけど、みんな冷静に闘うの。そこが印象的だったな。
提訴したグレッチェンは用意周到なのね。絶対的な権力者との闘いになるから厳しいんだけど、提訴した後の反応を読んで、作戦を立てて、進めてくの。そして鮮やかに決める。
その提訴を受けて悩むメーガン・ケリーもいいの。すぐに同調しないのね。自分がCEOを敵に回したら、自分の仲間がCEOから攻撃されるの解ってるし。その仲間の意見も割れて、それぞれに言ってること解るんだよ。
そういう状況と、それでも自分の立ち位置というか在り方というかを冷静に測って、行動を決めてくの。
完全にスッキリするカタルシスにはならないけど、そこは実話ベースだからしょうがないね。
変遷あるいは革命
男性社会の崩壊を示唆する作品だった。
中々に凝った作りでもあり、ハリウッドの商魂逞しい一面も垣間見る。
日本にも枕営業なる都市伝説が周知されてる。それはいわゆる交渉であり、対価が支払われているという妄想でもある。事実かどうかはさておきそれが是だとの時代もあった。
だが、それを是だと肯定してるのは男性が上位にある社会だ。
男性の多数が共有する価値観なのだ。
それへの革命にも思えた。
だが、しかし、作品の中で描かれてるのは交渉であり、その結果対価を得ているビジネスで、嫌だろうがなんだろうが、それを選択したのは自らの野心であると思う。
10年前のセクハラを告白した人物もいる。私は望んではいなかった。この10年、その事をずっと後悔してた。これは懺悔なのだと思うし、その為に相手が裁かれるのは理不尽にも思う。キッドマンが訴訟を起こすのは正義だと思うが…解雇されなかった場合どおするのかは疑問だ。
何というか、男性側だけが間違ってたとも思えない所が中々に悩ましい。
中にはいるのだ。男性が上位にいる状況を利用し、利益を得た女性も。その場合は公平な取引であったと思う。当人にとっては処世術の一環以外の何物でもなく有効な能力を行使したに過ぎないのであろうし、欲と欲が合致した結果である。
ただ、これは持たざる者からしてみれば卑怯にも思えるし、何より公平かつ公正ではない。その対象から除外された者からしてみれば明らかにおかしい。
今回の場合、選択権があるのは男性だ。
それも男性上位の社会だからだ。
若くしてその地位を手にした王様には、彼が望む望まずに関わらず、その交渉術を試みた女性は引っ切りなしに現れたであろう。当時に抱いた正当性は覆る事はなく、時代の変遷についていけなかったのであろう。
自らを法であるとのぼせ上がった王様からしてみれば、恥知らずのテロリストにも見えた事だろう。
ただ、そんな暴論に食い荒らされた側には悲劇以外の何物でもない。
交渉の場に引きずりだされ離席する術を持たなかった人達には殺ろされる事と同等だ。
男女雇用均等法が施行されてからなのか、女性に選挙権が認められてからなのか、あるいはもっと違うキッカケからなのかは分からないけれど、世界は緩やかにこの案件を是正していっているように思う。
今、行われている運動は男性上位社会への下克上なのかもしれない。
これから向かう世界が正常なのかどおかは俺には分からないが、変革されていってるのは確かだ。
なんだか漠然としたセクシャルハラスメントっていうものの争点を自分なりに認識した作品となった。
映画的にはエレベーター内の3人のショットが秀逸で…革命の狼煙をぶち上げてる側も一枚岩ではない感じがあって良かった。
絶妙な距離感というか、牽制する空気感というか…それ故にこのセクハラ問題って鎮静化はしても根絶はしないのだろうなぁと考える。
今回の作品はニュースキャスターのお話しだ。見られてナンボの商売だ。
作品中の女性キャスターは類稀なる美貌の持ち主だし、更衣室では胸にパットを入れるキャスターも映ってる。
この辺も男性上位社会の価値観が女性側にも蔓延してる事の現れだと思うし、女性側も女性である事を最大限活用しているようにも思う。
だからこそ胸元がガッツリ開いた服装をするのだろう。
ニュースを読む為にはそんな行為は必要ない。だけど視聴者の興味を惹きつける為には必要なのだ。そんな観点からすれば足を見せろとかはオーディションの一環でもある。
その先は勿論やり過ぎで不必要な行為だ。
昨今のセクハラ論争は、そこら辺を一緒くたにしてるようにも思うから腑に落ちない。
でも、この作品を見てそおいう考えこそが長きに渡る男性上位社会の価値観の刷り込みなのかとも考える。
そおなると人間の根底から改革しようとしてるようにも思え…最終的には性別の廃止なんて事もまかり通るのかもと、予想もつかない社会が出現しそうで、そら恐ろしい。
たぶんこの論争に終止符が打たれるのは、地球という星が荒廃して住めなくなり、人類が何百光年も先の惑星に移住する頃かもしれない…。
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