「実話」スキャンダル odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
実話
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Me too運動はハーヴェイ・ワインスタインがきっかけだと思っていたがロジャー・エイルズ訴訟の影響も見逃せない。優越的地位を利用したこの種のハラスメントは被害者が声を上げづらいことに付け込んで蔓延ってきたことは想像に難くない。声を上げた被害者たちの勇気に敬意を表したい。
事件を徹底的に調査し脚本化したチャールズ・ランドルフさんの功績も大きいがロジャー・エイルズが他界したとしてもメジャーのFOX絡みだから製作も難しかったろう。
ロジャー・エイルズは会長の座を追われたがいわばトカゲのしっぽ切りに過ぎない、組織相手では勝てないので個人を訴えたのだろうが権力者にすり寄り擁護する連中も同罪なのは明白。
本作と真逆なキャスターからすり寄る枕営業のスキャンダルもあるだろうから業界の病巣は複雑。
考えてみれば派手な業界に限らず権力者の不都合な真実が隠ぺいされる風潮はそこかしこに散見されるのも事実、セクハラに限らず政府の文書改ざん、大学を私物化する権力者や手抜き製品を作る大企業など凡庸な一市民は情けない世の中になったものだと嘆くしかないのだろうか。
一定の成果はあったもののこの顛末では釈然としないし、事件をなぞっているだけなので人物の掘り下げなど深みに欠けているところは残念でしたが、あまり脚色を加えると信憑性が揺らぐのでこの種の実話物の限界なのでしょう。
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