「バチバチバチ…」スキャンダル ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
バチバチバチ…
シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーによる3人の金髪女優の演技合戦。エレベーターで一緒になる3人の視線の演技が凄い。今のMeToo運動の前日譚。前日譚と言うがこんな話は大昔からあったのだろう。誰もがわかっていて見過ごし、やり過ごし、押し黙ってきた。白人で容姿端麗、視聴者はそれを求めている、しかし、代わりはいくらでもいる、その座を勝ち取れ…見返りに…恐ろしい。が、世の中綺麗事ばかりでないのが現実。マーゴット演じるケイラがその典型。実話でほとんどが実名なのが映画の凄いところ。グレッチェンはよくぞ、勇気をもって告発したし、映画では事前に弁護士に相談し、録音するなど計画的に描かれているが、相当苦悩があったと思う。また、トランプのセクハラを追及する一方で、過去自身がセクハラを受けたにもかかわらず、押し黙ってしまってきたことを悔いるセロンは好演だし、実際のメーガンはその時の地位を考えると、告発がそのタイミングでもわからなくもない。セロンの特殊メイクは本人そっくりで、セロンとわからないくらいだった。映画がリアリティがあるのはこの問題は続くというところ。完全には無くならないと思う。確かに会社に莫大な利益をもたらした功労者であることには変わらないが、セクハラ加害者二人の退職金が被害者への賠償金より多いのが何よりもその証拠。人の人生、尊厳を踏みにじった上での利益なのだが。大統領選と並行した形で描かれるが、トランプが勝利してしまった要因の一つにFOXのこの問題があったかもしれないと思うと、何とも言い難い。ジョン・リスゴーが怪演。