劇場公開日 2020年2月21日

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「カズ・ヒロを誇りに思う」スキャンダル 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5カズ・ヒロを誇りに思う

2021年3月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

寝られる

予告編を観た時は面白そうだったが野生的直感で臭く感じたから映画館で観る選択にはならなかった

アカデミー賞最有力という謳い文句が知性に欠けたゴリ押し感たっぷりでなんだかとても恥ずかしい
しかもアカデミー作品賞は『パラサイト』だったし
あちらは娯楽性が高かったけどこっちはそれが乏しい
スタッフの1人としてカズ・ヒロが受賞したけど

FOXという共和党寄りのテレビ局で働く女性がセクハラ上司に抗議し失脚に追い込む話
そういう話なら面白いはずだが残念ながら眠くなってしまった
実話が元になっているらしいが冒頭の注意書きだとどこまでが本当か疑わしい
ハリウッドは大多数が民主党支持で反トランプ反FOXの印象が強いということを考慮すると鵜呑みにはできない

アメリカの事情について精通していないとこの作品は十分に楽しめないらしい
知っているつもりではあったがまだまだ甘い
教養が高い知識人やフェミニストしか楽しめない映画は商業映画としていかがなものか
海外の社会派作品の欠点は制作された国では有名な話でもよその国では?が多いことだ
少なくとも自分はターゲットではなかった

よそのサイトの好意的なレビューは役者が豪華とかme too運動が殆どで退屈なものだった
映画で1番重要なのは作品を通じて何を訴えるかではない
無知が原因で楽しめなかったのだから高評価できないのは自分が悪いという自己評価はとてもじゃないができない

退屈な原因は脚本にある
実話をヒントにしただけでどうせドキュメンタリーじゃないなら痛快なコメディー映画作りに徹するべきだった

登場人物が多い(特に女性)はこの作品の性質上しかたがない
だからといって一丸となって戦いましょうとはならない
アメリカは日本の左翼のような全体主義ではなく個人主義の集まり

強い白人女性は強いアメリカの象徴でありそれがなぜか鼻につく
基本的にアメリカという国が嫌いなんだろう
インディアンや黒人奴隷や原爆やベトナム戦争や急浮上して漁船を沈没させた潜水艦など理由はたくさんある
「ファック!」「ファッキン!」はアメリカ人の特徴だがそれらは生理的に受けつけない
ぶっちゃけ軽蔑している
産卵で涙を流している亀にさえ胸を打つのに白人女優が泣いていてもなにも感じない

アメリカ生活が長いという某女性ライターは「アメリカは人種差別は酷いけど男女差別は経験したことがない!」と書き記していたが怪しいものだ
セクハラの被害者が日本や韓国などアジア系なら同情できたかもしれない

この映画の一番の売りはメイク
カズ・ヒロの特殊メイクを中心とした長めのメイキングがあるなら本編よりそっちのほうが興味あるし多くの人が楽しめるはず

パンツが見えるまでスカートを上げさせ興奮するセクハラ権力者ロジャーはルックスも手伝って気持ち悪いがあれはセクハラの域を超えている

野川新栄