劇場公開日 2020年2月21日

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「ハラスメント、ダメ。ゼッタイ!」スキャンダル おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ハラスメント、ダメ。ゼッタイ!

2020年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

実際に起きた事件をベースにしているそうですが、その事件のことは知りませんでした。それでも、本作を通して、どんなことが起きたかはよくわかりました。そして、そのことで女性たちがどれほど傷つき、悔しい思いをしたのかも窺い知ることができました。いや、きっと観客が感じたものとは比べ物にならないくらいの苦しみ、悲しみ、憤りがあったことでしょう。

そんな彼女たちが身を切る覚悟で権力に立ち向かった勇気を、称賛せずにはいられません。おそらく程度の差こそあれ、今なお世界中で各種のハラスメントは行われ続けていることでしょう。自分の職場に目をやっても、やはり気になることはなくはないです。しかし、そこを指摘し、改善を促す勇気が自分にはありません。上司に訴えても取り合ってもらえない、むしろ以降の自分の立場を悪くするのではないか、そんなことを想像しながら、グレッチェンやメーガンの行動を見ていました。

「これくらい」という無神経で自分勝手な加害者の言動と、心身ともにすり減らす被害者の我慢の上に蔓延するハラスメント。それを見過ごす社会に警鐘を鳴らす意味でも、彼女たちのとった行動と、それを映画化した本作のもつ意味は大きいと思います。

ただ、映画作品としてみた場合、アメリカの政治やメディアについての知識がない自分には、冒頭から押し寄せる情報量が多く、やや難しすぎでした。そのため、大筋はもちろん理解できるのですが、メーガンやケイラたちの心情の微妙な変化が読み取れず、いざ行動を起こすという場面でもやや唐突な印象を受けました。この辺りのことに詳しければ、もっと彼女たちに共感しながら鑑賞できたのではないかと思います。

それにしても、3大女優の共演は素敵でした。そして、さすがの演技に感服です。特にマーゴット・ロビーが重い口を開きながら涙する場面は、とても印象的でした。

おじゃる