「Noを言うことの難しさ」スキャンダル yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
Noを言うことの難しさ
2016年、アメリカのFOXで実際に起きた話
退職した元人気キャスターが、CEOをセクハラで訴えた事件を基にした映画
原題はscandalじゃなくて、bombshell
この事件、聞いたことあるかも?くらいの私には、前半のいろんな人たちが出て来る展開が少しついていけなかった
恐らく、本国では有名なキャスターたち、有名な事件だから、その戸惑いはないのだろうなと推測
でも、映画自体は、面白かった!
深堀する感じではない進行ではあるものの、それがかえって全体像をみさせてくれてよかったと感じた
セクハラされても、キャスターとしてのし上がる道を選択した彼女たち
それを責める気にはなれなかった
涙目でスカートをたくしあげる姿や、後半、ひとりの主要キャラが号泣するシーンを観れば、傷を負わずに、気楽にそれをやってのけたわけではないことがわかるからだ
その世界に入ってしまうと、客観性を失う時がある
そうなってしまうと、異常なことや、避けられることにすら気づけなくなる
判断力が鈍る、奪われる
被害にあった彼女たちはまさにそうだったのではないかと思える
それでも、ひとりの声が、最初は顔を背けていた女性たちを立ち上がらせた
キャリアを捨てる覚悟で立ち上がり始める人たち
そして、取り戻す自尊心
自分のためではないセクシーなタイトな服やミニスカートや足を痛めるハイヒール、それを本当はどう思っているのか、それは、後半でさり気なく画面の中に現れる
ある人の服装や、別の人の服装で
多くを語らずに、ポイントを描き出したこの作品、私はとてもよかったと思う