「【古臭い"腐った"思想が拭い切れない人(含む自分)が観るべき作品。】」スキャンダル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【古臭い"腐った"思想が拭い切れない人(含む自分)が観るべき作品。】
ハーヴェイ・ワインスタイン事件から、早2年が過ぎた。
今作はかの事件の1年前に実際に起きたセクシャルハラスメント事件を基に描かれている。
つまりは[#Me Too]運動の先駆けの事件と言っても良いだろう。
映画は冒頭から、俳優達が"第四の壁"を乗り越え話しかけてくるし、思っている事もモノローグで語る。
話す内容自体はさして難しくはないが、スピードが早いので、脳内フル回転で対応する。
少し、残念だったのは登場人物の多さもあり、伝わり難い部分があった所。
もう少し、焦点を絞っても良かったのではないかな。
個人的にはトランプとメーガン(シャーリーズ・セロン)の1年に亘る鬩ぎ合いが、彼の"ごめん"ですむのはどうなの?とも、思ってしまった。(で、トランプ氏、フェードアウト・・)
グレッチェン(ニコール・キッドマン)が孤軍奮闘している中、周りは沈黙を守り、漸くメーガンがロジャーを訴えるのも、効果的なタイミングではあったが、メーガン自らが述べているように彼女の逡巡の結果であり、快哉を叫ぶ感はなかった。
それだけ、彼女にとっては大変な決断だったのだろうけれど。
ロジャー(ジョン・リスゴー:良い。推測であるが、実際に訴訟に負けた人物も、自分がセクハラをしている自覚が希薄ではなかったか?で、これが一番の問題でもあるのだが・・。)
が馘首された後のメーガン、グレッチェン、ケイラ(マーゴット・ロビー)の選択が面白い。
メーガンはトップ・アンカーとしての地位を保ち、グレッチェンは(ロジャーに勝訴しているので発言できない・・)多分子育てに専念し、ケイラはアッサリと見切りをつけて、あれ程執着していた仕事から吹っ切れたように離れる。
<現在も、社会のあちこちで起こっている問題をテーマにした作品に、ハリウッドを代表する女優達が絡んだ作品製作の理念(取り分け製作にも関わったシャーリーズ・セロンと、ニコール・キッドマンの姿勢)には敬意を称するべき作品。
又、このような現代社会が抱える喫緊の問題を商業作品として”キャストの豪華さがあるにしろ”発表できる米国映画界のシステムにも瞠目した作品。>