劇場公開日 2021年6月18日

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「山田裕貴が凄い」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山田裕貴が凄い

2021年6月29日
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最初の登場シーンで帽子を被っていたので、彼だと分からず、本当の障害者が演じているのだと思った。それくらい、発音が聴覚障害者のものだった。
あれは演出家が演技指導できるようなものではないと思う。
改めて、この人の俳優としての振れ幅の大きさに感服させられた。

物語は日本中が熱狂した長野オリンピックのジャンプ団体の話なのだが、
商業映画として考えれば、原田雅彦をメインにした金メダルストーリーの方がよりドラマチックで共感を得られ易いのだろうし、常に原田や葛西、船木の陰に隠れて国内4-5番手の評価だった西方仁也が主役では失礼ながら一般的知名度の面で映像作品化にはどうかと思っていた。

でも、見終わって素直に良い作品だと思えた。何より脚本がよく練られているなと感心した。淡々とし過ぎず、かといって過剰に美化し過ぎずストーリー展開が巧みで感情移入していくことが出来た。「スキー連盟へ売り込むため」なんて生臭い台詞を敢えて入れたのも、なかなか出来ないよな。

そして、かつての五輪メダリストがテストジャンパーといういわば日陰者にまで身をやつした過去など本来ならば触れてほしくない過去にフォーカスされる事にOKを出した西方仁也にあっぱれと言いたい。

キャスト陣もモデルとなった本人のイメージに沿った絶妙な配役(特に原田と葛西)

コーチ役の古田新太も出過ぎず、かといって持ち味を殺さず、いい味を出していた。

日本の女子ジャンプの黎明期を支えた葛西賀子(劇中の役名は小林)をしっかり描いていたのも地味だが好印象。

残念だったのは、滑空中の顔をアップにしたCG画像。ジャンプという競技のリアリティを伝えるのであれば、あれは逆効果。なんだか、安っぽくなってしまっている。
かえって、ジャンパーのヘルメットにカメラを装着して飛んでもらって迫りくるランディングバーンを映した方が臨場感があって良かったかも。
この辺は制作がテレビ局だけに事故などのリスク回避を最優先にした判断なんだろうな。

いずれにしろ、コロナ禍もあって、五輪の存在意義そのものが問われている中での公開となって水を差されてしまった感もあるし、2030年の札幌冬季五輪の招致PRという大人の事情も垣間見えたりもするが、
作品単体として見れば、充分及第点の出来だと思う。

藤崎修次
レモンブルーさんのコメント
2021年6月29日

藤崎修次さん はじめまして。
共感をありがとうございますm(__)m 藤崎さんのレビュー とても共感します!ラスト4行は 非常に悩ましいです…こんなに素晴らしい人々の存在を是非知っていただきたいのに、色んな雑音の為に観るのを躊躇う方々もいらっしゃるのでは?作品としては 本当に良い出来になってるのに残念です…。
ところで 山田裕貴さんですが、ここの所の活躍目覚しいですね!「ここは今から倫理です」も良かったですが 高橋さんの役も素晴らしかったですね❗ご本人と役名が同じらしいですから、キャラもあのようなポジティブな方なんだなと 余計に感動してしまいました。山田さんは来月公開の「東京リベンジャーズ」にも出演されますが、またまた 全く違うヤンキー役(漫画原作ファンから再現度が絶賛されてます!)です。楽しみです😊

レモンブルー