「みんな主人公レベル」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち 木根間さんの映画レビュー(感想・評価)
みんな主人公レベル
それぞれの人生があり、それぞれが主人公要素ばかりで素敵だと思った。
例えば難聴の役山田裕貴さんが演じた高橋さんは、25人の中で1番の成績(131m)を叩き出したそうだ。
南川が「最後は一番飛べる西方さん」と言っていたが、西方の記録がぼかされたまま(というか「飛べた」ということに重点を置いていた)映画が終了したため少し疑問に思って調べたのだが、なるほど。『西方が主人公の』映画としては記録のことを触れると感動が薄れるからその辺りは描かなかったのか。
高橋さんはその後難聴の選手として注目されプレッシャーで成績が伸び悩んだそうだが、数年後復帰している。
どの要素を切り取っても主人公である。
女性のテストジャンパー小林さんのモデルになった吉泉賀子さん(旧姓葛西のため紀明さんとかぶるから名前を変えたと思われる)はその後も選手を続け、日常生活も危うい骨折をしたが選手を続けたくてリハビリを頑張り、なんと1年で復帰。2013-14年に引退したそうだ。そして引退した2014年のオリンピックから女子の種目が追加された。
吉泉さんのような人達が道を作ってきたからこそ、今があるのだと思った。オリンピック選手として出場できなかったのは悔しさもあるかもしれないが、吉泉さんのような選手がいたことは誤解を恐れずに書くと、「女の」そして日本の誇りである。
この人たちで映画一本作れる。
さて本編についてだが、唐揚げで言うパセリ。くらいの扱いだった葛西紀明選手はかなり端折られた挙句美化されたが(本来は悔しくてすぐに帰った)長野オリンピックを題材にするのだから触れないわけにはいかない、という感じで出演させたのだろうか、なんか消化不良だった。
というかこの映画自体が、美化されているところもかなりあるんだろうなと観ながら思った。(西方はギリギリまでくすぶっていたのでリアル感はあったが)
小林さんを演じた日向坂46の子。
気になったのが、オリンピックでのテストジャンパーが成功しないと〜と揉めている大事なシーンで、
前髪が広がっている次のカットではピチッとなっていたところ。そして次のカットはまたバラけていた。角度とかの問題ではない。
あー、カットしてヘアメイクささっと直して撮り直したんだろうな。
眞栄田郷敦は軽い役があまり合っていない。
土屋太鳳はいつも同じような役回り。
合成シーンは合成だとすぐにわかる。田中圭が緑の背景バックに叫んでいるの想像したら俳優ってすごいなと思う。
歌詞付きの音楽が流れるタイミング!!ちょっと笑う。歌詞のない壮大な音楽でもよかった気がする。
烏龍茶のくだりは笑った
全体的によかったし涙腺にきたところもあった。
今回スポットライトを浴びた西方さんだけでなく当然原田さんや他のメンバー、葛西さんやテストジャンパー25人それぞれ、もちろん他の競技の一人一人も…
それぞれにドラマがあり語り尽くせないほどの経験をしてきたのだと思う。
様々な思いが交錯するオリンピック。
コロナが無い世界線で、この映画をオリンピック期間に見たらきっとまた違った目で競技を観戦出来たんだろうな。
ここまで頑張ってきているオリンピック選手、そして舞台裏の英雄たち、また日本を沸かせてください。