「織田信長の砦を攻める!(信長と戦うとは言ってない)」ブレイブ 群青戦記 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
織田信長の砦を攻める!(信長と戦うとは言ってない)
殺人集団とアスリート集団が戦をする話
原作未読です
三浦春馬見たさと予告編で興味が沸いたので鑑賞してみました。
生死を賭けた高校生サバイバル物と言えば「バトルロワイヤル」を思い浮かべてしまうが、本作は少なからず影響を受けているように感じた。
バトロアを見た時リアルに学生だったのでよく友人と妄想話に花を咲かせたのもいい思い出です。
学生の頃にもし自分がその状況になったらどうする?の代名詞はバトルロワイアルとゾンビ系映画!
本作で妄想したくなるかどうかも重要な要素だったのだが、年を取ったせいか細かい所で「いや、無理でしょ」とか「ありえないわぁ~」とか思ってしまった。
いつからこんなつまらない人間になってしまったのか。
無意識に作品の荒さがしをしてしまったので純粋に楽しめなかった。
各々の特技を生かした戦法で戦国武者とどう戦うのか、そこにリアリティは有るのかが自分としては注目だったけれど、全編を通して不満というか納得できない点が多く有った気がする。
いくら部活で全国トップクラスの成績を残せたとして、本気の生き死にで実力を発揮するのは難しい。
相手が常に生死のやりとりをしているのならなおの事、普通に考えてもまったく生き残れる気がしない。
武術系の部活ですらルールに守られている訳で、ルール無用の戦国時代に通用するのか?
どうなるんだろうと思って見てたけど、高校生側が無双する展開でなかったので安心した。
序盤の殺戮シーンはとてもよかった、昨今のゆるゆる日本映画でここまのショッキング映像はなかなかお目にかかれない。
結構グロくて、制作側の強気な姿勢に好感が持てた。
相手を殺害せざるを得ない状況に追い込まれるが実行できない葛藤もよかったし、覚悟を決めて戦場に出ていく姿も胸を熱くさせた。
なにより若手俳優陣の本作で爪痕を残そうとする本気度がそれぞれから伝わってくる。
それぐらい各キャラクターが濃かったし見せ場があった。
メインキャストの安定感と脇役の存在感が作品全体を盛り上げていたと思う。
いいシーンも演者の気迫も多かったのだが、ストーリーが残念の一言。
正直、不満を挙げるなら切りがない。マンガなんだから目くじら立てるなで一蹴されるので多くを語りませんが。色々無理がある。
主人公達の強みは戦国時代にはないスポーツの特性を生かした奇襲。
相手が「未知のものには恐怖する」とエリートスポーツ集団の実力で勝負する。
そもそも未知のものに恐怖するのであれば最初に高校ごとワープしてきた時に攻め手は戸惑うのでは?
一度殺せるとわかった相手にそれほどの恐怖は覚えないだろうし、後半の高校生側が攻める展開は結構無理がある。
奇襲という割に正面突破だし、殺傷武器が弓と刀だけなので、もう戦国時代の足軽をなめすぎ。
高校生を殺人者にするのはよろしくないとの大人の都合があるのだろうが、殺戮される側はOKで殺戮する側はNGなのも不思議な話です。
あんまり殺戮をOKにしちゃうと教育上よくないのはわかるけど、作品の根幹である生死のやり取りがガタガタなのはいかがなものか。
戦国時代を生きる者はいわば戦闘のプロ、殴る、蹴る、タックルなんかを怖がってちゃ生き残れないはずなんだけど・・・
映画には勧善懲悪が必要、そうでなければすっきり終われない。そしてこれは全年齢対象作品。
殺人を犯した人はどうなるのか?死ぬか、何かの犠牲を払う必要が出てくる。
そう考えると簡単にラストの展開が読めるし驚きや感動は無かったですね。
最後、ヒロインの山崎紘菜がとある絵を見た時に見せる笑顔は感動を誘うはずの場面のはずですが、自分としては笑いをこらえるのが大変でした。映画の締めがあれでいいのか?
文句ばかり書く殴ってしまったが、三浦春馬よかったです。
将来の邦画を背負っていく若手が見れたこともよかった。
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劇中セリフより
「もっと自分を信じればいいのに」
実力が有り、数少ない席に座れたならば全力を出して欲しい。
その席に座りたくても座れない者もいるのだから。