「ハリウッドのドンパチ刑事ものとしては出色の作品」21ブリッジ 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドのドンパチ刑事ものとしては出色の作品
シネコンの中では小さなスクリーンでの上映でおまけに観客も少なかったが、とても見応えのある映画である。ストーリーもいいし、カメラワークもいい。冒頭で主人公が幼い頃に警官だった父親が3人組の男に殺されたことがわかり、その次の監察官による調査のシーンでは大人になった主人公が父親と同じ警察官になったことと、発砲についての主人公の考え方がわかる。この時点で主人公に対してある程度の感情移入をすることになる。次の興味は現場での主人公がどのような銃の使い方をするかということになる。
そして事件が始まると、そこからはハリウッド得意のアクションシーンが楽しめる。展開がスピーディでテンポがいいから終盤まで一気に進む感じだ。ちょっと新しいと思ったのが、現場の刑事が管理本部と自動通信でリアルタイムに繋がったりすることで、そういえばアメリカの警官は小型カメラを身に着けているから、カメラに通信を繋げておけば本部は報告なしで指示ができる。いまはまだ録画だけだが、そのうちにリアルタイムの通信で本部に保存されるようになりそうだ。事件解決にも役立ちそうだが、警官の執務態度も向上するかもしれない。
という訳で、ハイテクもありつつも最後は主人公の知力と身体能力が物を言うという王道の決着だが、事件が解決してもアメリカの警察官の置かれた状況についての問題は少しも解決しないというモヤモヤが残る。それを主人公と共有するラストシーンがいい。ハリウッドのドンパチ刑事ものとしては出色の作品だと思う。