劇場公開日 2020年8月28日

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「フレッド・ロジャース × トム・ハンクス = 僕たちの"ミスター・ロジャース"」幸せへのまわり道 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5フレッド・ロジャース × トム・ハンクス = 僕たちの"ミスター・ロジャース"

2020年8月28日
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ありのままの君が好き --- まさしくミスター・ロジャースのように愛される映画。価値ある素晴らしいメッセージを素晴らしい演出と演技で持ってして僕たちの心に届けてくれる。それもこれもやはりアメリカ人どころかおそらく世界中で最も愛されている役者 = トム・ハンクスもフレッド・ロジャースという人物を重ねることが容易だから。彼のすべてを否定せず包み込むような優しく温かな名演はそうした2人の人生経験が滲み出ているようで、自ずと鳥肌が立ちそうになるし胸を打つ。自分もあれこれ相談したいなって思う。正直、見る前は似ていないなどとも思ったけど、そんなことは些細なことに過ぎなかった。見ている内にフレッド・ロジャース × トム・ハンクス = 僕たちの"ミスター・ロジャース"という不思議な方程式ができ、その存在に癒やされる。本作と同じく子どもの心を持った大人(『ビッグ』)からウォルト・ディズニーにまでなれるんだから、トム・ハンクスのちからってすごい。
番組のていをなした作品構成・語り口(ex. ミニチュア = 俯瞰遠景/移動や脚本における柱の役割)。いつから怒っていたっけ?特に今まで自分を愛し培ってきてくれた人たちを思い出す流れとか、トム・ハンクスの僕に投げかけられた視線も相まって、本当に映画と自分を同一視してしまうような魔法の時間だった。そうしたマリエル・ヘラー監督らしく見事なストーリーテリングには一種の催眠効果みたいなものがあるようで、不思議な心地だったし本当に魅入ってしまった。音楽も時々番組を、時々ロイドの心情や感覚を表すように重要な役割を果たしていて印象に残った。キャストの順番もトム・ハンクスが一番最初だけど、葛藤し僕が共感を覚える物語的主人公は間違いなく信念の人ロイド。だから今を生きる僕たちに必要な映画で救われる。君は壊れていない。本作におけるフレッド・ロジャースとはつまりアドバイスで背中を押してくれる一種の道先案内人でメンター/セラピスト的立ち位置のよう。もちろんロジャースさん本人はそれを否定しただろうが。そして彼本人の苦労・苦悩を知りたい人にはドキュメンタリー映画『ミスター・ロジャースのご近所さんになろう』をおすすめしたい。ご近所さんになりたい!

今年映画館鑑賞47本目たぶん

とぽとぽ