「居心地」コロンバス ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
居心地
対称を非対称にしたからと言って、何か自由が手に入るわけではない。
僕の行っていた大学には教養課程にもゼミがあって、僕が選んだゼミの担当の先生は、いわゆるバブルの頃に株取引で大儲けしたことのある人だった。
そのお金で、建築デザイナーを雇って、モダンな家を建てたけど、間も無くそれを売却して、普通の家を買い替えたと言っていた。
モダンな家は、住み心地が悪かったらしい。家には長年ヒトが培ったノウハウのような住み心地の設計があって、それこそが大切だとは、その先生の弁だ。
整然としたモダニズム建築の街は、美しいかもしれない。
しかし、人の営みはどうだろうか。
建物のために人が無理をしていないか。
常に、美しくあるために、それを裏で支える人がいて、その人は仕事に誇りを持ててるだろか。
格差が隠れていないか。
街の美しさだけが独り歩きしていないか。
僕達の周りには実は、そんな居心地の悪さが溢れている。
成績優秀だから進学しなさい。
何をしたいのか、少し考えたかったりもする。
ゲームばかりしてないで本を読みなさい。本を読めないのは集中力が足りないからだ。
興味のある無しはどうでも良い。
親は大切にしなさい。そんなこともできないのは人間としてどうかと思う。
親と確執のある人もいる。
多くの国が豊かになって、そこに暮らす人々は一見、大いに自由になった。
何をするにも選択肢は増えた。
でも、何をしたら良いか分からない。
周りの人はあれこれ言う。
だから、一歩踏み出してみたら良い。
敢えて孤独を選んでみるのも選択肢のひとつだ。
不自由さをひとつ捨ててみれば良い。
きっと別の景色が見えて、居心地の悪さが少し…、少しだけかもしれないが、改善するかもしれないのだ。
※ 僕はこの作品、結構好きです。ところで、韓国映画はパラサイトで盛り上がってるかもしれないが、会話が主体の作品にジョン・チョウのような俳優が出演出来るのも強みなんだと思う。