「共生のダンス」ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
共生のダンス
この農場の資金を提供したという“投資家”は、この映画のプロデューサーのことだろうか?
一見、ジョンとモリーの2人の物語のようだが、80万平米の広大な土地で、多くの人が従事している。
とてもじゃないが、卵や豚を売って得た収入では、まかなえない規模である。
エコライフのイメージに合致しない“耕作機”や“重機”の姿なども、意図的に映していない感じだ。
というわけで、正直なところ、どこか“眉唾”な印象が拭えないドキュメンタリーだ。
少なくとも、映されていないことが、たくさんある作品だと思う。
しかしながら、この作品には独特な面白さがある。
それは、(1)自分たち「人間」や、(2)「農作物」と「家畜」だけでなく、(3)「野生動物」がメインキャストととして登場するのだ。
コヨーテ、果樹を食べる鳥、野ネズミ、カタツムリ、ハエのウジ虫、アブラムシ。
招かれざる“ダンスのパートナー”が、次々と大量に現れて困らせる。
薬剤を使用せず、増えすぎた害虫や害獣にどう対処するか? 番犬だけでは対応できない。
彼らは、広大な農地のメリットを生かして、“天敵”による自然の“自己制御”を利用するのだ。そこが見所だと思う。
また、その時々のジョンの素直なモノローグが素晴らしく、観る者の心を打つ。
印象的だったシーンが2つある。
まだ2年目に「いつから農家と名のれるのか」とつぶやくシーン。それが、映画の終わりには、静かな自信に変わっていく。
そして、銃を使うシーン。“夢の一部が死んだ”瞬間。
最大限の「多様性」と、その間の「心地よい“不調和”」。
今年もジョンとモリーは、新しい“パートナー”と“共生のダンス”を踊っているのだろうか?
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