「原作ゲーム[は]とても素晴らしいです」劇場版 DEEMO サクラノオト あなたの奏でた音が、今も響く kuroさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ゲーム[は]とても素晴らしいです
初代の原作ゲームはクリア済み、それなりにやり込んでいました。ラストリサイタルや2は未プレイです。
今回の映画化は楽しみにしていましたが、情報が解禁されて、思ったよりCV声優さんの数が多く「おや?」と言った思いを持ちつつも、予告でANiMaも流れたし、それが劇場サウンドで聴けるだけでもいいかなと劇場にて鑑賞。
結果
大いに期待を裏切られ、久々にちょっと怒りまで感じてしまいました。劇場を後にしたあと、すぐにAragamiを聴いたのは言うまでもありません。サブタイトルが長くてダサい作品は外れが多いのでしょうか?
少なくとも僕のように原作のあんな曲やこんな曲が劇場で聞けたらいいな!と思ってる方はちょっと鑑賞を考えた方が良いかもしれません。。
また、この作品を観た原作未履修の方、Deemoってこんなもんか、みたいに思わないでもらえたらなと思います。原作では、もっともっと沢山の感情豊かな楽曲やイラストに彩られ、台詞は殆ど無いのに映画よりも深くストーリーに没入出来るかと思います。
↓↓以下、ネタバレ含む原作プレイヤー主観の感想です↓↓
まず気になったのは冒頭、本編前(←!)に流れるロゴの場面。ポニキャ→SIGNAL.MD、そして最後にRayarkのロゴが流れるんですが、まさかのRayarkのロゴだけ最後音の余韻がバツっとブツ切りにされます。
えっ、音楽ゲーム原作で世界観大事にしてる作品の映画化で、しかもRayarkのロゴを音ブツ切り?大丈夫なの?
と思わされます。結果はやはり大丈夫じゃありませんでした。
さて、本編です
プレイヤーとしては、ここでゲームのOP曲なんかが流れながら本編始まったら最高だななんて思ってましたが勿論そんなことはありません。
予め言っておきますが、今回出てくる原作楽曲はほぼ予告編で全て出ています(テロップ含)。そして使われた曲達も雑な感じの使われ方(後述)されている印象を受けるものが多かった印象です。
雨の中、野良猫(?)がピアノの音(ラ・カンパネラ)の鳴る方へひたすら歩いていきます。Deemoの世界ではなく現実のようです。すぐにあれ?と感じます。なんか妙に音数が少ない…最初は「演出かな?」とも思ったのですが、作品の最後まで音数の少なさ、単調さが際立って感じました。何でもかんでも効果音をつけろなんて勿論言いませんが、これはもう手抜きって言えるくらいショボいのでは…??
CV声優さんの多さで勘づいた方もいるかと思いますが、物語をセリフで展開させようとする節が至る所に見られます。セリフなんて殆どない原作のファンからしたら、正直原作の世界観を壊しているようにすら感じます。
今作では猫のぬいぐるみやくるみ割り人形、においぶくろが喋り動き回ります。彼らに説明させ、動かせないと物語を進められなかったのでしょうが、原作プレイヤーからすれば、それは演出や脚本の力の無さを露呈しただけなように思います。原作なら主人公とDeemoと仮面の子の3人と、楽曲イラストや時折挿入される短い映像だけで充分物語が進んでいる事を理解出来たのですから。
そしてこの作品の肝でもある、Deemoのピアノ演奏シーンですが…
・ピアノの音に魅力を感じられない(演奏技術というよりは、録音、MIXの問題?もしくはシアターの設定でしょうか?)
・楽曲から受ける印象をキャラが勝手に単純な言語化をする(楽しい曲、優しい曲など)
・Deemoの演奏してる手や指の動きがなんかエイリアンぽくて正直気味が悪い(
・ピアノの演奏の音と指の動きが合っていない箇所がとても多い…これはDeemoだけじゃなく、現実世界での演奏シーンでもズレてるところがそこそこあります。
新劇エヴァでカヲル君の演奏シーンをあれだけしっかり作られていたのを観ているだけに、今回のはちょっと酷いだろと思わざるを得ないです。あれこの作品、ピアノ演奏が主軸の作品じゃなかったっけ???
「綺麗な音」って言わせるならそう思わせる音作りをしてほしかったなと思います。
Leviathanの演奏シーンでは、弾いていくうち狂気に満ちて嵐の中演奏を続けるDeemoが描かれます。
おっ、大好きなボス曲その1が来た!この時点で結構胸の内がモヤモヤしてる中、回復地点になるか?
…あんまり回復はしませんでした。やっぱりちょいちょい映像(指)と音ズレてるし、嵐の音はうるさいし、狂気のDeemoは狂気と言うよりは感情のない暴走ロボットの様な感じ…。合間合間にはキャラクター達が色々言っていますが、それが楽曲の良さを壊し冗長にしているように思えてしまいました。カット割もよくある感じだけどカッコいい演奏として見せる気はあまりない印象。狂気なのにカッコいい演奏を観たかったなぁ…
嵐を起こす程の狂気な演奏後、大泣きするアリスを見るDeemo。あ、演奏終わったら普通に素に戻るんですね。。
色々あって大きな鍵付きの扉までたどり着く一行。想像してたけど、やっぱりEntranceなんて流れないよね!知ってた知ってた。
その後、大きな歯車のある場所で鍵を手にするアリスとセリア。するとその場所が崩壊し始めるので急いで脱出しなきゃ!となります。
さぁ待ちに待ったANiMAがバックで流れ始めます。Dreamと9.8以外あんまし原作楽曲いい使われ方してないし期待したくないけど、やっぱり胸が躍ってしまうANiMAの前奏。ほんとは演奏してる所を観たかったけど、仕方ないか。おー盛り上がってきた!脱出出来るか?さぁ音楽は後半たたみかけるとこがくるぞ!えっ!ここで音楽そんなに下げちゃうの!?ちっさ!むしろギャーギャーうるさ!SE大きい!ここはANiMAに任せて突っ走ってくれよ!どうしてボリューム極端に上げ下げするの!音楽全然楽しめないよ!うわ終わっちゃった…何これ…
思った事そのまま書いてしまいましたが、ほんとそんな感じです。ANiMAを劇場サウンドで聴きたくて観たいという方、くれぐれも覚悟してください…
最後、出口へ行ける床(?)が現れてアリスが上へ行く最中、ピアノを弾きながらDeemoの正体が現れるのは原作通りです。
が、その手前のアリスとDeemoが階段で分かれるところ、それでいいの?監督は原作ゲームでFluquorフルコンなんて絶対していないのでしょう。。あのイラスト使わないなんて事あるんですね…逆にビックリです。まぁFluquor流れなかったしね…
ダラダラと書いてしまいましたが、原作への、特に楽曲へのリスペクトが全然感じられない作品でした。映画オリジナルの、梶浦さん楽曲は全部いい感じに使われてるのに何でしょうねこの違いは。お話も、蛇足が多い割に原作で描かれてた事をしっかりと描くつもりはない感じ。サウンドは終始微妙。なんならエンディング曲はオリジナル曲のみで、Deemo Goodbyeなんてカケラも流れません。
今作のメインスタッフは、一体どれくらい原作をプレイしたのでしょうか。というかそもそもこれ、RayarkからDeemoの使用権だけ得ておいて、Ming Yang達の意見なんて何一つもらってないし反映もしてないんじゃないでしょうか?そうじゃなきゃ、よくこれでOK出したねRayark!てなりますよ。。
良かった事を挙げるとすれば、主人公CVの竹達さんがゲームから続投してくれている事、原作ゲームで見た色々な場所の背景が沢山出てきてくれた事。くらいですかね?なので星1.5です。
悪い事は言いません、原作ゲームをプレイしましょう。その方がよっぽど心動かされます。原作ゲームは星5です⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️