「ナターシャの過去に迫る、哀しき家族の再生譚」ブラック・ウィドウ アルタイルさんの映画レビュー(感想・評価)
ナターシャの過去に迫る、哀しき家族の再生譚
クリックして本文を読む
『ブラック・ウィドウ』は、MCUフェーズ4の幕開けにして、ナターシャ・ロマノフという一人の女性の心の奥底に迫るドラマチックな傑作です。彼女のこれまで語られてこなかった“家族”と“過去”を描くことで、アベンジャーズとしての彼女の選択がより一層深く胸に響くようになります。
本作の魅力はなんといっても、ナターシャと擬似家族との関係性。妹のエレーナ(演じるフローレンス・ピュー)は特に印象的で、鋭いユーモアと強さを併せ持ち、観客の心をつかみます。レッド・ガーディアンやメリーナとの関係も、一筋縄ではいかない「偽りと本物」が混ざり合うリアルな“家族像”として描かれていて見応え十分です。
アクションシーンも秀逸で、ボーンシリーズを思わせる近接戦闘や逃走劇の緊張感が高く、スパイ映画としての完成度も非常に高い。大規模な空中戦から手に汗握る格闘まで、緩急のつけ方が巧みです。
唯一、ヴィランであるドレイコフやタスクマスターにやや深みが足りず、物語のカタルシスに若干の弱さが残ったことが、わずかな減点要素。それでもナターシャの“最後の物語”としては極めて満足度が高く、4.5の高評価に値するMCU屈指のスピンオフ作品です。
コメントする