「「絆」」ブラック・ウィドウ 山川夏子さんの映画レビュー(感想・評価)
「絆」
大ヒット必至だったはずなのに、新形コロナウイルスの世界的流行で公開が遅れに遅れて、予定から1年以上経ってやっと劇場公開された大作映画。
”STAY HOME”という地味地味とした闘いを世界中の人が続けている今、異例の「劇場公開と同時にVOD配信開始」を決断したMARBEL社。新型コロナウイルスという人類の敵に世界が翻弄された2020年・2021年の象徴的な出来事として映画史に残るんだろうなあ。
「MARBELの大作は絶対に映画館で観る!」と言い続けてた私も、今回はワクチン接種を前に、ディズニー・プラス・アクセス・プレミアで鑑賞することにしました。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、世界を救うために自らの命を絶ったブラック・ウィドウことナターシャの衝撃的な最期。
最初の頃は、アベンジャーズの中でも脇役のようにみえた彼女 。
『 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で、怪人ハルクと淡い恋愛関係が始まって、なので、あの体質のせいで恋愛が出来ず彼女から逃げ出して行方不明になってしまったハルク 。あの頃から彼女のことが好きになりました。
アベンジャーズシリーズの中で徐々に明かされていった、彼女の過去。今作は、インフィニティ・ウォーの後、姿をくらましていた間、彼女は何をしていたのか?というストーリーでした。
それを、アベンジャーズの完結編『アベンジャーズ・エンドゲーム』の後に、スピンオフ的に「ブラック・ウィドウ」を持ってきたのには、深い理由があったんだなあと、非情な殺人マシーンから正義の味方に転身して、彼女があのような死を選択した、その理由が浮き彫りになるお話でした。
「エンドゲーム」と「ブラック・ウィドウ」を繋ぐ一条の光は「家族」。
凄まじく冷徹なスパイ養成所で育ったにもかかわらず、人の心に寄り添い共感する彼女の優しい気性。そんな優しい心がきちんと彼女のなかに育まれたのには、子供時代に愛のある場所で生きていた経験があったから、なんでしょうね。
「痛みは人を強くする」という言葉が出てきましたが、映像とストーリーの中では「人を強くするのは家族」「愛する人の存在である」ということを明確に示していました。
アクションシーンも、大変見事なもので、「美しく強い女性戦士」の映画らしく、美しくてカッコいい女性ソルジャーが大勢出きました。
妹エレーナとの再会、格闘シーンは女性のアクションシーンとしては史上最高!ではないでしょうか。これは映画史に残る名シーン!と思いました。
アベンジャーズ・シリーズは、振り返ると、本当にたくさん美しくて強い女性戦士が出てきましたね。
女性戦士が果敢に闘う姿を見てると、勇気がもりもり沸いてきます。
キャプテンマーベルはスーパーヒーローになってから恋愛や女の子らしい普通の生活に何の未練も無さそうなキャラクターですが、ナターシャはスパイとして少女時代に子宮を摘出され、子供は産めない、家族はいない。「ごく平凡で当たり前の女性の人生を喪失した悲しみ」を受け入れながら乗り越えてきた女性で、まさにアン・ルイスの「WOMAN」の歌詞に出てくる「悲しみを身ごもってやさしさに育てた」女性、だったんですね。
さよなら、ありがとうアベンジャーズ!
楽しかったです!