「米国側から見たミッドウェイ戦勝記」ミッドウェイ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
米国側から見たミッドウェイ戦勝記
米国の対日石油禁輸措置がとられれていた1941年。
日本は打開措置として12月7日(日本時間12月8日)にハワイ真珠湾の基地及び米国艦隊への奇襲攻撃を行う。
攻撃は成功。
連合艦隊司令長官山本五十六大将(豊川悦司)が狙う戦争の早期終結は成功するかのようにみえたが・・・
といったところから始まる物語で、その後、ドゥーリトル中佐(アーロン・エッカート)率いる爆撃隊による日本本土空襲、レイトン少佐(パトリック・ウィルソン)の情報戦による日本のミッドウェイ襲撃の探知が描かれ、最終的にはミッドウェイでの大海空戦となります。
米国、中国、香港、カナダの合作なので、いわゆる戦勝国側からの戦記ものの作りだけれども、日本側にもかなり尺を割いて描いているので好感が持てます。
映画のつくりとしては、全体を俯瞰したような作りから、見せ場であるミッドウェイ戦に向けてヒーロー譚にシームレスにシフトするあたりが米国向けエンタテインメントとして巧みだと思いますが、米国兵英雄譚に決着するのが日本人観客には居心地が悪いかもしれません。
また、そのヒーロー役のベスト大尉を演じるエド・スクラインが悪人面なのも、ちょっとね。
日本側では、空母飛龍とともに沈んでいく山口多聞少将に焦点が当てられ、浅野忠信は儲け役。
見せ場のミッドウェイ戦も、ローランド・エメリッヒ監督お得意の物量作戦演出で相当な迫力。
ただし、迫力優先の演出にしたために、日本側航空部隊の爆撃装備→魚雷装備変更→爆撃装備への再変更がわかりづらくなっているのが難点。
当初、米国が日本軍の戦闘能力を相当恐れていたあたりが描かれているのが興味深く、本気で米国西海岸では空襲されると信じていたことがわかるし、米国隊の中でも負け戦感に覆われていたもの興味深い。
ま、この厭戦感があるからこそ、後半の英雄譚が活きてくるのだけれど。
なお、中国資本が入っているせいか、ドゥーリトル隊の中国本土不時着エピソードは水増し感あり。
字幕処理でもよかったのではないかしらん。