一人っ子の国 解説 中国で1979年から2015年まで行われていた「一人っ子政策」についてのドキュメンタリー。中国出身の2人の女性監督ナンフー・ワンとジアリン・チャンが手がけ、一人っ子政策がもたらす深刻な影響を暴き出した。2019年サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でグランプリを受賞。Amazon Prime Videoで配信。
2019年製作/88分/アメリカ 原題:One Child Nation
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2020年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
本作の監督は、一人っ子政策時代に生まれた。成人後、アメリカに移り住んだ彼女は子どもを授かり、祖国では一人っ子政策の終了がアナウンスされ、あの時代のことを調べようとする。 次々と衝撃の事実が明るみに出てくる。監督には弟もいたが、そのことでいじめられたと言う。さらには、親戚には子どもを捨てた者がいた。強制的に病院に連行され、不妊手術を受けさせられた女性も数多いという証言が飛び出す。道端に赤ん坊を置き去りにすることも珍しくない時代だったと言う。さらには、二人目の子どもを生んでしまった家庭の子どもを海外の養子縁組に出す組織も存在していた。しかも国家の役人もそのビジネスに絡んでいたという。 生き別れになった双子の姉妹が、SNSを通じてつながるシーンは感動的だ。しかし、その背後には多くの悲劇がある。ウイグル自治区でも非人道的な不妊治療が行われているという報道もある。一人っ子政策が終わっても中国は変わっていないのかもしれない。 アメリカに暮らす監督は、アメリカの一部で導入されている中絶禁止についても触れる。女性が自分の身体を自分で決められないという点で一人っ子政策のひどい実態を何が違うのだろうかと問う。中国でもアメリカでも、国家に翻弄される命がある。
2020年5月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
最近まであった政策なんて 知らなかった 民主主義の怖さ 政府の政策で個人の生活が脅かされるなんて想像絶する 日本って平和だなってつくづく 怖い
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・一人っ子政策が表向きは経済維持の為、 国民の為、と打ち出されてきたものの、 結果「産ませない」「誘拐」「服従」 等といった不自由を 産み出していたことを初めて知った。 そして、国民がそれを政策、 正しいものとして受け取り、 あるいは納得もできずに従わされ、 次の国民の自由を奪ってしまうという、 恐ろしい服従関係が生み出されていた ことを知り、政策というものの驚異に 私の国は大事だろうか、と 不安になった。 「あのときは仕方なかった」と、 今を振り返ってしまわないような 政策であり続けられるだろうか。 ・新事実に触れる危うい内容が次から次 へと現れる怒涛の展開に、目が離せず、 引き込まれた。
2020年1月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
本作は、中国のひとりっ子政策が恐ろしい事実と共に、自分の国の政治についても考えさせられる名作でした。 「ひとりっ子政策」という言葉は耳にしたことがあるし、なんとなく一家族に子どもは1人までっていうルールくらいにしか認識してなかった。 インタビューを受けるのはひとりっ子政策に翻弄されてきた人々。 辛い過去に蓋をした監督の親戚 役人の言いなりになるしかなかった村長 政策が絶対正しいと信じる委員会のおばさん 罪滅ぼしをする助産師 逮捕された斡旋業者 消えた赤ちゃんを追う人々と、消えた赤ちゃんの家族 人生をめちゃくちゃにされた人々の話を聞いていく中で、「ひとりっ子政策」がどれだけ中国の人々の心に闇を落とし、そして行政と戦う闘争心を剥いでいったことがひしひしと伝わってきた。 途中、多くの人が口にする「仕方がなかった」という言葉が虚しい。 ひとりっ子政策の残酷さを痛感すると同時に、中国政府に抱く恐怖の念。ウイグル自治区の件もそうだが、政府にとって人の命は軽い。 また、これはどの国のどんな人にも言えることだけど、「国を信じるということは、政府や党を信じること」が如何に危険かというとこも語ってる。 民主主義の国であっても、体制側の言うことを鵜呑みにしているうちに、「仕方がなかった」では済まない事態が訪れる。