「【冒頭、アニメが始まり”しまった!スクリーン間違えた!”と思ったら・・。時の流れを揺蕩うように感じさせる、クスクス笑えて少しホロリとする沖田修一ワールドを堪能した映画である。】」子供はわかってあげない NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【冒頭、アニメが始まり”しまった!スクリーン間違えた!”と思ったら・・。時の流れを揺蕩うように感じさせる、クスクス笑えて少しホロリとする沖田修一ワールドを堪能した映画である。】
ー クスリとした笑いとホンワカとした気分を味わいつついつの間にか、少し涙腺が緩む映画を観る側に届ける事の出来る監督は、貴重である。
ド迫力アクションがあるわけではなく、号泣させられることもない。
沖田修一監督の映画は、少し変わってはいるがフツーの人々がフツーに登場し、少し起伏があるストーリーだが、大きな事件が起こる訳でもない。
けれど、鑑賞後、豊かな気持ちで映画館を後に出来るのである。ー
◆感想
1.冒頭、『魔法左官少女バッファローKOTEKO』というアニメが、少し長い時間流れる。
ー あれ!スクリーン間違えたか!! と焦ったら、上白石萌歌さん演じる美波が、涙を流しているアニメだった・・。ついでに、美波の義理のお父さんも、見ている。
チラッと映るのだが、このアニメは監督が台本、ダンスも手掛けたようだ。拘るなあ・・。ー
□美波さんの家族
・”OK牧場!”が口癖の、明るいお母さん(斎藤由貴)
ー うーん、古いなあ、お母さん・・。ー
・家族写真を撮るときに戦艦ヤマトの模型を胸に抱く義理のお父さん(古館寛治)
・やんちゃな弟君
ー 健全な家族である。
だが、美波さんのホントのお父さんは、彼女が小さい時に家を出て新興宗教の教祖様になって、そのまま失踪していた。ー
・そして、美波さんは真面目なシーンになると、笑いが止まらないという、体質である。
ー 背泳ぎの競泳しながら、笑っているのは、シュールであるなあ・・。ー
2.クスクス笑えるキャラクターや場面も多く
・書道部男子門司君(細田佳央太)の苗字。
・水泳部顧問 ”な!”
・門司君の兄でオネエ探偵の明(千葉雄大:ムチャクチャ合っている。スゴイナア。)の立ち居振る舞い。そして、涙脆い・・。
・水泳部の合宿に行くと言って、久しぶりに会った父(豊川悦司)とのご挨拶。
ー ”娘です””父です”と二人、深く頭を下げるシーン。ー
・父と近くの女の子に美波さんが水泳を教えるシーン。
ー 名優、豊川悦司のマサカのピチピチ海パンと水泳帽で登場のシーン。脳内爆笑である。
”死ねば浮く”と言う事で、庭先で二人が死んだ練習をするシーン。オカシイ。ピクっと動くと、水鉄砲の水が・・。ー
・美波さんが、”暗殺”されたのでは・・、と勘違いしてやって来た門司君と父との会話。
ー “美波からお父さんって言われていないのに、君がお父さんと言うな!”と言いながら、”やっぱり美波さんはお父さん似ですね・・”と言われ相好を崩し、一升瓶から直に茶碗に酒を注ぎ二人で酒を呑むシーン。ー
3.美波さんの門司君への告白のシーン
・ここも、沖田修一監督なので、一捻り半させている。だが、沁みるシーンである。
<友情、恋愛、サスペンス?、一夏の冒険要素をミックスした、沖田修一青春ムービー。
休日の午後、揺蕩う時間の中でまったりした気分で観たい、素敵な映画である。>
邦画復活の件。
河村光庸世代の作る「ワイドショー品質の社会派ドラマ」に業界が愛想尽かした、ってのがあると思います。入れ替わりで、人情噺・人間ドラマ・コメディ・スリラーと多様化して来たし、若手監督作品が劇場に掛かる様になったのが昨年の終盤あたりからですかねぇ。
先日お亡くなりになった千葉真一さんは「某政権が邦画界を目の敵にして潰しに来ている」と言う旨の発言をしておられましたが、それも無縁では無いと思ってます。