リチャード・ジュエルのレビュー・感想・評価
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クリント・イーストウッド色
ゆっくりとしたペースでじわじわとラストに向かい、派手さはないけれどいくつかの名言がもりこまれ、思わず涙して拍手をおくりたくなる場面が何ヵ所かありました。こういうところがクリント・イーストウッド的作品って感じがします。
あくまでもメインの二人に焦点をあて、ぶれないところがとても良かったです。
今回のラストシーンは、、
イーストウッド監督の名前のおかげで過大評価されているのでは・・・
評価が良いのは、イーストウッド監督の名前のおかげで、はっきりって過大評価ではなかろうか。
本来ヒーローになるべき人物が濡れ衣着せされて、そこからの名誉挽回の物語だけと、
主人公に全く魅力がない。
(容姿はともかく行動が一般人と違いすぎる。アスペルガーの人?)
そして名誉挽回の過程があっさりしすぎてる。
無実の人を興味本位で犯人扱いしたマスコミはどうなった
マスコミに捜査情報流したFBIはどうなった
あんな簡単に無実とするなら最初に有罪扱いするのが愚かすぎる
本国では、色仕掛けで情報を得る女性記者の扱いがステレオタイプ過ぎて批判されてるそうだけど、それ以外でも出来は悪いのでは。
弁護士役のサムロックウェルはカッコいいね。
メディアのおそろしさと無責任
凝ったストーリー、作られた素晴らしい⁈映像が多い中で
久しぶりに人としての温かさ、愚かさに触れる事ができた気がします
いろんな物事に惑わされる事なく、大切なものを信じていこうと…単純ながらに思いました。
メディアはどの国も犯人を仕立て上げ追い回す。
彼らを見ているといつも悲しくなります。
ペンは爆弾よりも強し
前作「運び屋」では、イーストウッドからの今を生きる人たちへの遺言という印象を受けた。目の前の人を大事に、後悔の無いように生きよと。
一方、今作「リチャード・ジュエル」には、今を生きる人への警告が込められていた。
新聞やテレビのようなマスメディアはもちろん。SNSの発達により、誰でも情報を発信することができ、真偽はともかく情報が溢れ出す時代だからこそ、この作品が世に訴えるものは大きい。
人を殺すのに、剣など、銃など、爆弾など必要ないのだ。なんて事実はフィクションよりも恐ろしいのか。
権力こそが正義と信じてやまなかったリチャードが、最後、権力に対して言い放ったシーンは痛快。
派手な演出はないが、奇を衒い、一つ一つの出来事を丁寧に紡いだ名作でした。
正義の貫き方
彼の作品はいつも珠玉
彼とはクリント・イーストウッドなり。コンスタントにこれほど質の高い佳作を作り続けるなんて、まさに職人。アカデミー賞大本命とか言われるような大作や衝撃作でなくても、映画の何たるかが分かってる人の作品はいつだって素晴らしい。
リチャード・ジュエルか犯人扱いされてしまう顛末については、あまりにお粗末すぎてめまいがしそうなくらい。物的証拠は一つもなく、状況からも彼は犯人でないことは明らかなのに、プロファイリングで犯人にされるなんてありか‼️
FBIは疑うのが仕事だろうけど、恐ろしいのはマスコミ。正義の味方の顔で
他人の人生を破壊する。リチャードはリチャードで、順法意識が強すぎるし連邦捜査官があこがれなので、FBIの捜査に協力しちゃうと言う訳の分からん展開に。弁護士ワトソンの苦労がしのばれます。
リチャードの母、ボビの記者会見はやっぱり泣いた。その後映画のエンディングまでずっとなみだ。そして、サム・ロックウェルはやっぱりカッコ良かった‼️
規律を重んじて慎ましく暮らす心優しい男の受難劇(滞納はご愛嬌)
テロの爆弾を発見した警備員リチャード・ジュエルは、FBIの杜撰な捜査で、容疑者にされてマスコミからも疑われる実話。
イーストウッド監督の相変わらずの巧さ。音楽も必要最低限にしか奏でないので、最初は淡々と進行しながら、爆弾テロの予感を徐々にサスペンスとショックに向かって、巧みに誘導してゆく演出で、観客の心掴み、そこからジョエルとワトソン弁護士との友情も抑制されたタッチで描く。
リチャード・ジュエル役を演じる、ポール・ウォルター・ハウザーが、規律を尊んで、うざがられ気味の心優しい男を、ハマり役で好演。
ポール・ウォルター・ハウザーは、「ブラック・クランズマン」KKK団員や「アイ・トーニャ」の妄想ニートと同じ階層の問題のある人物をタイプキャストを演じていた人だか、風貌が同じで、思想や性格は全く違う。
その真っ直ぐな人の良さと優しさ故に、FBIの連中から罠にかけて、証拠偽造にハマりそうになるなどの危うい面やあまりの重圧に胸を押さえて苦しむ姿がサスペンスを呼ぶ。
恐ろしい事に、リチャード・ジュエルがその見た目や環境や性格の為に、疑惑をかけられても仕方ないとの意見を一部のレビューで拝見して暗澹たる気持ちにもなった。
自分の価値観のみで、イケて無いから冤罪かけられてやむえないと考えは、パワハラやモラハラをしてる人達と同じで、その自分の加害性を全く理解できないのであろうか?この映画はその危険性を訴えているのに。
そういえば、映画のFBI捜査官も最後まで自分達の過ちを認めずにいた。
FBIの捜査も、「羊たちの沈黙」などで、認知された特定プロファイルで、第一発見者のリチャード・ジュエルを、物的な証拠もなく容疑者と認定して追い詰めるサマは、本当に恐ろしい。
ワトソン弁護士や記者が、出来る範囲の裏付けもしないとは!天下の連邦警察とは!杜撰すぎる。
6年後に再会したジョエルとワトソン弁護士の素っ気ない雰囲気なのに絆を感じる、ラストも良かった。
ワトソン弁護士役のサム・ロックウェルも「スリー・ビルボード」の保安官とは、うって変わって頼りになるスニッカーズが好物な弁護士好演。
アメリカでは、内容が一方的だ!などの批判もあるし、地味な作風の良作だが、個人的には「アメリカン・スナイパー」にあった戦場でのスナイパー同士の対決などのケレン味もスパイスとして欲しかったと思う。
例えば、リチャード・ジュエルの長距離射撃の腕を生かして、彼を疑う記者のピンチを救う場面があるとか。(その時に、ジュエルがハワード・ホークス監督の「ヨーク軍曹」と同じ仕草で照準をつける場面を盛り込むとシネフィルが嬉ションします)
または、テロリストに爆弾を仕掛けられたスニッカーズを食べようとしたワトソン弁護士に、ジュエルが気付いて、投げ捨てるとテロの犯人のいる場所で爆発して、それがきっかけになり逮捕されるとか。
どうですか?ダメか?
正義の人リチャードジュエル
優しいだけのおバカさんなのか、本物の正義の人なのか。
正しいことを貫くには不具合が生じやすい今。
彼を無条件に信じ愛する母がいること、見た目や職業とは関係なく対等に付き合う友人に出会えたことが彼を本物の正義の人にした。
FBIに、ただ身の潔白を証明したくてペラペラ喋ってしまうリチャードジュエルに「だまれ」って視線を送る弁護士に激しく共感して笑ってしまった。でも彼の中の正義は自分の中のものよりももっと無垢で尊いということを最後に知り、一緒にニヤッとしてしまう。
こんな静かで熱い闘いを観て、悲しいとも嬉しいとも違う涙が溢れてきた。
母役キャシーベイツの、状況を一変させると予感させるスピーチは素晴らしかった。
粗暴ながらもノイズに惑わされることなく自ら納得したことだけを行動に移す弁護士役サムロックウェルはお茶目な一面もありすごく魅力的。次の作品も絶対に鑑賞しようと思う。
クリントイーストウッドの凄さを感じた
断崖の英雄譚は単なる美談か?それとも…
正義を盲信する事の危うさ
作品の主張も、表現も、極めて明確かつシンプル。
ステレオタイプからはみ出した人間に対する偏見、話題性に飛び付き煽るだけのメディアの無責任さ、暴走する権力の醜さ恐ろしさ。
誰もが声高に我を押し付け、情報が恐るべき速度で現実を追い抜いて拡散するシステムが確立してしまった現代、その弊害と向き合い方について、よほど身構えて掛からなければ簡単に落とし穴に填まるぞ、という警告。
とにかく誰も彼も、自分の信じたい事、したい事を追い求めるばかりで、他人の話を全く聞かない、配慮しない。
一度破壊されれば元に戻らない物事だってあるのに、過ちが認められた後も、FBIもマスコミも、どうせ謝罪の一言もないだろう。
皆が揃って、私は間違ってない、だから少しばかり逸脱しても許される、と言わんばかりの身勝手さで、凄まじくイライラさせられた。
主人公のリチャードも例外ではない。自分が正義と信じる事を愚直に履行しようとし、国家正義は過ちを犯さないと信じきっている。
終盤、連邦捜査局で毅然と反論し、失望を露にし、最真犯人自白の報を即真に受けず「罪状認否は?」と問うた彼は、ようやく我が身をもって、盲信の危うさを理解したという事だろう。
大衆の差別的決め付けを助長する、主人公リチャードの外見や挙動の描き方が容赦なく、記事をすっぱ抜いた女性記者曰く「母親と同居のデブ」。最近映画の考察記事で『インセル』というワードに触れたものがあったが、正にそれ。オタクで独身でキモいマザコンのデブ、多分ゲイ、という、世間の正道から外れた者への差別と見下し。
フツウでないものを排除するという感情は、生物学的生存本能として見れば至極妥当なもので、人間に当たり前に備わった本能でもあるように思う。それが自分の中にも、確かに黒々と沈殿していると知らしめられるのは、酷く気色が悪く、苦々しい。
冤罪は晴れ、晴れやかな筈の結末だが、気持ちの悪いものを呑み込んでしまって、その感触がいつまでも消えないような気分で、しばらくしかめ面のままになってしまった。
分かりやすいストレートな作品
楽しめた映画だけど
よくある感じでしょうか...
映画自体の印象は薄いけど
リチャード・ジュエル本人に対しての記憶は残るかな...
クリント・イーストウッドのインタビューで
この実話を埋もれさせないために映画化したような事を
言っていたのを思い出しました。
役者が素晴らしい
イーストウッドの看板に偽りなし
スピーチ大好きアメリカ人
1996年アトランタ五輪の裏で起きた爆破テロで容疑者としてスッパ抜かれ吊し上げられた無実の男の話、
当時日本でも報道されたのかも知れないが、少なく共、現在この事件の記憶はなく鑑賞。
イベント会場となっていたアトランタの公園で警備員をしていた33歳の男が爆弾を発見。
来場者を避難させている最中に爆弾が爆発するも沢山のひとを救ったと英雄として祭り上げられる中で、FBIから容疑者の一人とされていることが報道され巻き起こっていく。
人の良さと優しさは感じるけれど、それが故にうだつの上がらなさも感じる主人公。
それでいて俺が俺がとアピールするのはある意味アメリカ人らしい感じ。
いやーアメリカ人てホント雄弁というか語るの大好きだよね。
さっさと片づけたいのがみえみえで決めたストーリーに乗せるべく捜査や証拠をつくろうとしていくFBIに、スッパ抜いてナンボ売れてナンボの無責任なマスコミに、考えなしで鵜呑みにし流される民衆にと、悍ましさを感じる。
自分もそんな民衆の一人な訳だが…。
仕事だからという面もあるだろうけど、知人でもある弁護士のブレない姿勢と主人公に対する態度は救いだし英雄だし、無罪を勝ち取る為の戦いは、尚積み上げられる不快感と共に、熱さと心地良さがあり非常に面白かった。
クロと断言した訳ではないとはいえ、ここまで騒いで間違いに気づいても詫びの一つもないマスコミに、最後まで間違いを認めず都合良く記憶の上書きや解釈をしているFBIに、憤りと恐ろしさを感じた。
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