劇場公開日 2020年6月5日

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「ソウルミュージカル」ハリエット コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ソウルミュージカル

2020年6月8日
iPhoneアプリから投稿

オバマ政権下で新20ドル紙幣の肖像に選ばれた、アフリカ系女性の奴隷解放運動家ハリエット・タブマンを描いた伝記映画。

冒頭から、いきなりのオカルト展開。
タイミング的にたまたま今の黒人差別に対するデモと合致してしまったが、差別や解放がテーマではなく。
ジャンヌ・ダルク的なヒロイン像を魅せるため、神秘性を重視した方向の作りに感じました。

観客サイド(特にアメリカ人)は「後に南北戦争で看護婦、スパイを経て、アメリカ史上初の女性指揮官として兵士を動かし、南軍側の奴隷750人を助けた」という史実を知っているわけで。
そのため、作り手は「奴隷の所有白人たちに捕まるかどうか」というあたりに、緊迫した物語の山場を持ってこれなかったので、キャラに振ったのだと思いました。

それと、ある種のミュージカルでもありました。
それも、アカペラのソウルナンバーを主体にした。
キャラを立たせるという点に特化しているのも、ミュージカルならうなずける。

ストーリー主体の観方をすると、話がとっちらかり飛躍し、盛り過ぎ感が出ていた。
共感もしにくくなり、面白味も減っちゃった感じ。
ミュージカルとして観た方がいい。

ところで、あの白人至上主義者たち支持するトランプの政権になって、新紙幣の話が有耶無耶になっているっぽく、本当に彼女の肖像が使われるかが不透明に。
このことこそが、本作が映画になった理由かもしれません。

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コージィ日本犬