サクリファイスのレビュー・感想・評価
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犠牲の意味がわかんない
映像や編集だけはとても良かった。どことなく黒沢清のホラータッチの部分もあるし、切替しのタイミングがスピーディでユニーク。廃屋を使った序盤と監禁殺害されそうになる部分はなかなか良くできていた。音楽はピアノ曲が中心だったけど、久石譲に影響を受けたのかもしれません。
問題なのはストーリー。塔子(半田)メインで展開するサスペンスなのだが、彼女の行動が不穏であり、沖田(青木)が猫殺しの犯人であると決めつける要因は何だったのか?彼氏の正哉との関係も良好だったのに、一人で狂ったかのように疑惑を投げかけるとは・・・むしろ、予言者でもある翠(五味)が主人公のほうがわかりやすい。予知夢があるというだけで平凡な女子大生なんだから。
全体的にはそんな不可思議な事件をモチーフとして、将来に不安のある大学生や紛争地域への傭兵勧誘といった意味不明の団体に対して不信感を持つ若者たちを描いていた。新興宗教団体が宗教から戦争へと変貌するところなんてテーマとしては重厚すぎる上になおざりにされているし、東日本大震災を取り入れるところも意味がない。災害や事件・事故への憂慮も、就職や社会人になることへの不安が潜在しているだけなのだろう。
俳優というか学生(?)のような未熟な演技なので、なかなかのめり込めなかった。頼みの三浦貴大も友情出演なのか、僅かのシーンのみ。ただ、五味未知子はちょっと有望。壷井監督の今後に期待したい。ただし、脚本は別の人にまかせてもらいたいけど。
普通って何だ?
東日本大震災から7年後、311からカウントダウンされる連続猫殺しと、それに纏わるスクラップを持っていた大学生、スクラップをみつけた普通を嫌う女子大生の話。
2011年3月5日に震災の予知夢をみた新興宗教「汐の会」の少女他、能力を持つ4人がどうとか、欠番の280とか、ヒューマンドラマというよりオカルトサイコサスペンス?
他の猫じゃダメなんですか?「次はお前」は番号変わっちゃわない?そもそも何の為?
終盤は結構能書きが凄いけど支離滅裂だし、某人類補完計画的な作品好きの人が、そういう空気感でつくった雰囲気映画という感じかな。
震災を自己満足なセカイ系に悪用
東日本大震災を『311』という記号でしか捉えられない人間が作った罪深い代物。
大学生の『平凡である事・就活で社会へ出て行く事への不安』=モラトリアムをよりによって東日本大震災と絡めて(というか利用して)描くその驚くべき無自覚な浅はかさ・・言わば311によるセカイ系。まだセカイ系なんかやってんのかよ・・
冒頭からしてこの監督の先生が撮った「SHARING」とあまりに類似しているものだから頭を抱える。この映画にはオリジナリティというものはなく、先述の「SHARING」や村上春樹、ヱヴァ破と様々な既存の表現のオマージュの切り貼り(まあそれっぽく書いたけど要はパクリ)をそれっぽい雰囲気でまとめているだけ。
監督が自分に酔ったような幼稚な台詞の連発と意図的とはいえあまりにテンプレ的で薄っぺらい登場人物達に失笑。演出も拙いが俳優陣も拙い。ある人物が鉄パイプで殴られる所のリアクションはちょっと笑った。
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