劇場公開日 2020年3月6日

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「犠牲の意味がわかんない」サクリファイス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0犠牲の意味がわかんない

2020年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 映像や編集だけはとても良かった。どことなく黒沢清のホラータッチの部分もあるし、切替しのタイミングがスピーディでユニーク。廃屋を使った序盤と監禁殺害されそうになる部分はなかなか良くできていた。音楽はピアノ曲が中心だったけど、久石譲に影響を受けたのかもしれません。

 問題なのはストーリー。塔子(半田)メインで展開するサスペンスなのだが、彼女の行動が不穏であり、沖田(青木)が猫殺しの犯人であると決めつける要因は何だったのか?彼氏の正哉との関係も良好だったのに、一人で狂ったかのように疑惑を投げかけるとは・・・むしろ、予言者でもある翠(五味)が主人公のほうがわかりやすい。予知夢があるというだけで平凡な女子大生なんだから。

 全体的にはそんな不可思議な事件をモチーフとして、将来に不安のある大学生や紛争地域への傭兵勧誘といった意味不明の団体に対して不信感を持つ若者たちを描いていた。新興宗教団体が宗教から戦争へと変貌するところなんてテーマとしては重厚すぎる上になおざりにされているし、東日本大震災を取り入れるところも意味がない。災害や事件・事故への憂慮も、就職や社会人になることへの不安が潜在しているだけなのだろう。

 俳優というか学生(?)のような未熟な演技なので、なかなかのめり込めなかった。頼みの三浦貴大も友情出演なのか、僅かのシーンのみ。ただ、五味未知子はちょっと有望。壷井監督の今後に期待したい。ただし、脚本は別の人にまかせてもらいたいけど。

kossy