ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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説得力ありすぎのバレエ
ずっと見てみたいと思いながらなかなか縁がなかった作品。
今朝たまたま見始めて、続けて2回見た。
まずは対比の見事さ。
戸惑う一果に駆け寄る実の母早織、踏み出せない凪沙。
警察にすら自分の本名を認めない瑞貴、働くために自ら記名する凪沙。
りんと一果のバレエシーンはいうまでもなく。
人は比較されるのを嫌がるが、さまざまな視点からの比較を経て個人になるんだと思う。
術後の凪沙の状態は、外国での手術のずさんさとか危険と隣り合わせ的なことではなくて、凪沙の精神状態を表しているのでは。
一果は追ってきてくれず、ずっと隠していた母にもばれて自分のケアなんてする気になれなかったんだね。
私が凪沙をよしよししたい。
最後のバレエが美しかったので心が救われました。凪沙もそうであってほしい。
このために凪沙さんは人生を賭けたんだと納得できる、素晴らしいバレエでした。バレエ詳しくないけど、詳しくないのにすごいと思えることがすごい。
LGBTだけではない。何で私だけ。
何で私だけ。
凄い刺さる言葉でした。
私はストレートだけど、「なんで女性で産まれたのだろう、なんでこんな世界で生きてかなきゃいけないのだろう」
と幼少期からずっと思って生きてきました。
DVが主な原因だと思うけど。
LGBTにしかわからない気持ちももちろんあると思うけど
私はあの時の凪の涙を流してたらまた良くなるからという孤独の苦しさを自分と置き換えてしまった。
また、オムツのシーンはかなり苦しかった。
絶望した渚の苦しさを、あの部屋が表現していた。
私の自傷行為をして片づけもできない、血まみれの部屋とも被った。
凪は死を考えたに違いない。
そう感じたシーン。
魚はもういないのに、餌をあげるシーンはかなしくもなり
凪の私だけ美味しもの食べて との気持ちが
彼女の優しさも感じた。
一果もかなりきつかっただろう。
噛むしかない表現。
凪の愛を受け入れたのは救いだった。
私はLGBTというよりは
凪という人間に惹かれた。
彼女は一果と離れて、何を感じで生きてたのだろう
念願の女性にもなったはずなのに
それ以上の絶望を1人で抱えて生きてたのか
泣いたらおさまると泣いて生きていたのか
女性で産まれてたなら、こんなことにはならなかったのか?
国が保障してくれてたら、凪は苦しまなかったのか?
根本的な問題はそこなのか。
ただ、彼女の横に寄り添いたい。
そんな気持ちになった。
凪に笑って生きてほしいと願った。
LGBTの問題だけではなくて
私は一人一人、人間としての苦しみとして受け止めた映画でした。
後、こんなの作り物感があると書かれる方もいるけど
本当にこんな辛い人生はあると思う。
私は少なくともこんな人生に近い絶望を歩んだ。
御涙頂戴として作られた作品とかいう人たちは幸せな人生を歩んだんだろうなって羨ましくも思う。
みにくいアヒルの子
ある日、アヒルの家族に生まれた数羽のひなのうち明らかに他とは毛色の違うひなが一羽混じっていた。そのひなは産毛が灰色であり、みにくい異質なものとして群れからはじき出されてしまう。
途方に暮れて彷徨うアヒルの子は水辺で白鳥の群れに出会う。水面を優雅にたたずむ美しい姿。時には翼を羽ばたかせ華麗なダンスを踊っているかのようなその姿を見てアヒルは思う。私もあんなふうになりたいと。
アヒルはこの時自分が白鳥として生まれてきたことをまだ知らない。
トランスジェンダーのなぎさは社会での居場所はゲイバーにしかなく、トランスジェンダーとして社会一般の生活は困難である。
いちかは母子家庭で育つが母がネグレクトのため愛情に飢えており自傷行為を繰り返している。
そんな二人がひょんなことから同居することとなる。二人は最初は互いを疎ましく思いながらも次第に互いが抱える心の闇を理解しあうようになる。
いちかは容易く他人に心を開かないが、次第にバレエの才能が開花してゆく。そんないちかに対して母性が目覚めたなぎさは自分を犠牲にして男として働き始める。
二人の疑似家族は順調にいってるように見えたが、ある日ネグレクトの母親がいちかを連れ戻し、二人は引き裂かれてしまう。
なぎさは念願の性転換手術を受け、いちかの母親になるべく彼女を連れ戻そうとするが、閉鎖的な田舎でのトランスジェンダーへの理解は乏しく、なぎさはつまはじきにされる。
女性の心を持ちながら男性の肉体で生まれてしまった不幸。神のいたずらとしか思えないが、本作はそんなトランスジェンダーの抱える苦しみを如実に描いている。
不幸な生い立ちながらもいちかはバレエの才能が開花し、美しい白鳥となって世界へ羽ばたいてゆく。なぎさも手術で女性の体を手に入れて白鳥になるはずだったが、いちかを取り戻すこともできず、術後のケアを怠り寝たきりの状態になる。
いちかは白鳥になれなかったなぎさのためにも世界の舞台に挑戦するのだった。
トランスジェンダーはみにくいアヒルの子である。社会はそれを異質なものとして排除しようとする。他者とは異なることを個性として受け入れるにはまだまだ社会は追いついていないのかもしれない。
本作でいちかを演じた服部樹咲が素晴らしかったのはいうに及ばず、何よりも主演の草薙氏の存在感は圧倒的だった。
トランスジェンダー、ネグレクト、現代社会が抱える問題を取り入れつつエンタメとして見事に完成された作品。
削除されたレビューを再投稿。
絵のような映画
トランスジェンダーの苦しさと生きづらさの中の凪沙の一瞬一瞬が、それぞれ1枚の絵のように綺麗に心に残る映画でした。
よかった場面:
イチカの伸びやかな踊りを初めて見る場面
羽ティアラをイチカに授ける場面
お姫様方と言われる場面
おかあさんと呼ばれて笑う場面
赤いドレスでイチカを迎えにいく場面も。
あと、りんの最後のジャンプも。
一人で生きていくつもりで生きてきた二人が、一緒に生きようとすることで起きる、楽しいことと辛いこと。
女性になったから貴女の母親になれる。
トランスジェンダーの凪沙が遠縁の女の子:一果を預かることになり芽生える母性。漸く手術を決心した凪沙が、実家に帰っていた一果を迎えに行き「女性(の身体)になったから貴女の母親になれる」というシーンには泣いた。
凪沙にとっての幸せは「女性=母親」一つしかないんだな。
一つだけの幸せが叶わなかったら、自暴自棄になるしかない。
凪沙や友人達の生き辛さに、こちらまで息苦しくなった。
ただ色々と疑問に思う場面もあった。
術後ケアを怠って(1年経ってから)あんな酷い状態になるか。
過剰な不幸話になってないか。
トランスジェンダーの方がこの映画を観て絶望しないか。
など、色々と考えた。ラスト、瀕死の状態の凪沙の前で、海をバックに踊る一果のシーンで、なんで海と青い空をCGにしたんだろう。息詰まるリアルの中で、そこだけ感動的に「作りました感」が出ていて違和感があった。
ただ草彅剛さんの熱演や、
服部樹咲さんの初々しい演技とダンスに魅了されました。
テーマやメッセージが会社や学校や色んな場所に運ばれ、濃厚な議論に発展することも映画の意義の一つだと思う。本作はあまり語られることのなかった、性別適合手術のリスクに対する問題提起をしてる点で重要な映画だと思う。
今まで見た邦画の中で、一番許せない映画
ちなみに私は、草彅くんの演技が好きです。ただ、トランスジェンダーの女性を演じる上では、少し演技過剰・逆に不足を感じました。髪を切った直後の表情ははっとさせられましたが。
主人公の女の子も、個別撮影で椅子を投げつけた後の叫ぶ演技(これはやらされただけで、彼女のせいではないと思います)以外は、概ねすてきな演技だったと思いました。
とにかくこの映画は、人物の掘り下げがなさすぎる。起承転結だけで話を回していくので、感情のつながりが一切ない。その浅さを、グロさや刺激的なシーンで誤魔化そうとしているのが透けて見えました。
なぎさといちかが心を通わせる、ハニージンジャーステーキ?のシーンは、おそらく母性の芽生えを表現したかったのでしょうが、それまでの過程が浅すぎて、え?なんでいきなり母性?となりました。
親友の子の死、レズビアンを示唆するシーン、諸々が蛇足に感じられたのは、あれだけ重要っぽかった子が自殺したのにそれに対するアンサーがなかったからだと思います。無駄死……。
何より何より許さないのは、トランスジェンダーへの偏見の強さ。
いつの時代?と言いたくなるような言葉遣い、容姿。苦しみを描こうとしてるのはわかりますが、その苦しみが一方的で、日常を描かないので完全に御涙頂戴の道具になってます。
なぎさが、胸をハダけて母親に叱責?されるシーンでは、嫌悪感が込み上げてきて、これ以上見られないと思いました。
あまりにもひどいです。本当の苦しみは、体を曝け出さなくても描けたと思います。
衝撃的な絵面をいれておけば苦しさわかるやろ、というのは、あまりにも、性的マイノリティの人及び観客を侮辱してると思います。
とにかく演出も脚本も、何から何まで最悪でした。
終始、どゆこと?と独り言を言っていました。
私は、自分自身をすごく映画が好き!と胸を張るほどのものではないと思っていますが、それでも、この映画は映画を侮辱しているなと思いました。
これが日本アカデミー賞ということは、日本映画界は業界全体で邦画を壊しにかかってるなと思いました。
命の淵にいる人むきの映画。
監督はエンタメとして、誇張した表現を多用下意図を公表しているが、全ては本質であり、真実だった、涙無くして見られない映画です。ワーキングプアの私達は、保険が受けられない、介護保険が受けられない、休めば給料が減る、紙オムツは、介助してもらわないと、本当に現場は悲惨です。ばい菌も入り化膿します。毎回洗浄も大変なんです。これは現実の話です。助けてほしい、現実の私達の映画です。そして、魂の救いのエンディングこそ、本当の幸せだと再認識する映画でした。
貧困×ネグレクト×LGBTのトリプルパンチ
9本目。主人公はネグレクトを受ける女の子のいちか、いちかの親戚で自分を女性と認識しているが身体が男性であるなぎさの2人。いちかは救いようのない生活を送ってきて精神的にもすさんでいたが、なぎさとバレエとの出会いをきっかけに彼女の生活に一筋の光が差し込む。だがしかし、バレエを続けるための障壁が多すぎて2人は苦難の連続を強いられる。特になぎさの就職面接、性的サービスを行う職に付いた時の性的被害、いちかの実家でのやり取りのシーンは見るに耐え難い。犯罪に手を染めそうなくらい危険な少女がバレエとなぎさとの出会いを通じて成長し、最終的には海外で活躍することができたのでハッピーエンド好きの私としては安心した。見るのがキツいシーンは多かったが、未だ解決できずにいる社会問題に改めて一石を投じる作品だった。
追記
バレエをテーマにした作品なのでクラシック音楽が使用されていてとても良い。しかし、途中にバレエ友達とするキスシーンや深夜2人でバレエを踊った後に絡んでくるおじさんのシーンなど、原作小説では自然に描かれるのかもしれないが違和感のあるシーンは少し目立った。やはり脚本家と原作者の折り合いを付けるのは難しいのだろうか。
脚本がイマイチ
演技はとても良かった。
残念ながら脚本がイマイチ。
前半はまだマシだったけど後半は酷い。
綿密に練って作り上げたストーリーというよりあれも入れたいこれも入れたいと箇条書きにしたものを無理矢理一つにつなげた様な安っぽい脚本だった。
2人の時間をもっと時間を掛けて丁寧に撮って徐々に一果と凪沙が心を開いていく様子を見たかった。
前半は2人の生活にたっぷり使って後半は母親が迎えに来る、でも一果は凪沙と一緒にいたい、凪沙も一緒にいたいけど母親の元に帰る様に諭す、卒業後凪沙の元に戻るっていうシンプルな話で良かったのでは。
異常なやさぐれ方をする一果の友人やあんなに友人想いで優しく強く生きてきた凪沙が一気に落ちぶれてしまう姿は登場人物を深く掘り下げてないから違和感しかなかった。
設定とキャスティングは良かっただけにただただ残念。
あとLGBTを強く意識し過ぎたのかどうかは分からないけど監督自身がLGBTを強い色眼鏡で見てる感じがして気持ち良いものでは無かったです。
人生の滑り台って一度、滑り出すと止まんないのよ。
映画「ミッドナイトスワン」(内田英治監督)から。
LGBT関連の作品と分かっていても、手術の様子や
股間が血だらけの描写には、ちょっと抵抗感を覚えた。
作品を通じて表現されるバレエネタで「オデットですか?
踊りがとても上手だね、お嬢様方。
でも朝が来れば、白鳥に戻ってしまう。なんとも悲しい」を
LGBTと絡めてまとめようとしたけど、難しかった。
作品と関係ないかもしれないが、ニューハーフの同僚が
呟いた台詞が、妙に引っかかったので、メモをした。
遊具の滑り台は、足や手を使って、止めることはできる。
けれど、人生の滑り台は、そう簡単には止まらない。
マイノリティの世界は、生きづらさを感じるだろうし、
まだまだ、それを念頭に生きなければ、苦しくなる、
だから、慎重に生きなければ・・そう教えられた気がする。
滑り出すのも勇気がいるけれど、止まるにはもっと勇気がいる。
生半可な気持ちで滑り出すと、大怪我をするかも・・。
だから、このフレーズが気になったのかもしれないなぁ。
ひとつの不自然で全てが台無し
性転換オペ失敗してなんで治療しないで放置して死ぬわけ?
ラストシーンを感動的にしたいからって無理矢理殺すなよ。
シラケるわ。
偏見。。
話の内容良かったのですが、、
トランスジェンダーの方を描いているのに
逆にすごい偏見があるなと思いました。
ここからネタバレになりますので改行しますが
今時性転換手術を受けて、あんな感染症で亡くなるのでしょうか、、
タイや海外での手術技術も衛生管理も、多分ですが優れていると思っているので
いくら怠けていてあんな事になるのでしょうか。。全体的に悲しく描かれすぎて
そういう部分はあまり入ってきませんでした。
役者は良かった
役者さんは全般に良かった。
草なぎの女としての仕草が過剰にも見えるけど、実際にトランスジェンダーとか女装趣味の人って、女性として見られる事を意識しているから、女性よりも女性な仕草になるって言うからあんなもんかなぁ。一果の表情が変わって行く様も良く撮れている。
ただ、シナリオと演出がどうかなぁ。LGBTの負の部分だけを見せているから、物語の抑揚を感じられない。展開にも無理が有って、シングルマザーの育児放棄で女子中学生が、ほぼ面識も無い母親のイトコ凪沙(草なぎ)に、それも広島から東京と離れていて預けられるのが「えっ?」ってなる。女子中学生を40代男に預けるか?しかも、まだトランスジェンダーと隠しているのに。解説等だと、凪沙が一果を預かるのも養育費目当てってなっているけど、それほどに貰えるかなぁ。
一果にバレーの才能が有ったにしても急成長過ぎる。りんが一果にキスするのも友情なのか、同性愛なのかが分からない。と言うか、りんのポジションを都合良く使い過ぎてるかな。
演技のプラスと、シナリオのマイナスでプラマイ星3。
母性…
何と言っても草彅剛の体当たり、迫真の演技が見どころ。幼い頃から、自分の性に違和感を感じ、苦しみ、広島の片田舎を出て、東京で水商売をしながら一人暮らし。そんな中、再従姉妹のいちかが転がり込んできたことで初めて人に頼りにされ、共に暮らすうちに母性が生まれる。やりたくない仕事もいちかのバレーを続けせようと働くのは親そのもの。結局、本物の母親の元に戻ってしまったことで、自分も性転換手術を行い、女性=母親になろうとするが、無理がたたってしまう。性同一性障害の人は周囲から奇異な目で見られ、病気でもないのに、変人扱い、未だに水商売しか働き先がないなど、問題は多いと感じる。田口トモロヲは分からなかった。
雰囲気
草彅くんとイチカ役とリン役の少女が凄く良い。
脚本は既視感とステレオタイプで、目新しいものはなく、またジェンダーの描き方に雑さに嫌悪感が感じられる。
皆さんと同じく、貧困とマイノリティとバレエ繋がりのリトルダンサー、そして少女の儚さと危うさとバレエ繋がりの花とアリスを思い出した。
脚本によって、もっともっと繊細だけれどもハートウォーミング!な作品になったと思われるけれど…
3人の演技と雰囲気で、力づくでそこそこ良作に纏めていると思う。
悲しくて優しい愛の物語
虐待されているいとこの娘を無理やり預けられたニューハーフの女性と愛に飢えてるが故に素直になれない思春期の女の子。2つの傷ついた心が深い愛で結びついていく。
ずっとためらっていた手術を受けたのも、この子のお母さんになろうとしたんだね。
そしてやっと一緒に暮らせる時には合わない手術ですっかり弱ってしまっていた。
女の子の母親役の水川あさみの演技がお見事。
草彅のニューハーフも、中年の男が綺麗にお化粧してでも老いを隠せない切なさが表れていて泣かされた。
この映画でらオーディションで選ばれたという女の子の可愛らしい中に驚くような大人の表情が見え隠れするとても魅力的な子だった。古いけど、清潔感と力強さの同居した感じがちょっと倍賞千恵子に似てる気がした。
今までに観た感じのない映画
「だって今お母さんって」
お母さんって呼ばれてとても嬉しそうだった凪沙
嬉しそうって表現は何故かあまり好きでないけど
女より女らしいし、男として社会に出でた時、どんなに苦しかっただろう、、、。
もっとトランスジェンダーの方々が生きやすい世の中になって欲しい、無理に明るくしなくていい、ありのまま自然に生きていける世の中にして行きたいと
自分は願ったからこそ
ラストは主人公がハッピーエンドで前向きになれるストーリーの方がよかったのではないかと思う。
昭和の価値観
トランスジェンダーの描き方にバリバリの偏見がある気がして、観賞後、嫌な気持ちになった。性転換手術は制度上の課題は山積みであるものの、技術としては進歩していて、映画のような悲惨な状態になることは稀である。
このような描き方をすることで、LGBT問題=怖いもの、暗いもの、関わったらやばそうなもの…という意識を無意識に植え付けることにならないだろうか。
また、凪沙の心の部分にフォーカスした描写が少ないため、どんな人生を歩んできたのか、どう考える人間なのかが終始わからず、結局「トランスジェンダーであること」以上の情報が得られない気がした。
監督自体、トランスジェンダーに対する偏見があり、「そういう人達」というくくりで見ているから、凪沙の人間性に踏み込んだ描写ができなかったのではないのかとさえ感じた。
しかしこの映画がこれだけ評価されているのを見ると、今の日本ではこの位が限界なのかなと思った。
悲劇ポルノ
ミッドナイトスワンはその年一番楽しみにしていた映画でした。だからでしょうか?終わった瞬間凄くガッカリした感覚が今でも覚えています。
先に私はトランズジェンダーの人たちの苦労を語れる立場ではありません。でも凪沙の死はなんだったんだろうと思ってしまうのです。先に疑問に思ったのは「性転換手術で亡くなる可能性があるのか?」でした。実際調べたところ性転換手術で亡くなるケースが凄く稀だそうです。フェイクションだからと言ってこのような現実ではあまり起こらない、ストーリー上ただ泣かせたいだけの理由でこのような悲劇を描いていいのか?そう思うとどうしても楽しめない自分がいました。
そしてもう一つは一果の友人の自殺。あのシーンでは単純に「何故?」と思いました。シーン自体は凄く美しく、二人の少女のシンクロしたダンスは一生見続けたいとも思いました。それなのに突然飛び降りるなんて…自殺行為を美しいものに見せるのも嫌だなとも思いましたし、何故彼女が死ななければいけなかったのかがわからなかった。それに一果の友人の死へのリアクションも殆どなかったのも気がかりでした。
他に、個人的に必要と思わない派手なネオンのライトや(何故凪沙の部屋でもこんなに派手なライトを使ったのかがわからない)、変なカット(凪沙が一果に対して生きる事への不満を喚いた後に一果が外にダンスの練習しているシーンへとカット)、色々あります…
役者さんみんなの演技は素敵でした。でも、絶対にまた見たくない作品です。それでもこれほどリアクションが出ると言うことは、なにかこの作品にあるんだと思います。でも私からすると悲劇ポルノとしか思いませんでした。
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